老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
35 巻 , 3 号
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原著論文
  • ――「 介護労働者の就業実態と就業意識調査 2008」を用いて ――
    大和 三重, 立福 家徳
    2013 年 35 巻 3 号 p. 311-320
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     介護保険制度は,2005年の改正によって高齢者の在宅生活支援をさらに強化する施策が打ち出された.ケアマネジャーは地域居住を推進する重要な役割を期待されているが,制度変更による業務量の増加等でバーンアウト傾向が強まっている.本稿では,介護労働安定センターが2008年度に実施した労働者調査を基に居宅介護支援事業所のケアマネジャー(794人)を対象として,定着促進要因の実証分析を行った.その結果,「仕事のやりがい・内容」「人事評価・処遇」「職場の人間関係」における職務満足度が就業継続意向に影響を与えるが,賃金や労働条件は有意な影響を与えていない.また,法人格ではNPO法人であることが就業継続意向を減じていたが,社会福祉協議会は就業継続意向を高めていた.分析結果から賃金以外の仕事のやりがいや人事評価,人間関係などが就業継続意向に影響し,ケアマネジャーの所属する事業所の法人格も影響を及ぼしていることが推察される.

  • ―― 首都圏近郊都市における検討 ――
    菅原 育子, 矢冨 直美, 後藤 純, 廣瀬 雄一, 前田 展弘
    2013 年 35 巻 3 号 p. 321-330
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     中高年者の就業や高齢期就業に対する意識がその他の社会参加行動に与える影響を検討することを目的とし,千葉県柏市在住の55歳以上を対象とした(n = 1,133)調査データを分析した.65歳未満の半数以上が働いており,高齢期の働きかたについては6割が「壮年期より軽い働き方,低めの収入で働き続ける」を希望した.仕事以外の社会活動への参加を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果,男性ではフルタイムで雇用されていないほど,また「ある程度の年齢になったら収入の伴う仕事は辞める」を希望するほど,参加確率が高かった.女性ではフルタイムまたはパートで雇用されていると参加確率が低かった.フルタイムで仕事を続けること,また現役を続行したいという意識が仕事以外の社会参加を抑制することが示唆された.中高年者の働き続けたいという意欲を生かしつつ,その幸福に最大限寄与する働きかた,社会とのかかわりかたを検討していく必要がある.

  • ―― AGESプロジェクト4年間コホート研究より ――
    斉藤 雅茂, 近藤 克則, 尾島 俊之, 近藤 尚己, 平井 寛
    2013 年 35 巻 3 号 p. 331-341
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     高齢者の社会的孤立のなかでも,生活に満足した状態と考えられる孤立と健康寿命喪失との関連を分析した.調査は2003年10月に愛知県知多半島6自治体の高齢者を対象に行われ,その後,4年間にわたって要介護状態への移行状況を把握した.ここでは,2003年の時点で身体的に自立していた13,310人について分析した.同居者以外との対面・非対面接触のいずれもが月に1,2回以下を孤立とし,生活に満足している群を満足孤立とした.孤立高齢者の4人に3人程度は満足孤立に該当すること,性別や年齢,治療疾患の有無などにかかわらず,孤立高齢者は1.34(1.18〜1.53)倍,要介護状態への移行リスクが高いこと,孤立と生活満足度に有意な交互作用効果は認められないが,男性高齢者の間では満足孤立でも1.27(1.02-1.58)倍,要介護リスクが高いことが示された.本研究で得られた集団寄与危険割合が全国でも一致するならば,全国の年間新規要介護認定者のうち,1.1万人程度が生活満足度は高い孤立状態によって生じている可能性があることが示唆された.

資料論文
  • ── 東京都練馬区と岡山県岡山市の調査結果 ──
    片桐 恵子
    2013 年 35 巻 3 号 p. 342-353
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     高齢者の社会参加率は居住地域や性別により異なる.本研究では,先行研究が少ない過去の経験に着目し,過去の社会参加活動の有無や特定時期の社会参加経験が現在の社会参加と関連しているのかを地域別に検討することを目的とした.

     練馬区と岡山市の50〜69歳の男女に二段階無作為抽出法により郵送留置き調査を2008年に実施した(回収率58.9%).

     子どものころ,学生のころ,学校後,現在の社会参加歴を検討したところ,練馬区の男性ではどの時期にも不参加な人が4分の1に上った.現在の社会参加の有無についてロジスティック回帰分析を行った結果,岡山市では学校卒業後の社会参加の有無が現在の社会参加ともっとも関連が強かった.練馬区では子どもや学生のころの社会参加や経済状況や学歴など基本的属性とも関連がみられた.退職後に社会参加経験のない人が参加をするのは困難であり,大都市の退職シニアの社会参加の阻害要因のひとつであることが推測された.

実践・事例報告
  • ― 知識理解ベースでの介入の効果 ―
    横山 さつき
    2013 年 35 巻 3 号 p. 354-364
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     [目的]介護福祉士資格取得を目指す学生の概念的理解を促す内容を基本とし,大人数の講義形式で教授する,ストレスマネジメント教育プログラムを考案・実施し,その効果を検証する.[方法]介護福祉士養成2年課程の学生69人を対象に考案したプログラムを実施し,受講前と受講修了時,修了後1か月の3時点で,対照群185人を設定した質問紙調査を行った.[結果]受講の有無と調査時期の2元配置分散分析を行った結果,ストレスマネジメント自己効力感について,受講の有無と調査時期の間に交互作用が認められ,受講終了時に実験群の自己効力感が高まったが,その1か月後に受講前と同レベルにまで低下した.[結論]考案したプログラムの有効性が確認されたが,介入後の効果の定着を図るためのフォローアップ期間を設けた長期的支援プログラムの開発が望まれる.

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