食生活研究
Online ISSN : 2759-5129
Print ISSN : 0288-0806
44 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 森 恵見, 石原 健吾, 朝見 祐也
    2025 年 44 巻 6 号 p. 35-45
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/08
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,ブランドサトイモの一つである‘上庄サトイモ’について,その調理科学的 特性における生産地土壌の影響を明らかにすることを目的とした。上庄地区とその他の5 地域で種芋(大野在来種)を栽培した。生のサトイモの栄養成分分析とサトイモを栽培し た土壌成分を分析した。また,サトイモは,水煮の調理に供し,水分含量測定と物性測定 を行った。物性では,上庄地区で育てた大野在来種は,その他の地域で栽培した大野在来 種よりも,硬さが高かった。サトイモの硬さは,成分との相関分析の結果,たんぱく質お よび灰分と負の相関関係が認められた。一方,栄養成分と土壌成分との相関分析では,た んぱく質と相関があった土壌成分は,固相,液相,気相,仮比重であり,灰分と相関があ ったのは,陽イオン交換容量(CEC)と気相であった。そのため,上庄サトイモの水煮の硬 さに影響を与えているのは,土壌のCEC,固相,液相,気相,仮比重であると考えられる。 上庄地区の土壌は,他の地域の土壌と比較すると,カリウムをはじめ,多くの項目が低か った。上庄さといもの煮崩れしにくさをはじめとする特徴的な調理科学的性質の形成には, 栽培地域の特徴的な土壌組成が関与していると考えられた。
  • 本多 恭子 , 真鍋 顕久
    2025 年 44 巻 6 号 p. 46-55
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/08
    ジャーナル オープンアクセス
    和食は日本の伝統的な食事であり、その食事内容はご飯と汁物、おかずを3 品そろえた、いわゆる 一汁三菜からなる。すなわち、ご飯を主食として、おかずとなる魚介類、肉類、野菜類などにだしや 調味料を加えてうま味やおいしさを出し、栄養学的にみてもバランスがとれることから、近年、世界 的にも高い評価を受けている。 また、和食はかつお節や昆布などのだしの材料や食材の持ち味を活かして料理のうま味を引き出す ことが伝統とされてきたが、近年ではその伝統が失われつつあり、食育の分野でも課題の一つとなっ ている。 本研究では長きにわたり日本の家庭料理について発信しているNHK「きょうの料理」テキストにお いて、2020 年度から2023 年度の4 年間にわたり連載された「だしいらずでつくる 和食のはなし」 を題材として「だしがわりの食材の種類と他の食材との組み合わせ」、「食材の持つうまみや栄養価」、 「料理の種類や調理時間」などについて検討を行った。その結果、和食のだしがわりになる食材では 野菜類が多く使用されていた。野菜類にはうまみ成分であるグルタミン酸が多く含まれ、また、旬の 野菜類を利用することは地産地消への取り組みや「持続可能な食を支える食育の推進」への貢献にも つながることが考えられた。 また、和食にだしの材料を使用せず食材の持つうまみを生かすことにより、うまみ成分だけではな くそれらの持つ栄養素を幅広く摂取することができ、さらには食材の選択や購入を通じての旬の食材 への関心や減塩効果、調理時間の短縮や生ごみの削減など調理への効率化にもつながると考えられた。 料理の種類では煮物が多く、食材の取り合わせでは、肉類や魚介類に含まれるイノシン酸と野菜類 に含まれるグルタミン酸の組み合わせによるうまみ成分の相乗効果を生かした料理も多く紹介されて いた。 一方、料理の調理に要した時間では時短調理への配慮も窺われ、時短調理で季節感のあるおいしい 和食を作ることも今後の食育の大きな課題と考えられた。
  • 堀田 三華子, 堀田 千津子, 芝 華恵
    2025 年 44 巻 6 号 p. 56-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/08
    ジャーナル オープンアクセス
    不妊治療者を対象に、食事の自己管理及び食 生活改善を身に付ける方法として、「食事バラ ンスガイド」と「セルフモニタリング手法」を 用いた介入を行い、その効果を評価・検討した。 介入後の推定摂取量を日本人の食事摂取基準 (2020 年版)と比較すると、摂取エネルギー 量が推奨量に近づき、炭水化物が増加した。介 入前の不足ミネラル・ビタミンにおいては介入 後に改善はみられたが、カルシウムは依然とし て不足していた。また、食事バランスガイドの SV(Servins:SV)数は主食、副菜、主菜、牛 乳・乳製品、果物の全項目で介入前より高くな り、特に副菜の摂取は有意に高く、野菜が摂取 されるようになった。
  • 山岡 伸, 平野 真唯
    2025 年 44 巻 6 号 p. 65-71
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/02/08
    ジャーナル オープンアクセス
    現在、我が国では、食材の価格が高騰してい る1)。これは、ロシアによるウクライナ侵攻、 円安などの影響の可能性が示唆されている。2)。 人間が生活するうえで、食事は欠かせない。 例えば、食事から摂取する栄養素から、体は作 られていく3)。しかしながら、食材の高騰によ り食材が買えず食事を摂取できなくなれば、栄 養失調に陥る可能性がでてくる4)。 統計局統計調査部消費統計課が公表してい る家計調査では、食材の価格が記載されている 5)。このため、家計調査により各年の食材の価 格を知ることができる。しかしながら個々の食 材の価格がどれだけ上昇したかの報告は、ほと んどない。そこで、本研究では、個々の食材の 価格がどれだけ上昇したかを明らかにするた めに、家計調査から食材費の価格の変動を検討 した。
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