安全の程度を工学的に定義すれば,被害の大きさとその頻度との積となる.被害の大きさは小さい値から大きい値まで連続した値が想定される.頻度の密度pと被害の大きさhとの間には関数関係が存在する.この関数形をhn・p=Kとしたとき,多くの安全工学上事例において,一定の境界条件の下ではnとKが近似的に一定である.この関係式が成立するときは安全性が簡単な式で表わされ,nは安全の特性塗示す指数である.nを設計に採り入れることにより,有限な事故発生率の下に高い安全性を達成することができる.
一般家庭用電気器具の電源スィッチを用いて,これをON,OFFする際に接点間で発生する需気火花による可燃性混合気への着火実験を行なった.実験用スイッチとしてはキーソケットスイッチ,中間スイッチおよび埋込スィッチを使用し,負荷用の電気器具としては白熱電球,換気扇,螢光灯および抵抗器を使用した.また可燃性ガスとしてはメタンおよびプロパンを使用した.その結果,1)キーソケットスイッチのOFF時が最も着火しやすい,2)スイッチON時よりもOFF時の方が着火しやすい 3)誘導性負荷である電気器具のスイッチをOFFした場合の方が,抵抗負荷の場合よりも小さなエネルギーで着火する 4)着火に必要なエネルギーはスイッチの種類や回路条件などによって左右され,数mJで着火する場合もあれば,数Jでも着火しない場合もあることなどがわかった.
反応機構のよく判っている種々の組成の水素-空気炎について,冷壁による消炎距離を理論的に計算し,実験的に得られた安細隙(Safe Gap)の幅と比較した.ここで消炎距離を最近接火炎の発火温度の位置から壁までの距離とする.安全細隙の幅の半分は,発火温度を(Tb+Tu)/2,(Tb:燃焼ガス温度,Tu:来燃ガス温度) としたときの消炎距離とは水素過濃側では一致しない.しかし最近接火炎の温度プロファイル上でdT/dxが 2×103(K・mm-1)を示す位置の温度を発火温度とすると両者は大体一致する.
LNG等を貯蔵するプレストレストコンクリート・メンブレン式低温貯槽の安全性を検討する目的で,56.5m3の半地下式貯槽を用い,液体窒素による温度特性試験を行なった.太陽の輻射熱及び貯槽全表面積から計算する簡易式により蒸発損失量を十分予測しうる.土中の温度分布は,3層モデル差分解による計算値がほぼ実測値に合致した.このさい,物性値を適切に選ぶ必要があるが,それよりも地下水と凍結とを考慮した境界条件の方が支配的であった.凍結領域は球型モデルによる計算値よりも実測値の方が広かった.
蓄圧式消火器の加圧下での応力分布を抵抗線ひずみゲージを用いて調査した.その結果,消火器の口板との境界付近,鏡板と円筒部との溶接線付近は主応力値が大きく,また変形防止リム上には大きな圧縮応力が作用していることがあきらかになった.
優れた耐食性のチタンは,多くの化学プラント類や海水淡水化装置などに使用されている.しかし鋼材と異なり実用化の歴史は約30年程度で,鋼材と比較すれば若い金属材料である.このため使用条件によってはチタンが発火する危険性について,充分理解されていないようである.そこでチタンの発火事故例と,文献による燃焼性及び発火原因調査のための筆者の行なった実験を紹介し,チタンの酸素中における発火危険性を理解していただきたい.