産業の発達と共に化学工場における爆発・火災・危険物の流出事故・化学物質による障害が社会的に重大問題となっている.企業として法的な規制に対応するのみでなく,絶対にこれらの災害を起さない決意が必要であり,積極的な自主活動により絶滅を計らねばならない.これには技術的,安全工学的な追求と共に,安全管理の各要素のバランスを計り,その向上を要す.特に絶えざる安全意識を個入集団として強固に維持することが基本であり,トッブの強い意志とライン,スタッフの管理に対する創意工夫が大切である.
安全,特に安全装置においては計測ということがいかに重要であるかを主張した.従来人間がその五感をもって判断して来た状況判断を次第に計測器にやらせるようになったが,そのために起こる問題点を指摘し今後の動向をのべた.また計測を含めた安全装置の積極的利用,またその信頼性を高める構想について論じたものである.
安全距離を求めるために必要なプレス作業における手の速度と,非常停止をかけた時にプレスが止まるまでの時間(ストップタイム〉を,それぞれ,モデル作業による実験と現場での測定により求めた. この実験では,手の最高速度として初速度のあるなしに応じ,それぞれ,1.43m/sと1.84m/sという値が得られた.ストップタイムは,ブレーキの特性により85m/secという早いものがある一方,半サイクルで停止しないあまいブレーキのプレスもあった.
電気火災の原因として落雷,電気火花,漏電が広く知らている.しかし電線やケーブルが火災の原因となったり,火災の延焼を助けたり,煙や塩酸ガスによって建築物,機械,電子装置を腐食したり,電気制御や計装システムの作動不能による2次災害を発生させる問題についてはあまり知られていない.従来,火災ケ一ブル焼損事故は火災として報告されることもなく,制御システムの事故も2次災害が発生しなければ問題になることもなかった.従って安全工学の研究対象とされる機会も少なかったが,最近ケ一ブルの燃焼についての関心も高まり,この種の災害の対策も研究されるようになったので,その一部を紹介する.
昭和52年8月29日から3日間,アメリカ,コロラド州,デンバー市においてAIChEの主催により主記シンポジウムが2nd Pachec(第2回太平洋化学工学会議)と同時開催された.Packecは第1回が昭和47年に京都で開催され,今回は2回目であった.参加者は全部で1800名以上におよび,日本からも多数の発表があり100名以上の参加があった.アンモニアプラント・セーフティ・シンポジウムの方は22回目であるが,これは歴史のある,また,内容的にも定評のあるシンポジウムで全世界より500~600名の参加があった.今回はPachecと同時開催された関係上,日本からも宇部アンモニア,住友化学,三井東圧,神戸製鋼,東洋エンジニアリングの5社が発表を行った.筆者は今回このシンポジウムに参加し,発表する機会を得たので,会議の模様,発表内容のほか発表体験談などにつき述べ,今後この種の国際会議に参加される方々の参考になればと考える.
災害事例研究法は,労働災害の事例を課題として,その事実および背景を体系的につかみ,把握された問題点およびその背景から根本的問題点および災害原因を決定し,参加者の職制上の立場から今後の災害防止対策を立てるための手法である.災害事例研究のねらいは,1)災害要因を体系的に究明し,これに対する対策を立てること,2)災害防止の原則を習得し,これを日常の安全衛生活動に実践すること,3)参加者の安全衛生に関する物の見方,考え方を深めたり,態度を変容すること,にある.
トンネル建設工事における労働災害は,建設業災害の中でも一,二位を争う高い発生率を示しており,かつその災害強度も重篤なものが多いことが知られている.また工事内容が大きく変わりつつある中で,災害内容も変化していると言われている.そこで最近のトンネル工事における災害の実態を把握するために,山陽新幹線トンネル工事における災害の調査,分析を行った.その主な内容は,1)被災者の属性の問題,2)作業・起因物分類,3)掘削関連災害の分析,4)運搬関連災害の分析,5)工事工程と災害,などである.