直径4.2cmの水平集じん配管中にほぼ均一な粉じん流を形成させ,コルクおよびABS樹脂粉じんの最小発火エネルギーに及ぼす空気速度の影響および火炎先端速度を検討した.10~35m/sの範囲で集じん空気速度を増すと,最小発火エネルギーは著しく高くなり,火花発火限界も狭くなる。発火直後,下流側火炎先端速度は加速され最大速度で110~180m/sに達した後,減少または消炎に至る場合が多い,配管中を伝ぱする粉じん火炎の観察から,火炎速度の加速・減速は粘性抵抗などのほかに火炎直前での粉じん濃度の濃縮や乱流混合などによるものと推定した.
感度の高い酸化剤一赤リン接触混合物に落槌試験を適用してその混合物の落槌感度の序列を調べた、安全上の理由から,混合操作なしの小試料接触混合物を用いた。広範囲にわたる打撃感度を測定するためにいくつかの試料保持部分の集合体を工夫した, 酸化剤一赤リン混合物の感度を成分酸化剤の構成から分類することは困難であった.しかし,臭素酸塩,塩素酸塩,次亜塩素酸塩および過酸化ナトリウムを含む混合物がこの研究で試験した試料のなかでは高い感度を示した.試験した全混合物の感度をジュール単位の落槌のエネルギーで表して図示した.
n-ブタン-空気混合気の自然発火限界を温度範囲620~973K,圧力範囲0.1~1MPaで注入法により測定した.その結果,620~770Kの温度領域に爆発半島が存在し,その大きさはn-ブタン濃度の増加に 対し減少した,冷炎は870K以下で出現した.誘導時間から求めた冷炎の見かけの活性化エネルギーは79~109kJ/mo1であった.また,73%n-ブタン-空気混合気の爆発限界圧力は,673Kにおいて1気圧 であった.
下水道が普及するにつれて,下水処理水量も増大し,これに伴って,汚泥の発生量も増加している.この下水汚泥は,そのほとんどが廃棄物として埋立処分されている現状であるが,今後,埋立処分地の確保は困難となる状況が予測されているので,埋立処分に代わる汚泥の処分方法の一つとして汚泥を有効活用するための資源化が重要な課題となっている. 東京都においては,汚泥の資源化について昭和40年代後半より今日まで,さまぎまの調査研究と開発に努めてきた.汚泥の資源化は,下水道事業に携わるものにとって,「永遠のテーマ」なのである.
エキスパートシステムは,人工知能(AI)の一つの有力な分野として,種々なシステムが開発されて いる.なかでもプラントの運転支援システムは,AIの一応用として,またプロセス制御の一つの延長として大いにその実用化が期待されている.ここでは,プロセスコントロールの知見を基にして試作されたオンラインリアルタイムエキスパートシステムについて報告する.あわせて,そのようなシステム開発のための知識整理の方法やデバッグの方法等,ノレッジエンジニァリングの方法についても記述する.
著者はかねてから,可燃性液体を取り扱う上での下部引火点と上部引火点の重要性を認識した結果,多くの物質についてこの数値の実測による検討を重ねてきた.本稿ではその成果を,蒸気の爆発危険性状が一べつして理解できるように,蒸気圧線に基づく引火温度と爆発限界の関係線図という形態で,各物質について順次紹介することとした.
昭和61年8月,神奈川県内にあるアルミ鋳造工場の保温加熱炉(保熱炉)が金属火災を発生した。保熱炉は,溶融状態のアルミ合金を鋳造機に供給するために設けた容器であり,鉄製るつぼと灯油バーナで構成される,バーナ点火後40min,通常ならばるっぽ内のアルミ合金が溶融し始めるころに,突然,るつぼは白熱しアルミ合金とともに流出した.その原因は,なんらかの理由でるつぼが割れ,.るつぼから流出した溶融アルミ合金とるつぽの酸化鉄が混合し,この混合物がバーナ火炎で強熱されて異常に高い温度を発生したことにあると推定される.
昭和59年9月9日午後11時ごろ,富山県下のアルミニウム鋳造工場のアルミスクラップ溶解炉で爆発事故が発生し,作業者が死亡した.この事故は溶解炉内の溶融アルミがアルミスクラップが含有していた水分に接触した直後に起きたため,翌朝のテレビではこれを水蒸気爆発の発生と報じた。 ところが,その後のわれわれの調査により,この事故では水蒸気爆発のほかに2次的に発生したアルミ液滴の燃焼による爆発(霧滴爆発)が存在したとわかった.また,この事故が大きい被害をもたらしたことの主体は,2次的な霧滴爆発であることもわかった. 溶融アルミにおける水蒸気爆発では2次的に霧滴爆発が随伴する可能性が高いことは研究ずみであるが1),それが起きたという事故例についての報告が少ない、本報ではそれを報告する.