鋼製流木止め部材の設計手法を検討するために, 部材をモデル化した実物大の鋼製単純梁 (鋼材) に実物大の流木 (丸太) 溢よび石球 (巨礫) を衝突させる実験を行い, 部材に生ずる塑性変位および衝突体のはねかえり高さ等を計測した。実験結果から次のことが明らかになった。
(1) 同一の衝突面形状を持つ流木と石礫が同一の運動エネルギーで衝突すれば鋼材に生ずる塑性変位は同一である。すなわち木材と石材という材質による差は認められない。
(2) 累積衝突エネルギーとそれによる累積塑性変位は正比例の関係にある。
(3) 流木(丸太) の衝突面の形状を半球状と平面に変化させると同一運動エネルギーで衝突しても塑性変位は異なる。
(4) 鋼材の塑性変位を生じさせる衝撃エネルギーには下限値が存在する。これは鋼材および衝突体の種類(形状, 材質) により異なる。
(5) 同一の塑性変位を生ずる衝撃エネルギー吸収能と静的エネルギー吸収能の比は同一の鋼材で塑性変位量がある程度大きい場合はほぼ一定である。また衝撃エネルギー吸収能は静的エネルギー吸収能よりも大きく, この傾向はH形鋼よりも鋼管の方が強い。
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