建物火災の初期における繊維製品の着火物としての役割はきわめて大きく,全体の1/3~1/4を占める.したがってこれを難燃化(防炎化)すれば,かなりの数の火災を減少させることができる.現在不特定多数の人の集合する劇場,ホテル,高層建築物ではカーテンが法的規制を受け,近くカーペットが受けることになっているが,ここでは防炎製品の歴史,規制の現状を紹介し,火災予防上の位置づけを行うとともに,今後のあり方などを示唆した.
脱臭廃液中の硫化ナトリウムを過酸化水素で酸化し,悪臭を防除するための基礎実験と充填塔による硫化水素ガスの吸収・酸化を行い次の結果を得た.過酸化水素(3.0×10-2mol/l)による硫化ナトリウム水溶液(3.0×10-3mol/l,25℃)の酸化反応はア ルカリ性領域では非常に遅いが,pH10か11で過酸化水素の濃度を12.0×10-2mol/l以上とするか,鉄 (Ⅲ)イオンを添加することにより反応を促進させることができた.さらに常温で,ガス空塔速度102m/min(ガス流量41kg/hr),充填高さ60cmの条件下で,硫化水素ガスを過酸化水素に吸収・酸化させ,総括容量係数(KGa)を検討したところ,吸収液のpH値は11 (KGaは1516kg-mol/m3hratm)前後,液ガス比は2(液流量は82kg/hr),過酸化水素の濃度は12.0x10-2mol/lが硫化水素ガス(20ppm以下)の最適処理条件であった.
都市実走行データから摘出した車速別の試験サイクルを用いて,C1およびC2の4種類の低級炭化水素の排出挙動を排気対策技術との関連において着目しながらシャーシダイナモ・メータ上で23台の試験車を駆動した.在来型車におけるこれら4成分の排出割合は,合計15%以上にもおよび,このうちメタン成分は3~5%であった.触媒車では,炭化水素のエミッション自体は非常に低下するが,メタン比率は高くなり,ほぼ20~30%の範囲内にあることが認められた.また,熱的反応型の浄化手法では,メタン比率は上昇せず約7%以下程度であり,エチレンの排出比率が,20%程度と高い特徴を示した.これらの結果は,全体を通して,車速依存性は認め難く,ほぼ一定割合を示している.こうしたエミッションデータに基づいて,東京都内におけるメタンおよび非メタン総排出量を経年的に推計した,ジーゼル車からの排出量が将来的に無視しえないことが認められた.
1977年12月の下旬に,わずか1週聞の間に4か所の穀物エレベータ工場で粉じん爆発がおこり,50名 以上の死者を出した.そこで米国労働省労働安全衛生庁では,全米の穀物エレベータ工場に安全衛生上の警告書を送った.その内容は,現場における粉じん爆発火災の危険性とその原因および防止対策.さらに健康危険性とその危険防止対策を含んでいる.また穀物エレベータ産業の現状や,労働安全衛生庁の地方出先機関の検査官が工場の危険性を点検検査する方法を詳細に付属書の形式で示しており,きわめて有益な資料である.
今後広く使用されるであろうと思われる活性炭捕集管を試作し,実用化試験を行った.有機溶剤については活性炭管の捕集量,回収率とも良好な結果が得られた.簡易な試料採取方法として,従来の方法に加え,検知管用採取器の使用を検討した.各種有機溶剤を系統的に分け,それらの中から選んだ物質について限界吸着量を求めた.捕集に際して有用であろう.
1978年9月21日,アメリカ・エネルギー省が任命したルイジアナ州West Hackberry岩塩層戦略石油備蓄墓地で発生した爆発・火災・漏油事故の調査委員会が作成した事故報告書の概要である. この事故は石油さく井作業における火災事故に類似したものであるが,わが国で進められている石油の地下備蓄の安全性確保の教訓となるばかりでなく,事故報告書の構成,調査員,原因の分析,勧告など,事故調査方法は学ぶべき点が多い.
1973年2月10日に起きたスターテン島の液化天然ガス貯蔵タンクの修理中における爆発事故は,タンク内の混合ガス爆発によるものではなく,天然ガス中の高沸点不純物であるペンタン等がポリウレタン断熱材中に吸着されていたために,修理作業中にこれに着火して,断熱材層の火災が起きたことが原因であることが明らかになった.