高温溶融物や低温液化ガスが水と接触すると爆発災害が発生することがあるが,この爆発現象は蒸気爆発のひとつである.蒸気爆発現象は一様ではなく,そのメカニズムも種々のものがある.最近,蒸気爆発に関する研究が活発に行なわれるようになってきたので,ここにそれらの成果をまとめて紹介する.
ポリ塩化ビニル(PVC)に三酸化アンチモン(Sb2O3)を添加して,脱塩化水素反応機構,燃焼機構を調べた結果については,すでに報告した.今回はPVCに酸化第一錫(SnO)を添加した場合の,脱塩化水素反応機構,燃焼機構につき,DTA,TG,X線分析,発火待ち時間の測定,熱分解ガスクロマトグラフィなどを用いて測定し,検討した.その結果,PVCから210℃で離脱する塩化水素がSnOと反応して,塩化錫(SnCl2)を生成するため,みかけ上,系外に離脱する塩化水素量は減少する.また,生成したSnCl2の蒸発の際の潜熱は系の温度を下げ,さらに気相SnC12はPVCの分解生成ガスの以後の酸化反応を抑制する.またPVCに添加したSnOは,分解生成物中の芳香族系化合物を減少せしめ,低級旋化水素化合物を増加させることなどが明らかとなった.
水銀法食塩電解工場から排出される徽量の水銀を含む塩水マッドを安全に廃棄するための研究を行なった.すなわち,塩水マッド中の水銀の溶出挙動を詳しく測定するとともに,新しく開発した選択性重金属固定剤(MEP・ALM)を添加した場合の塩水マッド中の水銀の溶出挙動の変化を,塩水マッドの処理法と溶出試験法の各条件の下で,すなわち固定剤添加量,マッド種類,混合方式,放置蒔間,溶出液pH,溶出時間などの各水準の下で測定した.その結果,塩水マッドにMEP-110 0.5%,またはALM-600シリーズ0.2%程度を添加混練するだけのきわめて簡単な処理により,塩水マッド中の水銀は効果的に不溶出化され,この無害化された塩水マッドは安全に廃棄できることを認めた.また1年以上の自然放置試験や虐待試験により,本法は長期にわたる実用に十分に適することを認めた.
高沸点の可燃陸液体7種について,ジーゼルエンジン用ノズルを使用してスプレーを発生させ,高温発熱体による発火温度を測定した.スプレーの濃度が空気1m3中17.9~27.1gr,粒子径が81~185μ(体面積平均径)の実験条件では,発火温度はいずれも700℃以上であり,テトラリンでは800℃を超えた,これは試料について,ASTM法に準じた滴下法で測定した発火温度よりも高い.また,発火の起こる場合は瞬間的に発火し,ある遅れ時間の後に発火する現象は見られなかった.一般に可燃性ガスおよび蒸気が,加熱金属表面で発火する温度は,密閉容器で測定された発火温度データよりもはるかに高いことが知られているが,スプレーの場合も同様であることを明らかにした.
発火温度は安全工学上重要な数値であるが,可燃性物質全般についてはデータがまだ不備であり,現状では適切な予測方法がないので,今後も実測に頼らざるをえないと考えられる.著者は発火温度データを整備し,さらにはその推算法を探求するため,基礎的物質について一連の実測を行なっている.その測定結果の今回は14回の報告で,芳香族化合物についてである.
従来,衝撃的引張り荷重をうけた針金の強度は,その針金が破断するまでに吸収し得る衝撃エネルギから求められていて,針金の長さが長いほど大きな衝撃エネルギに耐えると考えられていたが,今回の実験によって針金がある程度長くなると,破断する確率がふえてきて,吸収し得る衝繋エネルギは長さに比例して増加しなくなり,吸収し得る衝撃エネルギが増加しなくなる限界の長さがあることがわかった.このことは衝撃的引張り荷重を受る針金やロープの安全率をきめるときに考慮しなければならないことを述ぺている.
強化繊維プラスチック材料をいろいろな構造物に適用する場合,環境温度を考慮した構造強度によって設計しなければならない.このため,まず高温度域および低温度域における引張り強さを求めたところ,熱劣化性から常温時と比較し著しい低下がみられた.
有害物質を労働環境から有効,かつすみやかに排除するための局所排気装置の設計方法,その中でのフードやダクト,排風機の配置計画,容量計算などを実例に従って記述し解説を加える.ここで取上げた設計計画は,設置方法の異なる2組の電解櫓群に対して,ダクト合流方式を適用する場合の1つの基準を提示したものであり,また人体に有害であり,腐食性の強いミストを完全に除去するための特に必要な,フード,ダクトの的確な制御風速(關口面風速),搬送速度の設定を示したものである.