安全工学
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29 巻, 1 号
安全工学_1990_1
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
安全への提言
総説
  • 高田 勗, 門脇 武博
    1990 年 29 巻 1 号 p. 2-11
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2017/10/06
    ジャーナル フリー

    製造業の作業環境は物理的・化学的要因が主であるのに対して,病院内の作業環境は生物的要因にも注意しなければならない.多くの病院は空気調和設備を備えているため,空調設備の不備などにより院内全体に微生物,粉じん,ガスなどを拡散する危険性がある.また,微生物の発生源は医療従事者や患者自身などであり,つねに移動していることが特徴である・そこで,病院各部門の微生物,手術用・治療用医療機器の滅菌に伴う温熱条件,化学的滅菌に伴う化学薬品による健康障害,薬じん,放射線,さらに,医療機器からの騒音,医療ガス,感染性廃棄物について作業環境管理の面から述べた.

報文
  • 波江 貞弘, 樋口 澄志, 片谷 教孝, 渡辺 勉
    1990 年 29 巻 1 号 p. 12-19
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2017/10/06
    ジャーナル フリー

    日本は多量の石炭を海外から輸入しており,その量は世界の海上輸送量の約%を占めている.これに伴って,石炭の自然発熱事故は少数例とはいえ,わが国の輸送船で経験されている.本研究は自然発熱機構の解明を目的とするものであり,発熱のモデル化によるシミュレーションならびに関与する諸因子が結果に及ぼす効果を検討している.結論として,主要な影響因子は,石炭の発熱量,反応速度定数,活性化エネルギー,初期固体反応表面積,熱伝導率および空気中の酸素の拡散係数などであること,それらが温度上昇速度と上昇幅に関与することを指摘している.

  • 金子タカシ・阿久津好明・田村昌三・吉田忠雄
    1990 年 29 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2017/10/06
    ジャーナル フリー

    シガレットスモークから生成する気相ラジカルを,スピントラップ剤のPBNを用いて,ESRにより調べた。その結果,本来は高反応性であるにもかかわらず,見かけ上は長寿命の酸素中心ラジカルを検出した.同様の気相ラジカルが,シガレットスモーク中に存在するオレフィン,NOからなるオレフィンーNO一空気系反応のスピントラッピングによっても得られた,したがって,シガレットスモークからの高反応性で見かけ上長寿命の気相ラジカルの生成は,オレフィンーNO一空気系反応が主要な機構であると考えられる.そこで,オレフィンーNO一空気系反応モデルを作成し,ラジカル生成挙動およびNOからNO、への変換挙動を,GEAR法を用いて計算した結果,実験値をかなりの程度説明できることがわか った.

  • 大谷 英雄, 近藤 重雄
    1990 年 29 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2017/10/06
    ジャーナル フリー

    電気火花により可燃性混合気に点火する際に発生する衝撃波にっいて有限差分法により数値解析を行 つた。 計算では初期条件として2000Kl~4000Kの高温の火花核を瞬間的に与えた,初期温度に応じてピーク圧力は異なるもののすべての場合に衝撃波が形成された.これらの衝撃波の持続時間は鮎secのオーダであり,衝撃波の進行距離は!mm程度であった。これは実験結果よりも持続時間,進行距離ともに小さいが,実験ではエネルギーの与え方が瞬間的ではなく,ある持続時間が必要であることによるもの と考えられる. 今回の計算条件では加えられた熱エネルギーの数割が衝撃波の運動エネルギーに変化した。また,衝撃波が存在する時問帯では化学反応はほとんど進行しておらず,この段階では化学反応は無視してよいことがわかった。火花核の高温部分も衝撃波の進行とともに拡大するが,衝撃波の進行よりは遅れる,火花核の温度は膨張とともに低下するが,火花核の外周に中心よりも温度の高い部分が形成される。火花核の周囲の温度も衝撃波が通過した部分では雰囲気の初期温度より上昇している. 可燃性混合気の燃焼限界に関する数値解析では衝撃波が無視されていることが多いが,この研究で明らかになったように衝撃波の発生による熱エネルギーの低下や,温度分布の変化は考慮する必要がある.

  • 工学分野における比例ハザードモデルの有効性の検証
    福田 隆文, 湯本 伸一, 趙 暁光, 清水 久二
    1990 年 29 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2017/10/06
    ジャーナル フリー

    信頼性データに基づいてシステムやアイテムの設計改善を行うには,どの要因の影響が大きいのかを的確に判断することが重要で,このためには数少ないデータから定量的かつ精度よく影響の評価を行える手法の確立が必要である.1つの試みとして,医学の分野で用いられている比例ハザードモデルを取り上げ,この手法が工学分野においても適用可能であるかを検討した,まずシミュレーションにより,本手法は従来の方法より精度よく信頼度を推定できることを明らかにした。つぎに,電球を用いた実験により,本手法は使用条件(要因)の寿命への影響を定量的に評価でき,また,設計改善の効果の評価もできることを明らかにした.以上のことを通じ,本手法を用いて多要因の影響を定量的かつ精度よく求めることが可能であることが明らかになった.

災害事例分析
  • 中村 富也
    1990 年 29 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2017/10/06
    ジャーナル フリー

    昨年,造船所において船舶の修理工事中の爆発火災により,船内にいた作業者および船員のうち死亡12名を含む計23名が死傷するという労働災害が発生した.労働省では本災害を重視し,災害原因の究明と同種災害の再発防止対策の樹立を図るため,特別調査団を設置し調査検討を行った. 本稿は,同調査団での検討経過および災害原因を通じて明らかにされた問題点,これらの問題点を解消するための対策などの検討結果について紹介するものである.

  • 鈴木 淑夫
    1990 年 29 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2017/10/06
    ジャーナル フリー

    1989年3月24日アラスカ,プリンス・ウィリァム・サウンドで発生した原油タンカーエクソン・バルディズ号の乗揚げ事故に伴う大量流出油事故は,9600平方マイルにわたる広範囲の海域を油によって汚染した.この事故によって,自然環境,漁業資源などに及ぼした影響は多大である。事故原因は,乗組員の操船ミスによるものであるが,間接的要因としては,船舶運航上の問題,船体構造上の問題および防除処理体制の問題を含む重大事故である.この事故を契機として国際協力などについても問題を提 起している.

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