長野県飯田市野底川流域の割沢支流域を対象地とし,山腹工事施工後7~17年を経過した8ヵ所において,土壌調査および植生調査を行い,山腹工事施工跡地における土壌及び植物の初期発達状況を調べた。その結果,土壌A,B層の厚さは,山腹工事の経過年数に従って増加していた。表層土層(貫入値>1.5cm/回)の深さは地点によってばらつきが大きかった。30~60cmの土壌全炭素,全窒素含有量とも,経過年数により増加し,0~30cmの土壌全炭素含有量も増加する傾向がみられたが,地点によってばらつきが大きかった。0~30cmの土壌全窒素含有量は山腹工事施工時の施肥の影響で,最初に高かったが,施工後14年まで減少する傾向がみられた。草本根系分布深及び木本平均樹高と表層土層厚とは,高い相関関係が認められた。草本植物の種類数は,山腹工事の経過年数に従って増加しているが,被度及び地上部現存量は減少していた。工事の際に導入したケンタッキー31フェスクは,施肥効果の減少および他の植物との競争で,地上部現存量は著しく減少していた。木本植物の胸高直径,平均樹高は山腹工事の経過年数に従って増加しているが,立木密度は12年を経過した時点で最大値が現われた。上層木は導入したヤマハンノキに占められているが,下層木は侵入したヤナギ類に占められ,他の種類の侵入は認められなかった。
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