安全工学
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20 巻, 6 号
安全工学_1981_6
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
安全への提言
総説
  • 上田 実
    1981 年 20 巻 6 号 p. 302-307
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    静電気による災害防止に関しての基本的な対策の立て方を説明し,静電気発生の防止または減少させるための幾つかの方法,発生した場合の電位上昇を防ぐ方法について述べる.特に接地ということが静電気発生を押えるのではなく,電位上昇を押える方法であることを強調,ついで暖和の方策としての帯電防止剤についで述べ,最後に火花あるいは爆発防止についての現状を説明した.

  • 村崎憲雄,藤林宏一,松井満
    1981 年 20 巻 6 号 p. 308-313
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    防災的見地に基づいた静電気測定とは,絶縁破壊を生じる個所の発見と絶縁破壊が生じる可能性の程度とを同時に測定値として検出し,しかも評価指標化できなければならない.また,計器系が災害源になる可能性と測定系が現象を擾乱する可能性がない保証が必要である.一般論としては,ラジオテレメータシステムによる電界強度測定がもっとも望ましいが,機器内電界が線形特性であれば電流密度・電椅密度・電位のいずれを機内任意点で測定してもよい.しかし,実際には,機内静電気現象は非直線性であるがため,測定位置と計器位置すなわち位置ぎめは防災を目的とする静電気測定ではきわめて重要な計装事項である,参考としていくつかの例についての測定法を総合し,ラジオテレメータシステムの電界強度計の試作品をあわせて説明する.

  • 森田 豊
    1981 年 20 巻 6 号 p. 314-319
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    電気抵抗率の高い可然性液体は,流動その他の原因によって,それ自体が帯電する現象がある.帯電現象があれば,引続いて放電現象が伴う.そしてこの放電エネルギーが,可燃ガスヘの爆発着火源となる危 険性をもっている,静電気が原因となる爆発や火災は,帯電,電荷の蓄積による電位上昇,放電という一連の過程をたどって発生するものである.したがって災害を防止するには,これらのうちのいずれかを完全に抑制すればよいことになる.しかし静電気現象の中には,いまだ数量的に明確でないものもあって,危険状態を定量的に予知することが確立しているとはいいがたい.しかし従来各研究者の関連研究の多くの成果があり,本稿は,これまでに得られた各研究成果をもとに,可燃性液体についての静電気現象と災害防止対策についてまとめたものである.

  • 荷福 正治
    1981 年 20 巻 6 号 p. 320-327
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    粉体を扱う作業・プロセスにおいて,静電気の発生する状態を挙げ,また,静電気の発生・帯電・旅電に及ぼす条件,粉じん爆発との関係について述べた.さらに,発生した静電気による粉じん爆発を防ぐため,接地・粉体と接触する部材の導電化・除電などの帯電防止対策および粉じん爆発防止対策にも言及し た.

  • 川瀬太郎,高橋健彦
    1981 年 20 巻 6 号 p. 328-332
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    接地とは種々の設備を大地と電気的に接続することであるとして,まず各種の目的の接地を紹介する,次に静電気障害防止用接地の特徴として,その高接地抵抗性を指摘し,CRモデルを使ってその根処を説明する.一般的な接地抵抗の定義付けの後,接地抵抗問題と静電容量問題の対応性に触れる、そして,具体的な接地工事に当たって重要な要因である大地抵抗率を述べ,その性質や実際の数値を紹介する、理論的取扱いの容易な半球状接地電極および実用的な棒状接地電極の接地抵抗公式を記述する.最後に,鉄骨造,鉄筋コンクリート造,鉄骨鉄筋コンクリート造のビルの構造体(躯体)の電気的特性に触れ,構造体そのものの接地効果を利用するr構造体接地」を紹介する.そして,避雷針のJISに採用されている構 造体の接地抵抗の推定法を要約して述べる.

資料
  • 清水 靖彦, 山口 紀一郎, 芳賀 武志
    1981 年 20 巻 6 号 p. 334-339
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    単なる攪拌,移送工程の静電気対策ではなく,化学工場における混合.反応などに使用される攪拌槽での原料充墳,サンプリング,槽の洗浄など関連事項を含めた静電気安全対策の概要を述べる. さらに,それに関係する具体的な解析例として,グラスライニング槽内での沿面放電,絶縁性ホースによる可燃性液休の移送,テフ賞ン製注入管の帯電,帯電したブラスチックシートからの沿面放電,水によるジェット洗浄の安全性などを紹介する.

  • 炭谷 不二男
    1981 年 20 巻 6 号 p. 340-345
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    可燃性液体を取扱う際に静電気が原因と推定される災害が凌)とを断たない.静電無自体の研究も各方面で進められ,その成果も発表されている.しかし静電気劇体が岡囲の礫境条件に支配されることが大きいため,研究成果の作業現場への適用がむずかしい点も見受けられる.現実には現場作業もβ夜進行している現状から,取扱い中における対策を概説した.それには災害事例の採1り上げ方嚢対策を採るべき墓本理念,のあり方をはじめとして,対策はシステムとして採り上げなければならないが主要塗エ程における主要な対策について説明を加えた.未解決の問題はあるにしても,一連の対策を,管理をふくめて実行することによって安全は期待し得られる, 合わせて同時に考えなければならない人体帯電をはじめ別稿で述べられる事項は省略した.

  • 坂本 浩
    1981 年 20 巻 6 号 p. 346-354
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    流動乾燥機,集じん機など粉体取り扱い工程においては,その機構上微粉末が空気中に分散,浮遊して危険性ふん囲気を生成しやすく,また機壁,フィルタバッグ等と接触,はく離や,粉体相互の攪拌流動にともない多量の静電気が発生し,これが藩火源となった爆発事故も多く報告されている, ここでは着火源の一つである静電気対策として,フイルタバッグを中心にその性能・構造・接地等について現在改訂中である静電気安全指針の改訂原案を紹介するとともに,災害の局所化対策としての爆発放散口ならびに潜在する爆発危険性についてのべる.

  • 高井 誠
    1981 年 20 巻 6 号 p. 355-361
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    優れた絶縁物である高分子炉出現して以来,静電気帯電の問題がクローズアップし,この間題解決の一つとして帯電防止剤が開発された.この帯電防止剤は大部分のものが界面活性剤であって,界面活性剤の親水基が電気抵抗の小さい膜を作るために,静電気帯電を減少させている.しかし,界面活性剤であるから,水によって洗い流されることもあり,この特性が帯電防止剤の長所でもあり,欠点にもなっている.すなわち,製造工程等で一時的な帯電防止効果が望まれる場合は長所になるものの,製品等で効果の持続性が望まれる場合は欠点になっている.ただ,静電気の災害,障害防止対策として,帯電防止剤を使用するには,このような特性を有効に活用することであり,ここではそのような意昧から,帯電防止剤の特性について紹介するとともに,その使用方法についても若干触れてみた.

  • 田畠 泰幸, 八木 新治
    1981 年 20 巻 6 号 p. 362-367
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    除電器は静電気災害,障害の防止対策として広く活用されている.また,最近は各種の除電器が開発され,現在市販されている器種も十数種になっている.このように,除電器が静電気対策にとって不可欠なものになっているが,これが必ずしも有効に使用されているとは限らない.そのため,除電器の性能が半減しているとか,除電器が可燃性物質の着火源となって,災害を誘発していることもある.したがって,ここでは除電器の特性について,特に除電性能について解説するとともに,除電器の使用にあたって留意しなければならない事項について述べた.た,除電器については産業安全研究所の「静電気安全指針」でも取り上げられているので,本文の中にはその三部である除電器の性能基準,その試験方法等について紹介した

  • 平川 薫
    1981 年 20 巻 6 号 p. 368-372
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    人体の静電気帯電によってひき起こされる災障害は,重大なものとなる可能性が大きい,靴や衣服の帯電によって人体の実帯電または誘導帯電が起こるが,いずれの場合にも帯電防止の基本は人体の接地である.しかし人体帯電には衣服や床が関与するため帯電防止用作業靴,帯電防止作業服および導電性床の三者が一体となった対策が必要である.

  • 古谷 勝美
    1981 年 20 巻 6 号 p. 373-378
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    コンピュ一タ・システムの静電気障害の実態について展望し,このうち特に重要と思われる惰報記録媒体の帯電と放電雑音の対策について詳説し,最後に静電気障害対策の定石についてとりまとめた最近のコンピュータは単なる計算機械ではなく,オンラインで社会を動かしている情報処理システムであり,時としてコンピュ一タの故障が世の中に大きな災害をもたらす存在になってきた.この論文ではコンピュ一タの誤動作する最大の要因の一つである,静電気放電とコンピュータの信頼性との関連について重点的に述べている.

災害事例分析
  • 永田 宏文, 萩原 隆一
    1981 年 20 巻 6 号 p. 379-385
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    ガソリン注油中のポリエチレン製携行缶での発火事故,ネオプレンゴム製ボール圧送による油送管内の残油処理中の爆発事故,LPGタンク車から貯蔵タンクヘLPG移充填中の火災事故,およびアルミ粉製造プラントにおけるアルミ粉回収用パグフィルタ室爆発事故の以上4件の事例は,事故原因の調査解析の結果,いずれも静電気が着火源と考えられた.ここでは,静電気の災害に結びつく帯電過程を明らかにするための実験や,事故の発生要因等の検討結果について解説し,静電気災害防止のための一資料として提 供する.

  • 中村 康宣
    1981 年 20 巻 6 号 p. 386-389
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    事故原因が静電気であることがわかっていても,その事故過程がはっきりしないため,適切な対策が講じられないという点も静電気災害の特徴の一つである.1色1ユニットからなる7色刷りグラビア印刷機において,被印刷フィルムの帯電が原因であると思われる火災が4か月間に5回も発生した,しかも特定の機械のみに事故が集中しまた出火箇所が前半ユニットに限られるといった変わったケースである。ここでは,この特異性を解析するポイントについて解説し,原因がインキによって構成される電気回路の放電によることを推定して,その対策について紹介した.

  • 児玉 勉
    1981 年 20 巻 6 号 p. 390-396
    発行日: 1981/12/15
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    静電気放電が着火源となって発生する爆発火災などの静電気災害を防止するためには,過去に発生した災害の統計や事例,または調査結果を分析し,これを参考にすることが有効であると思われる.ここでは,消防庁の火災統計から,近年における静電気火災の年次推移と,火災の種類別・着火源別・月別の出火件数を分析し,また,労動省産業安全研究所が実施した製造業における静電気災障害の実態調査から,工場・事業場における静電気に起因する爆発火災・電撃・生産障害の業種別発生状況,安全対策の実施状況,静電気災害の事例からみた爆発火災の発性状況等を分析し,最後に具体的な災害事例のうち代表的なものの災害概要を掲げた.

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