安全工学
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24 巻, 3 号
安全工学_1985_3
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
安全への提言
総説
  • 琴寄 崇, 上原 陽一
    1985 年 24 巻 3 号 p. 124-135
    発行日: 1985/06/15
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー

    多種多様の化学物質を多量に取り扱う化学工場においては,操業に伴う危険を未然に防止するために,原料や製品,さらには工程途中の化工品,の持つ潜在的危険性を自主的に.測定し,得られる危険物性値を活用するところが次第に多くなってぎた. 本稿においては,この方面に関心を持たれる方々のために,国内外における安全関係4団体からだされている本主題に関連のある指針類のほか,内外12企業において現在行われている化学物質の危険性測定の実施状況を主とLて紹介する.次いで,我が国においてはまだほとんど紹介されたことのない,スイス各社において開発された,SIKAREX,SEDEX等6種の試験機器類の概要を説明する.最後に,今回の調 査を通じて得られた感想を御参考までに付け加えることとする.

報文
  • 朝倉祝治,上原陽一
    1985 年 24 巻 3 号 p. 136-140
    発行日: 1985/06/15
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー

    前報では,化学反応系の安定性を理論的に解析し,安定度指数と呼ばれる新しいパラメータμを導入した.このパラメータは環境の温度をわずかに揺動させることによって実験的に求めることができる.安定度指数はμ=1-q/hによって定義される,ここでqはある系の発熱速度の温度微分値,hは総括伝熱係数である.本報告は安定度指数を実在する化学反応に適用することを目的としている. 熱力学的及び反店速度論的な考察からq=Q・vの関係が近似的に求められた.ここでQは反応熱(発熱反応の時正の値をとる)及び抄は反応速度の温度微分である. 化学反応は安定度指数匠よって次のように分類でぎる, (i) μ≦0の場合  定常状態は存在しない.化学反応は,発熱反応であること,反応速度は温度と共に増加すること,及び反応速度の温度微分値は総括伝熱係数より大きいことを満たしていなければなら ない. (ii)0<μ<1の場合  定常状態は存在する.化学反応は,発熱反応であること,反応速度は温度と共に増加すること,及び反応速度の温度微分値は総括伝熱係数より小さいことを満たしていなければなら ない. (iii) μ=1の場合  化学反応は系内で起こっていない, (iv)1<μの場合  化学反応は,吸熱反応であること,及び反応速度は温度と共に増加することを 満たしていなけれぱならない. (v) μ~∞の場合  なんらかの相変化が系内で起こっている.

  • 潜在危険性のある反応に関する研究(XⅢ)
    朝倉祝治,上原陽一
    1985 年 24 巻 3 号 p. 141-144
    発行日: 1985/06/15
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー

    前報までに,化学反応系の安定度指数μと温度の関係を論じた,化学反応系が安定性を失う臨界温度丁cはその関係をμ=0に外挿して求めていた.上記の関係を得るためには系の温度をある範囲内で変動させなければならない.このようにして系を乱すことは必ずしも好ましいことではない・ 本報告では系の温度をほとんど変動させることなくTcを推定する可能性を示す.

    Tcは下記の方程式を解くことによって与えられる.

    1nεθ-ε(1/Tc-1/T0)=21nTc

    ε=(To2Ts)(△θ/θ)

    ここで,θは系と環境の温度差,T0は系の温度,△θと△Tsは環境の熱的刺激に対するθとToの微小変動である.上記の方程式は図1に示したように図式解法によって求められる. 木方法によれば,測定系の温度をほとんど乱すことなく,連続かつ実時間で,ある化学反応系の臨界温 度を計測し続けることができる.

  • 村林眞行,松野武雄
    1985 年 24 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 1985/06/15
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー

    大気中から土壌への水銀蒸気の沈着にっいて,小型風洞を用いて実験を行った.風洞中に水銀蒸気を含む空気を流し,一定時間土壌試料をこの空気にさらした後に,風洞中の空気中水銀濃度及び土壌試料への水銀沈着量の測定から,土壌への水銀の沈着速度を求めた.土壌としては,関東ローム及び表層土を用いた, 沈着速度は用いた土壌試料によってあまり差がなく,沈着速度としてVd =3.5×104m・s-1の値が得られた.ある排出源から放出された空気中の水銀蒸気が土壌等地上に沈着してゆく割合を表すモデルを導入し,このモデルと実験により求めた沈着速度を用いて計算した結果,排出源から500m以内に沈着する水銀蒸気は,風速0.5m・s-1で排出量の約11%となることが予測された.

資料
  • 柳生 昭三
    1985 年 24 巻 3 号 p. 152-158
    発行日: 1985/06/15
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー

    密閉容器に入っている可燃性液体の液面上空間のように,一般に液と蒸気の共存状態における気相系の爆発危険性を知るには,蒸気の爆発限界を組成で示しても直接には役に立たない場合が多く,ここに下部引火点及び上部引火点と呼ぶ二つの温度が重要となる背景がある、しかし,この特性値は従来から実測値も,また蒸気の爆発限界からの換算値も,系統的に発表された例がほとんどないため,可燃性液体の取扱 い上極めて不便であった. 著者はかねてからその重要性を感じ,多くの物質についてこの数値の実測による検討を重ねてきた.本稿ではその成果を,蒸気の爆発危険性状が一べつして理解できる蒸気圧線に基づいた引火温度と爆発限界の関係線図という形態で,連載により順次紹介することとした.今回の(1)では上記の引火点の概念と重要性,測定方法,及び関係線図の作成要領などを述べ,各物質の線図の掲載は次回の(2)以降とする.

  • 横山 長之
    1985 年 24 巻 3 号 p. 159-164
    発行日: 1985/06/15
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー

    地上近くの低層大気の構造とそのなかにおける煙の拡散の取扱いについて解説する、大気拡散の状態は大気の成層状態に左右される.熱対流の起こっている不安定時には鉛直拡散が速く,高所煙源の煙も速やかに着地し,濃度が高くなる,一方,地上煙源から排出された煙は速やかに上空へ拡散し着地濃度は相対的に低くなる.温度逆転層が形成されている安定時には,これと反対に地上源からの煙が上空へなかなか拡散せず,高濃度となりやすい.このような大気の状態,拡敵の定量的な取扱いについて解説する.

災害事例分析
  • 駒宮 功額
    1985 年 24 巻 3 号 p. 165-169
    発行日: 1985/06/15
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー

    古くから炭鉱などで10kg/cm2以下の圧縮空気を各種機械の動力源として用いていた欧州では,数多くの爆発を体験していた.昭和23年フランスの炭鉱で空気配管の爆発により多数の犠牲者を生じた際原因追求実験時に,配管内の潤滑油油膜を燃料とする爆ごう(フィルムデトネーション)現象が初めて発見された・)が,依然として事故が生じている2).昭和58年には100kg/cm2付近の高圧空気配管での爆ごうが発生したが,高圧下での事故は国内はもとより,国外でもまれなものと思われる・同種事故再発防止のためその概要と,発火源を明らかにするため行った高圧空気下での潤滑油の発火温度の測定実験の概要とを紹介し,併せて事故原因を推定した.

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