紙パルプ産業界が現在抱えている課題の一つに環境問題があり,なかでも化学パルプの大半を占めるクラフトパルプ化法における悪臭対策に悩んでいる.これを解決する方法として蒸解薬品としてイオウ化合物を使用しないいわゆる"非イオウ・パルプ化法”が研究されているが,その主流が酸素・アルカリ蒸解法であって近い将来の工業化が期待され世界の注圓をあびている.本稿では酸素・’アルカリ蒸解法研究の現状を既に実用化されている酸素・アルカリ漂白とあわせて紹介し,当社で開発中のHOPES法についても若干述べてみたい.
有機性スラッジの嫌気性消化の微生物学的な基礎を述べ,効率良く消化を行うための有機物,pH,温度,種スラッジ,阻害物質などの諸条件を解説した.つぎに嫌気性消化が実際に行われる下水処理施設について,特に消化槽,生成メタンガスの利用設備(ボイラ,ガスエンジン)などについて述ベ,国内外の実施例を説明した,さらに最近の研究の動向として“two-phase process”と厨芥の嫌気性消化について紹介した.
Fe2+,Zn2+などの重金属を含む鉱業廃水は一般に中和法によって処理されるが,Cu2+,Cd2+のような重金属を含む場合には,中和法と併用して,沈殿銅採取,硫化物沈殿,イオン交換,イオン浮選などの方法が用いられ,Cu2+,Cd2+などの除去,回収が行われる.また,休廃鉱山からの廃水による公害防止対策として,坑道封鎖が行われ,廃水量の減少および水質の改善に成果が得られている.
石油中には多くの金属元素が不純物として微量ながら含まれている.この中でVとNiは含有量が比較的高く,これらは精製工程で重油に濃縮され,さらに重油の燃焼灰中に濃縮される.燃焼灰は大別すると炉内灰と飛散灰に分けられる.炉内灰は高温下で生成するため難溶性ではあるが,V含有率が数10%もありV資源としての価値が高い.アルカリ焙焼,塩素化法,酸抽出法などによる処理法について述べた. 飛散灰はV,Niの大部分を可溶性の硫酸塩として含有するが,含有量が少ない.濃縮処理法,酸抽出法,晶析法,凝集沈殿法などによる処理について述べた.
企業における廃棄物処理は,年々難しくなり,この費用負担も厳しいものがある.しかし,少し観点を変えて,廃棄物も資源の一つであると考え,種々の組合せをもって体系的に考えることにより有効化できるケースが多い.これにより,処理費の負担軽減がなされるばかりでなく,公害対策面での完備と,今日重要性が認識されて来た資源節減にも結びつく.この考えの一例として,活性スラッジ廃水処理より派生した余剰スラッジの肥料化と,処理水の水温およよび微量流出スラッジを効果的に利用した,鑑賞魚の養殖 につき報告する.
赤泥,砂利廃泥,下水汚泥焼却灰を原料として,人工軽量骨材を製造する基礎的研究を行った.赤泥のみでは発泡膨張性を示さないが,長石の含有量が少なく石英とアルカリ,アルカリ土類を含む粘土鉱物からなる頁岩を添加すれば発泡膨張し,軽量骨材化しうる.砂利廃泥を原料とした軽量骨材では,比重1.2,吸水率8.0%,圧縮強度380kg/cm2の製品がえられた.汚泥焼却灰は下水処理においては無機凝集剤のFeCl3やCa(OH)2を使用しているが,凝集剤を無機から有機高分子系にかえることによって人工軽量骨材化は可能である.
COを主成分とする転炉発生ガスを非燃焼処理するOG法では,爆発組成をもつ排ガスの形成防止,発火形成の防止,火炎伝播の防止,異常状態及び万一の系内ガス爆発発生時の安全対策を防爆の原理としている.開発段階から現在まで,この防爆の原理に基づき,エンジニアリング面でとってきた具体的な手段を示すと共に,人命の安全のためのガス中毒防止対策を記述した.現在,OG装置は日本のみならず海外を含め79基が稼動し19基が建設中であるという事実がOG法の安全性を実証している.
反応系パージガスからの水素およびアルゴン回収装置は,数年前より建設された低温分離の新しい試みであったが,長期にわたりその性能が実証されたので,今後更に新たな用途へも応用されるべき技術としてその内容を記述する.
本稿は製油所から給油所に至るガソリンの流通過程において,蒸発排出されるガソリソベーバの現状とこれに対応する回収設備と排出防止対策について述べたものである.特に大気汚染を防止し,併せて石油資源回収も達成するガソリンベーパ回収装置については,装置メーカにより発表された各種プロセスを紹介するとともに,製油所から給油所に至る一貫したトータルシステムの拡充開発の必要性こついて述べた.
鹿島コンビナートをモデルとした石油化学排水の完全クローズド化及び再利用方法に関し,その計画立案手法及び実現せしめるための再利用案を述べる.まず全排水の詳細調査を実施,再利用するための排水処理システム,プラントレイアウト,経済性及び使用水種等の項目を検討した結果,20ブロックに統合した.その各々につき純水,工水,再冷水の各再利用水のSPECに基づく処理システムを更に詳細検討した結果,一部開発中のシステムを含むも,3段階にて再利用すれば完全クローズド化は達成されるとの結論を得た.
プラスチック廃棄物の処理と再利用という観点から,処理方法の一つである熱分解方法およびその生成物の利用について大略を述べた.すなわち,熱分解方法として溶融浴方式,流動床方式,スクリュー方式およびその他について述べるとともに,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル等のプラスチックの熱分解によって得られる生成物についてもふれ,その利用方法およびプラスチック廃棄物処理の問題点について検討した.
資源の大半を海外がら輸入しているわが国にとって,天然資源の供給はますます厳しい情勢に追いこまれており,資源対策として廃棄物を再資源化し,その有効利用を推進することは喫緊の課題と言える.複合物を多く含む固形廃棄物を材質別に分離し,かつ分別・分解・利用などのプロセスに必要な大きさに寸法を小さくするために破砕が必要である.そこで常温では十分な分離,寸法減少が困難ないし不経済な廃棄物を,低温にて選択破砕して材質別分離を完全にする低温破砕を中心として固形廃棄物の破砕について説明する.