鉄道信号システムにおける,安全性技術の体系化と安全性管理手法について論ずる.最初に航空機やエレベータなど鉄道信号以外で使われている広義のフェイルセイフを展望し,これに対し鉄道信号で使われている狭義のフェイルセイフ構成の特徴を機械的な信号機から新幹線のATCまで適用例と進歩の過程を示し,論ずる.次にこれら安全性技術をデータバンクとしてまとめた信号設備安全性技術調査書の概要と新規な機器の開発に活用する手順を論じ,最後に信頼性と安全性の関連,考え方などを述べる.
二つのタンク間の延焼におけるタンクの高さの影響をタンク間の温度分布と結びつけて調べている. 直径6cmの容器を模型オープンタンクとして,1.8cmから8cmまでのタンク間距離で,タンクの高さをOcmから5.5cmまで変えて実験を行ない,次のような結果を得た. 1)延焼までの時間はタンクの高さの3乗に比例する. 2)延焼までの時間は延焼に十分な蒸気が流出するまでの時間ではなく,タンク間の対流が燃料蒸気を押し上げることができるまでに要す時闇である. 3)タンク間の延焼に必要な燃料蒸気の移動距離は,タンク間距離とタンクの高さを使った楕円の半周 の式で近似できる. 4)燃料がヘキサンの場合,延焼までの時聞t分は燃料蒸気の移動距離とタンク間の代表温度上昇値を使ったレイリー数Raで次のように表される. t=A・Ra A=1.5×10-6 ただし係数Aはタンクの直径および燃料に支配されると考えられる.
内径105mm,点火位置より開放端までの長さ,1500mmの下端密閉,上端開放の爆発筒を用いて,密閉端点火,火炎上方伝播方式により,ハロン(1301)のメタン爆発抑制効果を調べた. その結果,火炎の写真観測と圧力波形の観測から,メタン-ハロン(1301)-空気混合気の爆発限界を,火炎長の変化から,火炎抑制ハロン濃度(30cm火炎長)を得た,爆発限界におけるハロンの最高濃度ほ3.6%であった. また,火炎抑制に必要な最高ハロン濃度は4.7%であった.
一定濃度のCOと02を含む空気を呼吸したときの血液中のCOヘモグロビン濃度の時間的推移を求めるモデル式については前報で報告した.本報では,これを,時々刻々変化するCOならびに02濃度の空気を呼吸したときのCO中毒のダイナミックモデルに適用し,この数値解析の結果と,実物大の部屋で換気率を低く定めてガス器具を使用した家兎での実験結果と比較しよい一致を示した.これらの結果は,低換気率の部屋でのガス燃焼によるCO中毒は,従来の知見よりはるかに急速に危険な状態になることを示している.
小口LPG(液化石油ガス)消費者のガス事故は,点火前後の誤操作,未確認および立ち消えによって漏洩した生ガスに,消費者が不注意に点火したため起こる例が多いと言う調査結果がある.この結果は,点火前のガス検知が事故防止上重要対策であることを示唆している.そこでこの防止に効果のある実用的な安全装置の実例を調査した.ガス検知はいろいろな方式で行なわれていたが,この中からガスもれ検知器と点火器を連動させた安全装置の実例と問題点をここに紹介する.
工場換気の基本は,一般に調和空気を作業者・加工品に対し積極的に供給し,あわせて汚染物質の捕捉・制御・処理・排出することにある.排気は当然プル気流によるが,従来の換気の考え方の主流は,このプル気流のみで全て換気の目的を達成しようとしてきたところに問題があると思う.すなわち,人間祉会における男女関係のように,プル気流は女性・プッシュ気流は男性であり,つねにこの両者の協力が必要であると同様に,工場換気においてもプッシュプルシステムも必要に応じ考慮すべきであることを主張したものである.
トラッククレーンのラチス式ブームが,座屈倒壊した事故について原因の解明を行なった.クレーンの使用者側にはつり荷の重量を過小に見積ったこと,ブームを予定より長く継いでしまったのを気付かずに作業したこと,ブームを制限角度以上に起乙こして使用したこと等の不安全行為があったが,ブーム自体の強度についても,ブームの軸が鉛直面内でたわむと考える曲げ座屈強度は十分であったが,ブームの軸が水平方向にたわむと考えた曲げ座屈強度が小さく,これが原因の一つとなり事故となったことが判明した.