レギュラトリーサイエンス学会誌
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8 巻 , 2 号
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巻頭言
原著
  • 松濵 万貴, 水丸 智絵, 宮崎 生子
    2018 年 8 巻 2 号 p. 55-68
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    日本薬局方 (JP) は, 医薬品サプライチェーンのグローバル化に対応するため, 国際化の推進が進められている. 例えば, 日米欧三薬局方検討会議 (PDG) において, 米国薬局方 (USP) および欧州薬局方 (Ph. Eur.) と調和活動が行われている. また, 厚生労働省およびPMDA (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構) によりアジア地域におけるJPの参照薬局方化も進められている. 世界で広く使用されているUSPやPh. Eur. と比較したJPの特徴を明らかにすることは, PDGにおいて調和活動を進めるうえで, また, 国内外のJPユーザーがJPを適切に利用するにあたって有用であると考えられる. そこでわれわれはまず, 薬局方を理解するうえで最も根幹となる薬局方の構成と通則, および医薬品品質の分野で関心の高い事項のひとつである不純物の管理に関する規定の状況について, 三薬局方を比較した. その結果, 薬局方の構成は三薬局方間で完全には一致していないものの, 通則への準拠を前提として試験法や各条が記載されているという構成は共通しており, また, 三薬局方ともに通則には薬局方全般にかかわる基本的なルールが記載されていた. 一方で, JPは通則11で 「別に規定する」 ことが規定されており, USPおよびPh. Eur. ではこのような個別の承認書との関係に関する規定はなかった. また, JPに比べてUSPおよびPh. Eur. においては, 不純物に関連する多くの章が収載されていた. これらの相違点およびJPの特徴をふまえ, 今後, JPにおいて収載内容の充実化はもとより, 国内外のユーザーの利便性についてもより配慮したものとなることを期待する.

  • Kimihiko TANIZAWA, Hirofumi SUZUKI, Hiroaki YAMADA, Satoshi TOYOSHIMA, ...
    2018 年 8 巻 2 号 p. 69-81
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    Japanese Adverse Drug Event Report Database (JADER) を用いて, 高齢心房細動患者を対象に, 直接作用型経口抗凝固薬使用時における間質性肺疾患, 脳出血, 消化管出血の副作用発現傾向の検討を行った. 副作用ごとの発現傾向を年齢, 薬剤, 投与量にて比較した. 投与開始時からの副作用発現日数の中央値は, 間質性肺疾患で40~124日, 消化管出血では60.5~91日であり, 年齢, 薬剤治療の比較で, 明らかな相違は認められなかった. 脳出血発現の中央値は, 124.5~331.5日であり, 消化管出血発現より遅い傾向にあった. 特にfactor Xa inhibitor (FXA) の高用量治療80歳以上での脳出血発現の中央値は331.5日で, FXAの低用量治療80歳以上の143日や, FXAの高用量治療80歳未満の175日よりも遅かった. FXAの高用量治療80歳以上での脳出血の副作用発現は, 半数が1年以上の投与で発現しており, 投与初期だけではなく投与期間中の長期にわたり高血圧症などの合併症管理, 脳出血の副作用発現兆候に留意する必要があることが示唆された. JEDARによる解析では, 治験の際にはデータが得られにくい80歳以上の高齢者における実臨床使用での副作用発現傾向を把握することが可能であった. さらに各副作用の発現時期が異なることが示唆され, 発現傾向を把握することで, 実臨床における副作用の迅速で適切な対応に寄与すると考えられる.

  • 杉浦 真理子, 有賀 淳
    2018 年 8 巻 2 号 p. 83-94
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    近年, 遺伝子検査技術の革新的進歩により簡便で安価に遺伝子検査を受けられる時代への変遷が急速に進んでいる. 医療機関での遺伝子検査以外にも, 個人が医療機関を介さずに直接自分の遺伝子検査を実施できるDTCGT (Direct to Consumer Genetic Testing) が企業により提供されており, 自身の体質や能力, 将来起こしうる疾患を予測するサービスが普及している. 現在, 多くのDTCGTは専門の医師や遺伝カウンセラーなどの介入なく行われており, 医療面や倫理面で課題を抱えているが, いまだDTCGTを適切に規制する整備がなされていない. 筆者らは, 日米欧 (英, 独, 仏) における遺伝子検査に関する規制を比較し, DTCGTにかかる規制を検討した結果, 欧米のほとんどの国において, DTCGTは法的に規制されており, 実質禁止されていたが, 日本ではDTCGTにかかる規制はなく, 指針が示されているのみであった. さらに, 日本におけるDTCGTの現状と課題を検討するために, 個人での検査の窓口となるウェブサイト上でのDTCGT事業を調査し解析した結果, DTCGTを実施している112事業所の多くが医師の介入なしで検査および結果説明が行われており, 検査項目のなかには疾患診断に直結する検査結果や遺伝カウンセリングが必要となる結果が含まれていることがわかった. 今後, 日本でのDTCGTの急速な拡大によって生じる医療面, 倫理面での問題に速やかに対応するために, DTCGTの適切な規制および十分な実施体制の構築が急務と考えられる.

  • 太田 若菜, 櫻田 大也, 小林 江梨子, 平舩 寛彦, 千葉 健史, 富田 隆, 工藤 賢三, 佐藤 信範
    2018 年 8 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    後発医薬品への 「変更不可処方箋」 について調査を行った. 2017年1~3月の任意の1週間における, 岩手県薬剤師会に所属する233店舗の薬局で受け付けた処方箋75,513枚のうち, 変更不可処方箋は7,926枚 (10.50%) であった. 変更不可の指示件数は合計17,536件であり, 当該医薬品は1,714品目であった. そのうち後発医薬品のある先発医薬品が52.70%, 後発医薬品の銘柄指定が14.86%であった. 薬効分類別にみると, 循環器官用薬, 中枢神経系用薬, 消化器官用薬が上位を占めた. 変更不可の理由としては, “患者の希望” が最も多く, “医師の意向”, “薬剤変更により疾病コントロール不良・副作用の発現” などが続いた. 後発医薬品のさらなる使用推進には, 変更不可処方箋を減少させていくことが必要である. そのためには, 後発医薬品の品質向上や適切な情報提供だけでなく, 処方箋発行システムや診療報酬の面においても対策が必要である. 今後, 複数の地域で一定期間の処方箋抽出調査などを行い, 変更不可処方箋が後発医薬品の使用推進に与える影響についてさらに検討していく必要があると考えられる.

特集(間葉系幹細胞の再生医療)
  • 梅澤 明弘, 高橋 祐里
    2018 年 8 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
  • 松原 由美子
    2018 年 8 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    末梢血血小板は輸血や組織修復に医療応用されている. しかし, 末梢血血小板は採取量に限りがあることから, ドナーに依存せず安定的に大量製造し医療応用に用いたいという試みが注目されている. その背景のなかで, 筆者らは皮下脂肪組織に存在する間葉系幹細胞/間質細胞 (ASC) から巨核球・血小板分化に至ることを見いだした. ASCは遺伝子導入不要, 組み換えサイトカインの添加不要で血小板に分化でき, その血小板を医療応用に用いることに優位性を有していることが示されている.

  • 七戸 秀夫, 川堀 真人, 寳金 清博
    2018 年 8 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    脳梗塞に対する細胞治療が国内外で臨床試験として開始されつつある. 2012年度に, われわれは 「脳梗塞の再生医療」 に関して厚生労働省から革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業実施機関に選定された. 本事業のもとで, われわれは自家骨髄間質細胞 (bone marrow stromal cells: BMSC) 移植による脳梗塞再生治療の医師主導治験 (第Ⅰ相 : RAINBOW研究) を準備し, 2017年6月に最初の被験者が登録された. 本治験は, ①ウシ胎仔血清 (FBS) などの代替として, 他家ヒト血小板溶解物 (platelet lysate: PL) を添加し, 自家BMSCを培養する, ②脳梗塞周辺部へ脳定位的手術により細胞を直接移植する, ③MRIによる移植細胞の挙動把握を目的とし, 超常磁性酸化鉄 (SPIO) 製剤によりBMSCをラベルする, ④FDG-PETやIomazenil-SPECTを用いて, 細胞移植がホスト脳に及ぼす影響を評価するなど, 過去の臨床試験と異なる新規性のあるプロトコルを採用し, われわれは第2世代の臨床試験と自負している. 本稿ではBMSC移植治療の作用機序と治療戦略, 非臨床試験, 治験プロトコルの観点から, われわれの経験を報告する.

  • 角田 聡
    2018 年 8 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    さまざまな器官・組織由来の間葉系幹細胞から製造された細胞加工製品がヒト臨床へ応用されている. この製品を用いて治験を開始するにあたり, 非臨床安全性試験を実施して, ヒトへの安全性を事前に評価する必要がある. 日本における細胞加工製品の非臨床安全性評価については, 指針やガイダンスが発効され, 治験開始前に, 原則として一般毒性, 造腫瘍性, 生命維持にかかわる器官 (中枢神経系, 呼吸器系および心血管系) に対する影響評価, および不純物の安全性評価を実施する必要がある. これらの毒性試験の計画および成績は, ヒト細胞を動物へ投与した場合の免疫反応による影響を受けることから, 無毒性量や安全域を求めることより, むしろ有害性 (ハザード) 評価を目的とすることが適切と考える. また, 試験方法については, 個々の間葉系幹細胞の起源, 特性および製造工程の複雑さを考慮して, ケース・バイ・ケースの対応が必要と考える. 本稿では, 間葉系幹細胞由来製品の一般毒性および造腫瘍性試験, および生命維持にかかわる重要な器官への影響評価ならびに不純物評価を実施する場合の基本的な考え方について考察する.

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