就業中の高齢者の働く理由の違いによって今後の業種・職種についての希望に違いがみられるかを検証した.データは,福岡市在住の無作為抽出された60〜74歳の人3,000人を対象とした調査から得られた.有効回答数は1,922(回収率64.1%)であった.分析対象は,そのうち就業中で今後も働く意思をもっている人(905人)とした.今後の業種・職種についての希望を従属変数に,働く理由を独立変数に設定した多項ロジスティック回帰分析を行った.
その結果,生きがいや社会貢献・社会とのつながりを働く理由にしている人ほど,同じ業種への希望をもっていた.生きがいは,同じ業種のみ希望と正の関連があり,社会貢献・社会とのつながりは同じ業種希望と同じ業種と違う業種の両方を希望した人に正の関連があった.また,生きがいを働く理由にしている人ほど,同じ職種のみを希望する割合が大きく,借金返済を働く理由にしている人ほど,同じ職種と違う職種の両方を希望する割合が大きかった.
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