最近,巨大技術システムの事故が多発しており,その原因を追究すると,いずれの例でもヒューマンファクター(HF)の問題に突き当たる. 事故原因としてのHFは,そのアプローチの困難さ,特に日本的精神風土も加味されて,真の姿を描 き出すことが容易でない. 本報ではHFへのアプローチの方法,そのメカニズム,さらに影響を及ぼす背後要因,事故防止の基 本となる問題などについて述べてみた.
2輪車用ガソリンタンクと気密試験にカルマンフィルタと多重仮説検定を用いた最適予測理論を適用し,漏えいの有無および漏えい量の判定を行った。正常なものと検査されるものとの二つのタンクを用意し,圧縮空気注入後の二つのタンクの間の差圧を測定することにより,タンク内部圧力の微妙な変化をとらえることができ,漏えい孔が非常に小さい場合にもそれを検知することができた.また,漏えい量の異なるモデルをいくつか用意することで,測定データから漏えい量の推定をすることもできた.
回転変動パターンの変化は回転機械固有の故障と関係付けられるから,二れを検出することによってその診断が行える.しかし,このようなパターンの微妙な変化を実時間で検出する試みは,従来あまり 行われていなかった. 本研究では,カルマンフィルタと統計的仮説検定を併用した手法に着目し,これを回転変動のオンライン監視に応用した.正常状態および人為的異常状態の下で基礎的な実験を行ったところ,本手法の有 効性が確かめられた.
酸化剤一可燃物接触混合物の打撃感度を可変落球重量の落球式打撃感度試験機を用いて測定した.打撃感度は50%爆点における落高エネルギーE5。で表すことができた、酸化剤との接触混合物に使用した赤リン,硫黄,エチレングリコール,ケィカン石,アルミニウム,マグネシウム等の可燃物のうち,赤リンが最も高い打撃感度を示した.落球式打撃感度試験と落っい式打撃感度試験で得られたデータの相関関係式を導き,落つい式打撃感度試験で得られたデータを含め,多くの酸化剤呵燃物接触混合物の打撃感度の序列を得ることができた.
本稿は,プロセスプラントの建設に際し,適用される法令のコンサルテーションを,知識表現言語のエキスパートシステムは,ようやく実用化の時期に至ったとされているが,公表されている文献では,システムの中身が判然と理解しにくい面があるので,事例の一つとして紹介する. なお,本システムは,プロダクションシステムおよび前向き推論を採用している.
著者はかねてから,可燃性液体を取り扱う上での下部引火点と上部引火点の重要性を認識した結果,多くの物質についてこの数値の実測による検討を重ねてきた.本稿ではその成果を,蒸気の爆発危険性状が一べつして理解できるように,蒸気圧線に基づく引火温度と爆発限界の関係線図という形態で,各物質について紹介してきたが,この報告の連載は今回で終了とする.