老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
38 巻 , 3 号
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原著論文
  • 金谷 信子
    2016 年 38 巻 3 号 p. 297-307
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2019/11/15
    ジャーナル フリー

     準市場化された介護保険サービスには,現在,営利・非営利の多様な事業者が参入している.新規参入が著しいサービスは訪問介護で,2014年時点の営利法人の事業者割合は64%に上る.一方,社会福祉法人,社会福祉協議会,医療法人やNPO法人などの非営利法人もしのぎを削っている.こうしたなか本来の目的が異なる営利・非営利事業者の行動の差異に関しては十分解明が進んでいない.

     このため本報告では「介護サービス情報公表システム」の個票データを利用して,経営主体別の事業者の経営実態( 事業規模・内容および雇用者・利用者の特性など)を比較し,①準市場における利用者選別などのクリーム・スキミングの可能性,②クリーム・スキミングが事業規模に与える影響を,サービスの利便性やサービスの質などを考慮したうえで分析した.その結果,営利法人にはクリーム・スキミング志向の行動が部分的に観察された.

  • ―― 虐待の背景に着目して ――
    豊島 彩, 田渕 恵, 佐藤 眞一
    2016 年 38 巻 3 号 p. 308-318
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2019/11/15
    ジャーナル フリー

     本研究は,専門的知識のない一般的集団として学生を対象に,高齢者虐待に関する認識と高齢者に対する顕在的態度および潜在的態度との関連性の検討を行うことを目的とした.虐待行為そのものを示す項目と,虐待発生の前提条件を加えた項目を含めた高齢者虐待観尺度を作成し,学生49人を対象として質問紙による顕在的態度と潜在連合テスト(IAT)による潜在的態度の測定を行った.高齢者に対する態度を独立変数,各虐待観尺度の得点を従属変数とした重回帰分析の結果,身体的虐待と心理的虐待の一部の項目において,顕在的態度が肯定的であることが虐待の認識の高さと有意に関連していた.心理的虐待では,前提条件があることで認識度が高まる項目において,潜在的態度が肯定的であることが虐待の認識の高さと有意に関連していた.本研究の結果から,虐待発生の前提条件がある項目の認識に関して,潜在的態度と顕在的態度の両方が虐待の認識に影響を与えていることが明らかになった.

資料論文
  • 深谷 太郎, 小林 江里香, 杉澤 秀博, Jersey Liang, 秋山 弘子
    2016 年 38 巻 3 号 p. 319-328
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2019/11/15
    ジャーナル フリー

     本研究は,日本の代表性あるサンプルを用い,現在の高齢者の電子メール(以下Eメール)およびインターネット(以下ネット)の利用状況と個人属性や社会関係との関連を探ることを目的とした.

     月1回以上の利用をもって利用と定義したところ,Eメールとネットの利用はそれぞれ33.8%,23.4%であった.

     両者の利用要因を探るため,多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ,年齢が若い,就学年数が長い,夫婦年収が500万円以上であるほど,両者を利用していた.性別では男性はネット,女性はEメールの利用が多かった.社会関係については,友人・近隣数が多いとEメールの利用が増え,若年同居者がいるとネットの利用が減っていた.

     メディアの進化や初めて接した年齢の違いなどで,今後も同様の傾向が示されるとは限らないが,Eメールやネットの利用は基本的な個人属性等に依拠する部分が大きい一方で,社会関係も一定の影響を与えていたことが示唆された.

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