“経営と安全は同質”である.テロテクノロジーの理念は“経営そのもの”である.この考え方にたって,テロテクノロジー(TEROTECHNOGY)について紹介する.テロテクノロジーの目的は設備のライフサイクルコスト(Life Cycle Cost)をもっとも経済的にすることである.低成長時代において,安定成長を達成するためには,最も必要な理念である.設備の一生について,経営者の陣頭指揮により全社をあげて,無事故,無災害,環境保全を達成し,その設備の経済性を追求することが望まれる.もちろん,製品にたいしてもテロテクノロジーの理念は設備と同じように考える.社会的二一ズに対応したよい設備とよい製品を作り出すことを狙いとしている.現在の日本において国際競走力をつける方法の一つとして,テロテクノロジーは総合工学として,その力を発揮することが期待できる.
500,1OOOおよび2000mlのn-ペンタンを密閉ガラスフラスコに入れ,40~103℃に加熱し,ガラスフラスコを破壊して蒸気爆発をおこさせた.このようにして,大気中にn-ペンタン霧滴の可燃性混合雲を形成させ,これに点火し,ファイヤ・ボールを生成させた.プァイヤ・ボールの大きさは蒸気圧には関係しないが,試料量との間に実験式D=6.14W0.455が得られ,n-ペンタンが完全燃焼すると仮定して計算したときの火炎の大きさと一致した.火炎の持続時間は蒸気圧および試料量に関係なく1.1±0.4秒であった.ファイヤ・ボールを形成する火炎の伝播速度は,浮力の影響を受け,水平方向より鉛直上方が 大きかった.
システム信頼度の構成を明らかにすることが最適信頼度システムの設計の出発点であり,この出発点に到達するための有力な手段にFault Tree Analysis(FTA)がある.FTAでは,サブシステムの信頼度が基礎データとなるが,ここでは故障物理に基づく基礎データ入手法を示し,しかる後に,FTAをグラフ理論を用いて解説し,簡単な例題を解いてみる. 災害対策手段の発見に多用される樹木構造にEvent Treeがあるが,これとFault Treeの関連にも触れる.
周知のように,紙パルプ産業においてクラフトパルプ製造法は長い間化学パルプの主流であった.しかし同産業がかかえている公害問題,原料問題のうち,とくに前者については環境保護に対する強い社会的要請が高まってクラフトパルプ法の改良もしくは製法転換が現実化しようとしている.本稿は前記公害のうちとくに悪臭防止をとりあげた.すなわち,クラフトパルプの現状と製法,悪臭の物理的化学的性質,悪臭の発生の過程,防止システム条件と設備現況について概説し,さらに今後の悪臭防止システム要点を考察した.
石油化学工業における安全のための技術基準は年々厳しくなる傾向にあり,とりわけ大型の貯槽や,その防油堤においては,広い敷地を確保しておく必要があることと,その改修に少なからぬ費用を要することから,将来の方向まで見越して安全に余裕のある立地および構造にしておかなければ経済的にも損失をこうむることになる.このような意味で本稿では世界先進諸国の中でも特色ある技術基準をもっているフランスの法令を紹介し,あわせてわが国法令との比較をおこなった.