著者は,以前千葉県養老川上流の浦白川流出試験地を大流域として小流域から大流域との洪水流量の合成をした結果,合成値と大流域の観測流量は良く一致した。その結果,当試験地程度の流域面積の流域では,洪水流量に与える河道貯留の影響は小さいと推定された。
本報文では,さらに大流域の面積が増えた場合について検討を加えたものである。基準小流域としては,当試験地の月崎を採り,大流域としては,養老川本川の二瀬橋上流域(184.2km
2)を対象とした。大流域は,基準小流域と同程度の22の小流域に分割され,それぞれの小流域の流量は,時間遅れを与えられ,線型重ね合わせがされ,それらの合成値と大流域の観測流量が比較され,両者は良い一致を見た。このことは,200km
2程度の流域においても,河道貯留,洪水波の変形は大きくないということを示している。
さらに,本方法と単位図法との対応関係が明らかにされた。
抄録全体を表示