ゾーンにおいて,豪雨型の山崩れによる崩壊面積率を予測するために,静岡県を例にとり,ガンマー分布モデルの適用を試みた。
まず,気象月報から7月の平均月雨量Jを各地について求め,抵抗示数Cを次式に推定した。定数は既往の災害例から求めた。
C=
k0J k0=0.0284mm
-1次に,新生界(絶対年T)の抵抗示数Cを基準とし,絶対年が
Tiの地層の抵抗示数
Ciを次式で求めた。
Ci=
C(
Ti/
T)
0.32計画雨量
rには100年確率と20年確率の年最大日雨量を用いた。統計によれば,前者は後者の総降雨量にほぼ相当している。
これらの値を次のガンマー分布モデルに代入して,各地の崩壊面積率
pが算出された。
p%=(1-∑
C-1j=0(0.01r)j/
j!e
-0.01r)×100これらの作業結果は各々,分布図としてマップ化され,ゾーニングの立場から崩壊に関する全体の特徴と地域間の相違が把握された。
その結果,崩壊面積率は伊豆半島,三ケ日から静岡・熱海までの平野周辺部で高くなると推測される。この傾向は災害統計から描かれた山崩れ・がけ崩れの最大件数に関する分布上の特徴とほぼ一致している。
豪雨の時期・場所・規模が水文統計から予知できれば,崩壊面積率の予測は具体的になることが示された。今後,基礎的な情報の集積と抵抗示数の推定方法の改良によって,精度は高まるものと思われる。
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