防災方式に基く土石調節堰堤は, その性格上30年乃至100年の週期をもつ二つの異常豪雨期間に, 概ね湛水状態にあるから, 砂礫基礎の場合は, 水叩部の洗掘が甚しい。このような場合の洗掘を出来るだけ軽減する対策の一つとして, 著者の一人柿徳市は堤体水通部の下方に, 並列した多数の Jet hole を設け, これよりの Jet を利用することを考案した。即ちこれらの Jet hole よりの噴流を水通しよりの溢流水脈に衝突せしめ, これにより水叩きの洗掘を軽減し, 併せて最大洗掘部をできるだけ堤体から離そうと試みた。併しながら, これを理論的に追究するには多くの不明な点があるので, 実験によって, これに関係する多くのパラメーター間の関係を幾分でも明らかにすることにした。この目的のために, 目下利根川水系砂防工事々務所で施工中の倉見第一堰堤の模型を作製し, Jet hole の大きさ, 位置等を種々変化させて実験を行い, それらの洗掘模様 (Scour pattern) を比較し, ほぼ良好と考えられる形式を選定することにした。
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