老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
41 巻 , 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著論文
  • ―― 中高年世代を対象とした面接調査 ――
    春日 彩花, 佐藤 眞一, Masami Takahashi
    2020 年 41 巻 4 号 p. 379-390
    発行日: 2020/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,日本人の「知恵」の構成要素を明らかにすることを目的として,15人の中高年世代を対象に,「知恵」にかかわる側面を問う半構造化面接を行った.分析の結果,【具体的に問題を操作する能力】【方針を設定する力】【内的可変性】【周囲との調和性】【信念に基づく生き方】という5つのカテゴリーが抽出され,各カテゴリーには2〜8個のサブカテゴリーが設定された.海外の先行研究と比較すると,日本人の「知恵」には,調和性を重視する特徴(規範に基づいた態度,「おかげ」の意識,謙虚な態度)と,自分の生き方を見定めて実行する力(やり遂げる力,強い意志に基づく実行力,人生の指針の確信)を重視する特徴があることが示唆された.これらには,日本の風土やアジアに共通の価値観,日本人の道徳観が関与していると推察される.今後日本で知恵研究を進めるにあたり,こうした文化的特徴を踏まえて検討していく必要があると考えられる.

資料論文
  • 山本 晴美, 森田 久美子, 永嶺 仁美, 青木 利江子, 小林 美奈子, 呂 暁衛, 佐々木 明子
    2020 年 41 巻 4 号 p. 391-399
    発行日: 2020/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,全国1,815か所の学童保育を対象に,高齢者との世代間交流プログラムの現状と今後の期待について明らかにし,都市規模別に比較・検討することを目的とした.

     本研究では,学童保育を「大都市」「人口10万人以上」「人口10万人未満」「郡部」の都市規模別に区分し,世代間交流活動の「実施群」「未実施群」の層化分析を行った.世代間交流プログラムの関心は,大都市では「将棋・囲碁」,人口10万人以上の都市では「昔遊び」「楽器演奏・音楽鑑賞・合唱」「体験談」「読み聞かせ・紙芝居」が高かった.人口10万人未満の都市では,「料理・おやつ作り」が高かった.今後の課題として,その地域における学童保育側から高齢者への期待,また高齢者の生活意識などの点から,お互いに参加しやすくニーズに合った世代間交流プログラムを構築する必要があることが示唆された.

  • 家根 明子, 小野塚 元子, 長瀬 雅子
    2020 年 41 巻 4 号 p. 400-408
    発行日: 2020/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,認知症初期集中支援チーム(以下,支援チーム)による当事者とその家族の意思決定に向けたかかわりを明らかにすることを目的とした.2つの自治体にある支援チームを対象とし,4人のチーム員に半構造化面接を行い,当事者との面接において留意していること,当事者と家族の思いが異なる場面での対応と思いなどを聞き取り,その逐語録を帰納的に分析した.研究協力者は,初期集中支援において,素早い診断と対応が求められ,チーム員相互に意図的な役割分担をしていると語り,【警戒心を抱かせない,時間をかけた丁寧な関係構築】【当事者と家族双方の思いを調整するかかわり】【早期診断・早期対応を意識した活動】【当事者の思いを中心にした受診やサービスの導入】【認知症対策への認知度が向上したことに伴う課題があるなかでのかかわり】を経験しており,当事者を尊重したかかわりと支援チームの規定との間でジレンマを感じていた.

  • 豊島 彩, 入戸野 宏
    2020 年 41 巻 4 号 p. 409-419
    発行日: 2020/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

     “かわいい”という語は,若者文化と結びつけて語られることが多い.本研究では,高齢者が感じる“かわいい”の特徴を明らかにし,若者文化で言及されるかわいいものに高齢者がどのように反応するかを検討した.地域高齢者20人にインタビュー調査を行い,“かわいい”の概念についてたずねるとともに,若者に人気のあるキャラクターに対する印象をたずねた.質的内容分析の結果,祖父母としての社会的役割や孫との関係性が,孫だけでなく,孫以外に対する“かわいい”感情にも影響すること,長年の人生経験が“かわいい”と感じる対象に影響することが示された.また,キャラクターの人形はなじみが薄く,かわいいとは感じないと答える者が約半数いた.本研究の結果,高齢者では,表情やしぐさに比べて,動きのない見た目の特徴をかわいいと感じることは減るが,かわいいと感じること自体はポジティブな感情として評価されることが示された.

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