安全性評価法を確立するにあたって,人間のエラー行動のメカニズムを事故事例から明らかにし,その・エラーを防止するための人間工学的チェックリストを作成した、これが神奈川県工業保安課で実施している神奈川県高圧ガス施設安全性評価指針である、この使用法と意味について解説してある.
AHn形の水素化物ガスについて,空気中の下限界濃度混合ガスの断熱火炎温度を計算した・また,これらのガスの平均結合エネルギおよび結合解離エネルギを熱化学データから計算した.熱化学データが十分でないGeH4,AsH3,H2Seの結合解離エネルギは,ab initio MO法による理論計算を用いて見積もった.以上のように得られた爆発下限界温度を縦軸に,結合解離エネルギを横軸にとってプロットしたところ,両者の間に良好な相関関係のあることが見いだされた.ただし,ここで取り扱われた8種のガスのうちでH2Seのみが例外をなすが,その理由は明らかでない.ここで得られた相関関係をもっと異質の水素化物ガスにまで拡張する可能性についても議論した.
ベンゼンの水素化反応における主要な副反応であるノルマルパラフィソ類の生成反応を考慮して反応のシミュレーションを行い実験結果と比較検討した.その結巣,これらの副反応を考慮した計算は実験の傾向を良好に表すことができ,反応の暴走の原因であると考えられるような異常な温度上昇を再現でぎた。 この異常な温度上昇は反応条件の変化により主反応の反応熱が大ぎくなって触媒層が高温になり,これに触発された副反応の反応熱によって触媒層の温度がさらに上昇するためであることが明らかとなった、したがって,副反応あるいは反応の暴走を防止するためには触媒層の温度を低く抑えることが重要であり,そのためには水素/ベンゼソ比の制御,不活性粒子による触媒の希釈あるいはメタン等による反応ガスの希釈が有効な方法であることが示唆された.
フランジ部の漏えい防止対策の一つとして,ボルト締付応力の管理が挙げられる.しかし応力測定に関する報文はまだ少なく,特に加圧条件下で温度変化を与えた場合の応力挙動に関する測定・解析技術が望まれていた.今回,当社において本課題を検討すべく実験を行ったので以下に紹介する.
著者はかねてから,可燃性液体を取り扱う上での下部引火点と上部引火点の重要性を認識した結果,多くの物質についてこの数値の実測による検討を重ねてきた.本稿ではその成果を,蒸気の爆発危険性状が一べつして理解できるように,蒸気圧線に基づく引火温度と爆発限界の関係線図という形態で,各物質について順次紹介することとした.
本稿は英国のThe Chemical Engineer誌(The Institution of Chemical Engineers発行)の1974 年10月号,P.637~652に掲載された原著を,著者および雑誌発行元に転載許可を求めたうえで,訳出し たものである, 1974年当時の事故情報とはちょっと古い話なわけであるが,それでも,・個々の内容は大方にとりなお十分参考となり得るであろうし,なにより,外国においても化学工程の安全なる主題に対してわれわれとほぽ同様な考え方で取り組んでいる様子がうかがわれて,これまた,大方にとり参考となるであろう,との二つの観点から紹介することを思い立ったしだいである・ なお,今後,日木の事故情報を英訳する機会もしだいに増えてこようが,原文にはそのような際に参考となり得る文例が数多く見受けられることも申し添えておぎたい(訳者注).