中国ではエネルギーの70%以上を石炭に依存しているために,大都市では粉じんと二酸化硫黄による激しい大気汚染が生じている.また,最近では石油化工区や自動車交通量が急増している大都市では光化学スモッグも出現している.二酸化硫黄の大気中への放出は,東北部に見られる塩基性土壌やアンモニアガスによる緩衝作用が小さい西南地区の重慶や貴陽で大きな酸性雨による被害を生じさせている.中国の大気汚染問題はエネルギー消費量から考えて,広域汚染化する以前に国際的技術協力などを得て,有効な対策を取る必要がある.
圧力容器試験を自己反応性物質の分解の激しさの分類に用いるのに従来の方法ではデータにばらつきがある.そこで試験条件を変化させたときの限界オリフィス径(PVLD)について検討した、試料用カップの使用により,限界オリフィス径は大きくなる.試料量5gまたは10gでは顕著な違いは見られなかった。各所で行われた試験データを比較すると数値に違いがある,1mmφと9mmφだけのオリフィスを使用する3段階分類の適用例について示した.
SUS304鋼の鋭敏化処理材の疲労試験を走査型電子顕微鏡の鏡体内で行い,同時にAE計測も行った,き裂の開閉口挙動,き裂進展特性および疲労破壊の破面形態とAE放出特性との関運性にっいて,その場観察を通して調べた.その結果(1)真空中でのき裂進展速度は鋭敏化処理によってわずかに加速される,(2)SEMの鏡体内でのその場観察からき裂開閉口の解析が正確にできる,(3)AE事象計数率の急増点からき裂開ロレベルの決定ができる,(4)疲労破面形態とAE信号の周波数特性には関連性が あることが明らかになった.
非線形弾性特性をもち,圧縮強度と引張強度が異なる材料から成る構造部材の座屈問題について,もっとも簡単な外力である軸方向中心圧縮荷重(静的圧縮荷重と称しておく)を受けたときの座屈様態と 臨界荷重を調べる, この問題を,2自由度力学モデルを導入して,動的座屈解析の手法により解析したところ,非線形弾性系に関する新しい振動数曲線を得て,注目すべき座屈挙動が発見されたため,安全工.学的見地からの 考察を行った.
無機過酸化物について可燃剤としてセルロースAを用いた無機過酸化物一可燃剤系組成物について弾動臼砲Mk II1を用いて爆発威力および衝撃感度を測定した, 混触発火を起こす一価の金属の過酸化物一可燃剤系組成物は試験を行わなかった.本報で試験を行った無機過酸化物一可燃剤系組成物については,PETN当量を2.Ogにしても爆発威力は小さく,また衝撃感度ありと判定された物質はなかった.したがって,本報で試験を行った無機過酸化物については,単独の場合はさらに爆発威力も衝撃感度も小さいことがわかる.
広い空間に種々の濃度で存在するガスをつねに監視するガス濃度測定法の開発を目指し,レーザ光を用いた光音響効果を測定する方法にっいて基礎的検討を行った.今回は,レーザ光によるガス体からの光音響信号とガス濃度の関係を明らかにするために,計測システムを作成し,システムや本方法のガス濃度測定に対する有効性などにっいて報告する. レーザの小形化を図るためにガスフロー式CO2レーザを自作し,計測システムを作成した.レ一ザ光の小形化への可能性が示され,変調周波数,光音響セルに対する検討,およびセル形状などの計測条件の選定によって,レーザ光が低出力でもガス濃度と光音響信号との問に対数的に直接関係が得られた.作成した本計測システムならびにガス濃度測定に対する有用性が示された.