情報教育
Online ISSN : 2434-3463
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選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • -不登校支援とネットいじめをめぐる大学生の議論とテキストマイニング分析 -
    加納 寛子
    2026 年6 巻2 号 p. 1-14
    発行日: 2026/01/30
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,不登校児童生徒の学習機会とネットいじめ対策の観点から,メタバース学校の可能性とリスクについて大学生がどのように認識しているかを探索的に明らかにすることである.大学生を対象に,不登校の現状とメタバース活用の事例を踏まえた議論を行い,グラフ作成ツールPersonary による議論マップ用いて議論し,レポート課題を課した.データは質的内容分析に加え,KHCoder 3 による Jaccard 係数に基づく共起ネットワーク分析を用いて検討した.その結果,学生はメタバース学校を,不登校児童生徒の学習機会の拡大と心理的安全性の向上に資する可能性があると評価する一方で,端末・通信環境や課金要素に起因する格差,新たなネットいじめの増加といったリスクを強く意識していることが示された.また,公立・無償のメタバース学校を実現するためには,制度的な位置づけ,教員・支援者の配置,記録と監視のルール設計が不可欠であることが示唆された.
  • 藤原 理緒, 加納 寛子
    2026 年6 巻2 号 p. 15-22
    発行日: 2026/01/30
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,バーチャル空間におけるメタバースキャンパスの空間デザインが生徒の学習意欲に与える影響について分析を行った.その結果,学習環境要素から受ける印象が学習のモチベーション,継続しやすさ,着手へのハードルに関与することがわかった.また,それぞれが受ける印象により肯定的態度だけでなく否定的態度にも繋がることが明らかになった.
  • 友人関係場面を題材としたアバター対話のログ分析を通して
    岩井 祐一, 福島 崇, 荻上 健太郎, 金子 嘉宏
    2026 年6 巻2 号 p. 23-28
    発行日: 2026/01/30
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,「考え,議論する道徳」を支える ICT・AI活用の在り方を探ることを目的として,メタバースと生成 AI を統合した道徳学習環境を試作し,その教育的可能性を検討したものである.友人関係に悩む登場人物を題材とした VR 空間を構築し,児童生徒がアバターと音声対話できるシステムを開発した.児童生徒の発話は音声認識によりテキスト化し,生成AIで応答を生成,音声合成とリップシンクによりアバターの声と表情として提示した.A市で実施した体験イベントにおいて小学生を対象に実践を行い,得られた対話ログのうち5本を分析対象としてカテゴリー化した.その結果,多くの児童が「一緒に遊ぶ・話す」といった具体的行動による関係修復方略を自発的に言語化していたこと,自己信頼や未来への見通しをめぐる対話や,原因探索と感情的支えを結びつける発話が一部に見られたことが明らかになった.一方で,発話の多くは行動レベルの助言にとどまり,価値語や理由付けの言語化には教師による問い返しやプロンプト設計が不可欠であることも示唆された.以上より,メタバースと生成 AI の組み合わせは,児童の当事者意識と共感的理解を促す体験的・対話的な学びの場として有望であるとともに,教師の授業準備負担や指導スキル依存を相対的に軽減し得る可能性もある一方,ログ分析に基づくシナリオ改善と事後の振り返りを往還させる授業デザインがなお重要な課題である.
  • 意思の再生と文明の倫理原理
    里吉 竜一
    2026 年6 巻2 号 p. 29-34
    発行日: 2026/01/30
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,AI とメタバースの時代における教育の倫理的課題を文明論的観点から再考し,人間の「意思」「所有」「正義」という三原理を基軸に,教育を「意思の再生装置」として再構築する理論的枠組みを提示するものである.現代社会では,技術が人間の判断を代替し,主体的意思の喪失が進行している.特に,本人意思を欠いた取引(不正アクセス事件に典型)や,AI による自動判断の普及は,人間的責任の構造そのものを掘り崩している.この事態は単なる技術的課題ではなく,近代文明の倫理的基盤を揺るがす危機である.したがって本研究は,教育がこの「意思の欠如」という文明的病理にいかに応答すべきかを問う.結論として,メタバース教育は単なる仮想環境ではなく,人間の自由意思を回復するための倫理的・制度的空間として再設計される必要があると主張する.
  • 保本 正芳, 福田 美誉
    2026 年6 巻2 号 p. 35-41
    発行日: 2026/01/30
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,生成AI が急速に普及するなか,AI を社会課題の解決に活用する力の育成が喫緊の課題となっている.しかし,教育現場では,概念説明中心の初学者向け教材と高度なプログラミング教材との間に大きな乖離があり,文系大学生が AI を文脈的に理解し適切に活用するための教育手法の検討が求められている.本研究は,文系大学生を対象として,ゴールベースシナリオ(Goal-Based Scenario: GBS)理論に基づく AI リテラシー教育教材を開発・実践し,その教育効果を検証することを目的とした.GBS 理論が強調する「目的志向の課題遂行」を学習設計の基盤とし,2023 年度の 1 年生には生成 AI を用いた思考支援演習を,2024 年度の 2 年生にはテキストマイニングを用いた分析演習を実施した.両科目を受講した学生のアンケート(5 件法)結果に対して対応のある t 検定を行ったところ,思考支援の実感,集中度,AI 科目履修意欲において有意な向上が確認され,効果量 d においても小〜中程度の効果が示された.また,自由記述の分析からは,AI の有用性と限界の理解が深まり,AI の結果を批判的に検討する態度が育成されていることが明らかとなった.以上より,GBS 理論に基づく段階的学習設計が,文系大学生に適した AIリテラシー教育手法として有効であることが示唆される.
  • 入力速度・精度および表記の多様性に着目して
    空谷 知之
    2026 年6 巻2 号 p. 42-47
    発行日: 2026/01/30
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    近年の情報化社会の進展や学校でのタブレット端末の普及により,キーボード入力技能の重要性は一層高まっている.2025 年の学習指導要領改訂では,高等学校「情報Ⅰ」においてプログラミングの基礎理解と技能が大学入学共通テストで問われることとなり,正確なローマ字入力の習得が学習基盤として不可欠である.本研究では,高校生のローマ字表記パターンに注目し,入力方法および精度が速度に与える影響を検討した.埼玉県内の普通科高校 2年生 272名を対象に入力解析ソフトを用いて課題入力を記録・分析した結果,濁音・拗音や多様な表記語句で入力方法のばらつきが確認された.また,入力精度と速度の間には有意な正の相関が認められ,単回帰分析でも精度が速度に有意な影響を与えることが示唆された.これらの結果から,正確なローマ字入力の習得がタイピング効率を高め,プログラミング学習の基盤形成に寄与することが示唆された.
  • 遠隔体育授業に関する質的事例研究
    鈴木 直樹
    2026 年6 巻2 号 p. 48-54
    発行日: 2026/01/30
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,地理的に離れた 2 校を共有メタバース環境で接続して実施された遠隔体育授業を対象とし,インクルーシブな学習環境がどのように構成され,児童の参加がいかに成立していたのかを明らかにすることを目的とした.授業映像,観察記録,児童の発話,ならびに教員インタビューを分析資料とする質的事例研究を行った.分析の結果,教員による指導役割の明確な分担が授業の円滑な進行を支え,特定の児童を活動から分離することなく多様な参加を可能にしていたことが示された.また,アバターを介した身体表象により,異なる学校に所属する児童が同一の学習集団として活動に参加しており,車椅子を使用する児童も他の児童と同様に活動へ関与していた.これらの結果から,メタバース環境は,体育における参加の在り方を再編成し,学校間を越えたインクルーシブな学習環境を支える媒介的な教育環境として機能する可能性が示唆された.
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