宗教研究

編集意図(<特集>国家と宗教)

編集委員会

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 191-192
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_191

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天皇制国家と余白 : 「国家と宗教」を論じるために(<特集>国家と宗教)

磯前順一

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 193-216
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_193

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近代ナショナリズムに対する批判が、人間の歴史的真正さへの志向性を相対化することに成功し、宗教概念論という新たな研究潮流を生み出した。その背景には一九六〇年代後半に始まるフランス現代思想の、ポストコロニアリズムあるいは植民地主義を介した一九九〇年代の動きがあった。こうした流れの中で、近代を中心とする日本宗教史の言説が流布しているが、一方で近世以前の時期に対する研究は影を潜め、近代が作り出した過去の言説として、近世以前の時期は扱われるにとどまった。同時にそうした固定化された日本宗教史研究は、ポストコロニアル研究などのもつ社会に不平等性に対する批判力を抹消させ、形骸化された制度史研究に宗教概念論の批評性を無効化させてきた。本稿ではこうした近年の傾向に一石を投じるために、非近代西洋的な余白として近世の信仰世界や民俗宗教を研究する可能性を理論的に模索する。

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植民地朝鮮における宗教政策と日朝仏教 : 一九二〇年代から三〇年代を中心に(<特集>国家と宗教)

川瀬貴也

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 217-241
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_217

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植民地朝鮮(一九一〇-一九四五)において、植民地権力たる朝鮮総督府は、日本の諸宗教を導入する「内地延長主義」を採るのと同時に、朝鮮人の諸宗教やキリスト教宣教師などを「寺刹令」や「布教規則」などの様々な法令により管理しつつ、統治に役立たせる方向付けをしようとした。本稿は、一九一九年の「三・一独立運動」以降の、朝鮮人の諸団体の活動や出版活動への制限が緩和されたいわゆる「文化政治期」の朝鮮半島における朝鮮総督府の宗教政策および、日本仏教と朝鮮仏教の諸活動を概観する。具体的には(一)朝鮮総督府の宗教政策の基本コンセプトおよび各宗教への介入、(二)日本仏教の社会事業活動の実例および仏教関係の諸団体の活動、(三)朝鮮仏教内部での動向および朝鮮総督府や日本仏教といかなる「交渉」したのか、という問題を、いくつかの事例を挙げつつ考察する。

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現代イスラームにおける国家と宗教 : 変容する国家像と越境するウンマ(<特集>国家と宗教)

小杉泰

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 243-268
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_243

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イスラーム世界、なかでも中東は長い歴史の中で「政教一元論」に基づく固有の国家観・宗教観や政教関係を発展させたが、一九世紀以降は植民地化を経て、国民国家システムを受け入れるようになった。しかし、トルコなどを除いてそれは成熟せず、宗教を国内的に管理する仕組みは十分機能しなかった。特にアラブ諸国はイスラーム的な「ウンマ(普遍共同体)」の理念を用いてアラブ民族を定義したため、民族主義が衰退してイスラーム復興が起きると、イスラーム的ウンマ意識が再び高まった。イスラーム復興とグローバル化と合わさって、イスラーム政治が再生し、イスラームの越境性が強まっている。イラン・イスラーム革命、サウディアラビアの再イスラーム化、武装した国際NGOとしてのアルカイダ、領域国家をめざす武装NGOとしての「イスラーム国」などの登場は、国家観・宗教観と政教関係が大きく変容していることを示している。

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アッシリアにおける国家と神殿 : 理念と制度(<特集>国家と宗教)

柴田大輔

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 269-295
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_269

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現在のイラク北部を中心に繁栄した古代の領域国家アッシリアの王宮と国家神アッシュルの神殿は異なる組織によって運営されたが、両者は統治において一種の共犯関係にあった。王宮を中心とする行政機構によって統治された国土は、理念上国家神の所有とされた。その国家神は神殿において祀られていた(「扶養」されていた)が、この神の祭祀に必要な物資は、規定供物の制度を通じ、アッシリアを構成する全行政州によって共同で賄われた。さらに、規定供物の制度は、理念上で国家神の祭司を兼任した王の直属の人員によって統括された可能性が高い。

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イスラームはいつ、いかにしてフランスの宗教になったのか(<特集>国家と宗教)

伊達聖伸

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 297-322
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_297

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本稿は、あえて長い時間の幅を確保し、イスラームがいつ、いかにしてフランスの宗教になったのかを検討するものである。フランスにムスリムがいた事実は古い時代に遡って確認できるが、イスラームは長いあいだヨーロッパの外部にある鏡のような役割を果たしてきた。イスラームがフランスの宗教になる経緯として決定的なのは、植民地行政によってイスラームが「宗教」として把握され、管理されるようになったことである。一九〇五年の政教分離法は、宗教に自由を与える性格を持つが、同法が形式的に適用されたアルジェリアでは、実際にはイスラームに対する管理統制が統いた。フランス国家がイスラームを「宗教」と見なしてムスリムにアプローチする枠組みにおいて、イスラームはフランスの「宗教」になったが、そのアプローチの限界も浮き彫りになる。イスラームに対する構造的不平等があるなかで、ライシテは宗教の平等を唱える理念として機能している。

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アメリカにおける国家と宗教 : リベラル・デモクラシーと政教分離(<特集>国家と宗教)

藤本龍児

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 323-350
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_323

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国家と宗教について考える際の基本理念は「政教分離」である、とされる。しかし、日本の「政教分離」は、欧米諸国のそれと比べて特殊な類型に属すと言わねばならない。しかも、欧米ではその理念じたいが見直され始めている。そこで本稿では、とくにアメリカの「政教分離」を中心に論じ、その思想的問題を明らかにすることを試みた。第一章では、まず日本における「政教分離」理解を、判例や学説を通して確認する。また、その特徴を明らかにするために、欧米における国家と宗教の類型を整理する。第二章では、世界で初めて憲法に「政教分離」を謳った、と考えられているアメリカの憲法についてみていく。ここでは、とくに日本の判例や学説に大きな影響を与えた「分離」原則について論じる。第三章では、一九八〇年代以降の変化について論じ、それまでに確認された国家と宗教にまつわる原理や原則、そしてその背後にある思想について整理し、その問題点を明らかにする。

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HAYASHI Makoto, OTANI Eiichi, Paul L. SWANSON, eds., Modern Buddhism in Japan, Nanzan Institute for Religion and Culture, 2014, 224pp., 一〇〇〇円

クラウタウオリオン

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 351-355
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_351

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西山茂責任編集, 『近現代の法華運動と在家教団』, 春秋社, 二〇一四年七月刊, A5判, xiii+四〇一頁, 四〇〇〇円+税

笠井正弘

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 356-361
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_356

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岡田真美子編, 『小さな小さな生きものがたり-日本的生命観と神性-』, 昭和堂, 二〇一三年三月刊, 四六判, v+一九一頁, 一七〇〇円+税

寺田喜朗

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 362-367
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_362

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由谷裕哉・佐藤喜久一郎著, 『サブカルチャー聖地巡礼-アニメ聖地と戦国史跡-』, 岩田書院, 二〇一四年九月刊, A5判, 二〇四頁, 二八〇〇円+税

今井信治

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 368-374
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_368

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高橋典史著, 『移民、宗教、故国-近現代ハワイにおける日系宗教の経験-』, ハーベスト社, 二〇一四年二月刊, A5判, viii+二九一頁, 三八〇〇円+税

吉田亮

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 374-381
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_374

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坂本貴志著, 『秘教的伝統とドイツ近代-ヘルメス、オルフェウス、ピュタゴラスの文化史的変奏-』, ぷねうま舎, 二〇一四年二月刊, A5判, 二八〇+三三頁, 四六〇〇円+税

中井章子

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 381-388
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_381

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倉田明子著, 『中国近代開港場とキリスト教-洪仁〓がみた「洋」社会-』, 東京大学出版会, 二〇一四年八月刊, A5判, v+三六三+一九頁, 七二〇〇円+税

ゾンタークミラ

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 388-394
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_388

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河東仁編, 『夢と幻視の宗教史』上巻・下巻, リトン, A5判, 上巻二〇一二年一二月刊, 四〇四頁, 五〇〇〇円+税, 下巻二〇一四年七月刊, 三〇四頁, 四〇〇〇円+税

宮嶋俊一

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 395-404
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_395

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島薗進・磯前順一編, 『宗教と公共空間-見直される宗教の役割-』, 東京大学出版会, 二〇一四年七月刊, A5判, vii+二九四頁, 四四〇〇円+税

藤田大誠

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 405-411
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_405

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白波瀬達也著, 『宗教の社会貢献を問い直す-ホームレス支援の現場から-』, ナカニシヤ出版, 二〇一五年四月刊, 四六判, vi+二六四頁, 三五〇〇円+税

櫻井義秀

原稿種別: 本文
2015 年 89 巻 2 号 p. 412-417
発行日: 2015/09/30
公開日: 2017/07/14

DOIhttps://doi.org/10.20716/rsjars.89.2_412

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