パルプ工業は巨大産業に生長したが,それに伴って生ずる廃液は莫大量に達し,環境汚染は重大な公害問題を起こすほどであった.しかし業界あげての努力によって最近では著しい改善の跡が見られるようになった.さらに業界では公害を発生源で絶つためパルプの製造法をまったく新しい,いわゆる「無公害パルプ」に切り替えることが検討され,その企業化に必要な諸データの蓄積に取り組んでいる会社も二,三に止ま らないようである.今回はその代表的な無公害パルプとして塩素系蒸解漂白法,アルカリ酸素蒸解漂白法,硝酸蒸解漂白法およびハイドロトロピック蒸解法の4つを紹介するとともに,その特徴,欠点および企業化に伴うメリット,デメリットを予測すると共に,無公害バルプの製造に伴って予測される新たな公害等についても論じた.
現在,熱安定性を目的とした,後塩素化したポリ塩化ピニルが多く利用されている.この後塩素化したポリ塩化ピニルについて,普通のポリ塩化ピニルと比較しながら燃焼性,燃焼機構について検討した.その結果,気相においては,後塩素化ポリ塩化ビニルは普通のポリ塩化ビニルと比較して,脱塩化水素反応の速度はおそく,高温まで塩化水素の雰囲気を作り,また生成ガス成分に,クロロベンゼンの増加,および燃えやすい低級炭化水素の滅少が認められた.また固体残さにおいても,構造上強固な炭化物の生成が多量に認められた.以上の結果から,発火温度,発火待ち時間,発火待ちの活性化エネルギー,および発熱量の測定において,後塩素化ポリ塩化ビニルに難燃効果が認められた.
腐食を受けている金属の電気的特性が電気化学的基礎に基づいて理論的に解析された.この角析に基づいて腐食速度計測システムが開発された.この計測システムの原理は本質的には分極抵抗値の連続的かつ自動的測定によっている,腐食を受けている表面に最小限の影響を与えるだけで分極抵抗を得るために著者は周期的な矩形波電流を用いた.成功裏に金属の腐食速度が自動的かつリアルタイムで得られた.
徳山湾の比較的水銀含有量が多い海域の海底泥の基礎的な諸性質を知るため,その組成分析,含有水銀の溶出性と形態分析などを行なった結果次のことが判明した.(1)海底泥は主としてSiO2,Al2O3,Fe2O3,MgO,CaOからなり,ほかに小量の炭素・窒素・硫化物を含有していた.(2)海底泥は,総水銀として10~22ppmの水銀を含有していたが,アルキル水銀は検出されなかった.(3)海底泥中の含有水銀の50~90%が硫化水銀で,残りは表面に強く吸着された水銀イオンと金属水銀であると考えられる. (4)これらの含有水銀は,海水・沈殿池水には溶出しなかった.(5)海底泥は,さらにイオン性水銀を吸着する性質があった.
発火温度ば安全工学上重要な数値であるが,可燃牲物質全般についてはデータがまだ不備であり,現状では適切な予測方法がないので,今後も実測に頼らざるをえないと考えられる.著者は発火温度データを整備し,さらにはその推算法を探求するため,基礎的物質について一連の実測を行なっている.その測定結果の今回は16回の報告である.
都市土木における軟弱地盤の対策にも種々あるが,それぞれの工法には特徴があり万能的方法はない.その中で,液化窒素による土壌凍結工法は無公害,確実性という点で注目されてきている.この工法についての特長は信頼性がある,工期が短縮できる,安全で簡便であるなどであるが,凍上・水流・空洞などに注意する必要がある.工事の実際として,国鉄東海道線汐留随道工事により,検討すべき事項,設計の理論とその手順,実施工の順序などを説明してみる.工事は二期にわたり,約4か月で終了し,液化窒素の使用量,凍結曲線も設計値に近く,初期計画は適格であった.最後に,工事を施工する場合の液化窒素の保安上の問題について,高圧ガス取締法,材質,操作上の注意,安全対策について述べてみる.
1974年9月9日~13日にパリで開催された第7回国際水質汚濁防止会議に出席し,あわせてヨーロッパ各国を視察したが,とくに下水処理とゴミ焼却についての実情を上記国際会議の研究発表の要点とを併せて報告する.
製鉄用電気炉の排ガス集じん設備が爆発事故を起したが,その原因は,排ガスのダクト系に充満した爆発性混合ガスによるガス爆発であることが結論づけられた.爆発性混合ガスを形成した可燃性ガスは,電気炉内に溶解原料として投入したダライコに付着している切削油の熱分解によって発生した水索,一酸化炭素,メタン,エチレンなどの分解ガスであることがわかった.爆発防止対策としては,排ガスの排風機の風量を低下させたり,排風機を停止したまま操業しないこと,または,溶解原料としてダライコを使用することは,電気炉の炉壁が十分高温になった後にかぎることとし,初回の冷却した電気炉に投入する溶解原料には鉄屑だけを用い,ダライコを使用しないことなどである.