日本良導絡自律神経学会雑誌
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57 巻, 1 号
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  • 吉村 俊彦, 遠藤 宏
    2011 年 57 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2011/12/15
    公開日: 2013/08/23
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    【目 的】 鍼灸治療が、免疫系に及ぼす影響に着目した研究は多数報告されている。その中で、鍼治療を行うと自律神経系に作用して、白血球百分比の割合が変動するという報告がある。 また、その白血球百分比の割合で患者の自律神経系の状態を評価できるとされている。しかし、この評価方法では採血をして白血球数を測定する必要がある。鍼灸師にはこのような指標があるものの出血させることが法律的に禁止されているため、用いられないのが現状である。この指標と同様に自律神経系を客観的に評価でき、鍼灸師が行えるものは、鍼灸学では良導絡理論がある。よって、両者間に何らかの関連性があると考え、本研究を行った。 【方 法】 遺伝的脱毛ラット9匹を対象に、コントロール群には蒸留水 (3匹) 、リンパ球優位群には交感神経遮断薬 (3匹) 、顆粒球優位群には合成副腎皮質ホルモン (3匹) を各々に毎週3回 (計9回/匹) 経口投与した。良導絡測定と白血球数測定は、薬物の投与前と投与後毎週1回の計4回行った。良導絡測定は、前・後肢の内外側 (左右) の計8カ所を3回測定し、その平均値を測定結果とした。白血球数の測定は、採血した血液をスライドガラス法で塗抹標本を作製し、メイ・グリュンワルド・ギムザ染色法を行い、各サンプルに200個ずつ計測して、百分比を算出した。解析には各変数の関連性を導ける主成分分析 (多変量解析) を用いた。 【結 果】 コントロール群とリンパ球優位群には、関連性のある固有値および固有値ベクトルはみられなかった。しかし、顆粒球優位群では第1主成分と第2主成分の固有値および固有値ベクトルには艮導絡値と白血球百分比との関連性が認められた。第1主成分の良導絡値の固有値ベクトルが増加すれば顆粒球の固有値ベクトルも増加する傾向があった。また、第2主成分では、良導絡値の固有値ベクトルが前肢では増加し、後肢では減少する傾向がみられ、それに伴って、顆粒球の固有値ベクトルが増加する傾向が認められた。 【考 察】 白血球百分比の変動と良導絡現象とは何らかの関連性があると推測された。特に、前・後肢全ての艮導絡値が増加すれば顆粒球比も増加する傾向があると示唆された。また、前肢の良導絡値が増加し、後肢の良導絡値が減少するに伴って、顆粒球比が増加すると考えられた。
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