老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
40 巻 , 1 号
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原著論文
  • 金城 光, 清水 寛之
    2018 年 40 巻 1 号 p. 9-21
    発行日: 2018/04/20
    公開日: 2019/11/15
    ジャーナル フリー

     高齢者の日常活動(主に日常的楽しみに関する活動)の程度の指標および活動程度に関連する要因を明らかにするため,若齢群,中年群,および高齢群を対象に記憶成績と記憶信念の観点から調査した.活動状況の指標は,従来の頻度評定のほか,活動の重要度評定と,重要度を加味した重みづけ頻度評定を用いた.記憶信念は日本版成人メタ記憶尺度短縮版で測定した.相関分析の結果,頻度得点と重要度得点の関連は高齢群でもっとも高く,記憶成績と記憶信念の関連は高齢群のみで認められた.階層的重回帰分析の結果,重要度得点と重みづけ頻度得点では,どの年齢群でも記憶信念の下位尺度を加えたモデル3で10%以上の説明率を確認した.一方,頻度得点では,ほかの年齢群とは異なり高齢群でモデル3の説明率は0%だった.以上から,日常活動の程度には記憶信念が関連し,高齢者の活動特性把握には頻度のみならず,活動の重要度も考慮すべきであることが明らかになった.

  • ―― 9年間の縦断研究 ――
    中川 威
    2018 年 40 巻 1 号 p. 22-31
    発行日: 2018/04/20
    公開日: 2019/11/15
    ジャーナル フリー

     本研究では,高齢期における主観的幸福感の個人内変化を分析した.PGCモラールスケールを主観的幸福感の指標とし,全国高齢者パネル調査の9年間4時点(第1波調査時点で2,169人;年齢範囲60〜94歳)のデータを用いた.欠損値を推定し,潜在成長曲線モデルを行った結果,主観的幸福感は変化せず,安定していることが示された.個人内変化の個人間差に関連する要因を探索した結果,第1波調査時点の年齢が高いほど,主観的幸福感の初期値は低い一方,主観的幸福感は向上した.死亡者を含む脱落者は調査への継続者に比べ主観的幸福感の初期値が低かった.これらの結果,高齢期における主観的幸福感の安定性が再現され,縦断データには適切な欠損値の対処法を適用すべきであることが示された.今後,追跡期間を延長し,調査時点を増やすとともに,潜在的な共変量を考慮することで,主観的幸福感の軌跡とその共変量をより詳細に記述すべきだろう.

  • 小林 由美子, 杉澤 秀博, 刈谷 亮太, 長田 久雄
    2018 年 40 巻 1 号 p. 32-41
    発行日: 2018/04/20
    公開日: 2019/11/15
    ジャーナル フリー

     地域在住高齢者のレジリエンスの構成概念を検討した.レジリエンスを,疾病などの健康関連の逆境に直面した際の生活機能の回復と維持を促進する認知的・心理的特徴と定義した.研究協力者(N = 20,平均年齢81.45歳,年齢範囲は72〜92歳)に,直面した健康関連の逆境の内容と,回復や維持を進めるにあたっての努力や工夫について,インタビューを行った.回答の逐語録から,①活発化(新奇性への興味,直感の重視,持続力,活力),②自然体(コントロール,楽観性,自然の流れを選択),③人生の目的(これからをどう生きるか,肯定的受容,過去の克服の成功感,現実に合わせた再構築),④関係志向(サポート希求,貢献の欲求,関係の基盤),⑤マネジメントスキル(情報への敏感さ,残存能力の活用,勤勉さ,評価)という5つの構成概念を得た.レジリエンスは連鎖的に回復・維持を促進する構成概念から成り,レジリエンスには認知的予備力が配分されていることが示唆された.

  • 山縣 恵美, 小松 光代, 杉原 百合子, 渡邊 裕也, 木村 みさか, 井上 恒男, 岡山 寧子
    2018 年 40 巻 1 号 p. 42-53
    発行日: 2018/04/20
    公開日: 2019/11/15
    ジャーナル フリー

     本研究では,有効な閉じこもり予防策の確立に向けて,閉じこもり傾向にある高齢者の教室型プログラム(以下,教室)への参加および継続に関連する要因を明らかにすることを目的とした.われわれは,閉じこもり傾向にある高齢者を対象とした教室に参加した者に対しフォーカス・グループ・インタビューを行い,質的な分析を行った.

     その結果,教室案内時,対象者にはもともと【参加を検討する背景】があり,そこに【参加を後押しする決め手】が加わり参加に至っていた.教室参加後も,【継続に傾く判断材料】と【中断に傾く判断材料】の間で参加することの意義を模索しながら,修了まで継続していた.

     以上より,教室参加者は,案内時から参加に至ったあとも参加するか否かで気持ちの揺らぎが生じていることがうかがえた.教室型プログラムにおける閉じこもり傾向にある高齢者に対する支援では,教室案内時から修了までを通して,個別的な支援の必要性が示唆された.

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