安全工学
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26 巻, 6 号
安全工学_1987_6
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
巻頭言
安全工学協会創立30周年記念座談会
創立30周年 特集
  • 上原 陽一
    1987 年 26 巻 6 号 p. 340-345
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    1976年イタリアのセベソで起こった,反応暴走によるTCDDの放出と,それによる汚染状況を概観し,事故時のプロセスの状況,事故原因について述べた.運転規則に違反した行為があったことも事実だが,それまで230。C以下であれば安全とされていた反応混合物が,それよりもずっと低い温度でなぜ暴走したかについての理由は不明であった. ここでは,その後に行われた反応混合物の性質の解明の過程を紹介し,中間物を含む物質の物性を十分に把握することの重要性を示した.

  • 三宅敏之・B.Bowonder
    1987 年 26 巻 6 号 p. 346-354
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    1984年12月2日,インド中部の都市ボパールで,ユニオンカーバイドインド社から,イソシアン酸メチルが多量に漏えいし,死者2000人以上を出す今世紀最大のプラント事故が発生した、 ボパール事故の背景には数多くの安全管理上の問題点が見られる, 本稿では事故の詳細を明らかにするとともに,事故の問題点を四つの観点(すなわち,テクノウェア(technoware),ヒューマンウェア(赴umanware),インフォウェア(in{orw玖re)およびオーガウェア (orgaware))に立って解析した.

  • 西川 光一
    1987 年 26 巻 6 号 p. 355-362
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    1986年11月1日深夜,スイス,バーゼル市の近郊のサンド社(S撒doz AG)で発生した倉庫火災は,死傷者はなかったものの,大量の消火水とともに流出した農薬等の化学薬品がライン(R騰ne)川に流入し,深刻な環境汚染をもたらし,流域の3箇国に影響を与え,国際的な問題となった, サンド社では,社会の批判と政府当局の改善勧告に応じ,経営の根幹にもかかわる大規模な安全対策を行い,多額の賠償請求にも対応しようとしている,欧州の化学工業も,環境対策への取組み姿勢の甘さが批判され,多額の公害防止投資を行うなど,深刻な影響を受けている, 事故の原因は,ベルリン・ブルーのシュリンク包装の際の過熱から,内容物のシュガ~バーニング(くすぶり)が起こったものを,規定通りの放置冷却を行わずにただちに倉庫へ搬入したことによる,蓄熱・自然発火であると発表された。過熱の原因は不明であるが,放冷という安全対策が守られなかったことから,管理者か作業者が作業規定をきちんと守っていれば起こり得なかった事故であったといえる.この事故の状況を述べ,教訓として,倉庫の安全対策と火災時の緊急対応等について考察する.

  • 小林 英男
    1987 年 26 巻 6 号 p. 363-372
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    日本航空所属ボーイング747型ジャンボジェット墜落事故機の後部圧力隔壁の破裂の直接原因について,航空事故調査委員会の結論,試験研究結果および著者らの研究結果を解説し,検討を加えた.その結果,「しりもち事故」の修理箇所のi列りベット結合の強度低下よりも,むしろりベット孔の大半に欠陥が存在したことが直接原因であると推定される.今後,この点に関して正確な調査が望まれる.

  • 佐藤 一男
    1987 年 26 巻 6 号 p. 373-379
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    1986年4月26日発生した,チェルノブイリ原子力発電所の事故は,原子力開発史上未曾有のもので,その影響は北半球全体にまで及び,多数の死傷者を出した.事故を起こした原子炉は,ソ連が独自に開発してきた型式の炉で,その設計・特性を背景として,運転員の多数の規則違反が事故の引金になった. 本稿では,事故炉の概要,事故の経過と原因,事故の影響について述べ,さらにこの事故の意味するところを評価し,わが国を始め世界の原子力安全の向上のための教訓となる事項を紹介する.

  • 廣田 浩雄
    1987 年 26 巻 6 号 p. 380-387
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    1985年9月19日メキシコ西海岸を震源域とした巨大地震は,震源から300km以上離れたメキシコ市で,4千人を超える死者,1万人を超える負傷者という大被害をもたらし,わが国を初め世界各国の注目を集めた。メキシコ市は,全人口の約22%が集中する首都で,被害はその首都圏の中心部に最大の影響を与え,都市的震災として耐震建物のあり方,同時多発火災への対応等いくつかの教訓を残した. 地理的条件や建物構造の違い等により,わが国では予想し得ない災害であったとはいうものの,地震発生のメカニズム,近代的過密都市という点において東京と共通している部分が多く,決して対岸の火災視してはならない震災であった.ごの地震災害の調査のため,東京都の調査団の一員として参加した調査結果の概要と実際に現地を調査した知見等を併せて紹介する、 なお,本稿は東京都メキシコ地震調査団の各位およびメキシコ市の関係機関の御協力をいただ6たこ とを深く感謝いたします.

  • 日下部 実
    1987 年 26 巻 6 号 p. 388-398
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    1986年8月にカメルーン西北部の火口湖の一つNyos湖で発生したガス災害は,死者1700名以上の被害をもたらした。突出したガスは二酸化炭素がほとんどであり,硫化水素や二酸化硫黄は含まれていなかった。死因は二酸化炭素ガスに覆われたことによる窒息である.二酸化炭素の起源は,その同位体比からマグマ性である.現在のNyos湖には,まだ飽和量の20%に達する二酸化炭素が溶存している.地質学的に類似な環境にある他の火口湖について,ベースラインデータを蓄積することがなによりも重 要である.

  • 小倉 信和
    1987 年 26 巻 6 号 p. 399-402
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

     この紹介記事は,1977年4月3日に発生したカタール国におけるLPGタンクの脆性破壊事故と,それ小倉信和宰 に引き続いて発生した爆発火災の状況を紹介したものである。基地内のタンク群は全壊,全焼し,隣接したプロセス地区もほぼ全焼した.死者6名,負傷者鴛名の人的被害を伴っている.この事故は直接の被害のほか,その後の液化ガス基地のあり方,液化ガスタンクの選択に対して国際的に大きな影響を与えることになった.ここではこれらを含めて紹介している.

  • 福地 知行
    1987 年 26 巻 6 号 p. 403-408
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    現代のエネルギー源としては,すでに欠くべからざるものとして,LPガスは都市ガスとともに不動の地位を築いたといってもよい. しかし,その両者ともに現在のその地位を確保するに至った経過において,必ずしも平坦なものばかりではなかった。数々の事故を引き起こし,尊い人命を奪い,さらに高価な物的代償を払わされ,それゆえにこそ,安全に使用できるための種々の方法,システム等が開発されて,今日に至ったのである。 過去に起こった事故は数々あるが,ここで述べる「つま恋」事故以前は,昭和37年9月13日に山中湖畔の山荘で起こったガス風呂の燃料としてのLPガスの不完全燃焼に起因する一酸化炭素の発生によ って1!人の生命を奪った事件が思い出される・ LPガスは安全でかつ安価であるといわれて多量に使われようとした矢先の話であり,その後LPガス使用の家庭に起こった数多くの爆発事故は,使い方によっては都市ガスと同じように安全と危険とが背中合せであるという教訓を残している. このようななかで「つま恋」の事故が起こったのである.もういまでは思い出のなかの事故のようになって終わったが,LPガスの事故としては最大の犠牲者を生じた事故となった.すなわち,静岡県掛川市満水2000番地のヤマハレクリェーション施設「っま恋」において,昭和58年11月22日午後0時48 分,爆発事故が発生し,人的には死者14名,負傷者27名,物的な被害としては鉄骨平屋建(993.7m2)が全焼,スポーツマンズクラブ室内プールガラス窓全損等となった、 この満水亭の概要について述べ,つぎに事故について日時を追って,その経過の詳細をたどってみる こととする.

  • 山口 隆章
    1987 年 26 巻 6 号 p. 409-413
    発行日: 1987/12/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    さる1984年11月,メキシコ市内のLPガス配送基地で発生したLPガス爆発火災の状況,事故後の様 子について,現地訪問,資料などに基づいて,きわめて簡単に報告した. なにぶんにも色々な責任問題,刑事上問題があって,特に原因については不明である.扇日本とは色々な条件が大幅に異なっているので,教訓はない.ひとことでいえばgただ驚きである.

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