本研究では,地域高齢者を対象とした標本調査を行い,高齢者の食行動の実態把握を行った.
60~84歳の地域高齢者829人(男性379人,女性450人)のデータを使用した.食事の準備状況(調理,食材購入,食費管理),共食の状況,食品摂取多様性,食生活満足度等について調査した.分析は,性別・居住形態別(独居,夫婦のみ,家族と同居)に行った.
食事の準備は,男性では,独居では本人が,夫婦世帯および家族と同居では本人以外が,女性では,いずれの世帯でも本人が主に担っていた.1日の共食が0回(孤食)の割合は,男性11.6%に比べ女性19.6%で多く,居住形態別にみると,独居,夫婦のみ,家族と同居の順に,男性で79.5%,2.1%,6.2%,同じく女性で,80.3%,4.7%,11.0%であった.食品摂取多様性と食生活満足度は男性では独居で低く,女性では居住形態による差が認められなかった.
上記より,独居者に対して,男性では多様な食品を摂る支援や共食の機会をつくる支援が必要であるが,女性では必ずしもそうした支援が必要ではない可能性が考えられた.
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