芳香族ジニトロ化合物の熱的危険性に関する知見を得るため,ジニトロベンゼン(DNB)およびジニトロトルエン(DNT)異性体の熱分解機構を検討した.本研究では・昇温法による熱分解時の熱分解生成物の定量分析および示差走査熱量計(DSC)測定を行った. それらの結果から,3,4一および2,4-DNTの熱分解過程が明らかになった.結合の解離に始まる熱分解の機構は,それらの異性体間で明らかに異なり,ベンゼン環に付いた置換基がオルト位の関係にある部分から結合の解離が生じやすく,特にニトロ基中のN-0結合の解離が熱分解の開始反応となりやすいことを確認した.最終の熱分解生成物は,分析したジニトロ化合物すべてについてN2,CO,CO2,H20および炭化物であり,分解熱はほぽCOおよびCO、の生成のみを考えて計算した値に等しいこと がわかった.
AE信号が有する多くの情報を有効に利用するため,位置標定されたAE震源を発振点とし,AEセンサーを受僑点とする多くの弾性波伝播経路を使った3次元AEトモグラフィーのプログラムを開発した.これにより,AE震源だけでなく,震源とAEセンサー問の情報も応用できることになる,今回は中性化コンクリート試験片を用いて,その劣化状態をAEトモグラフィーにより検討し,劣化状態を縦波速度分布で明らかにすることができることを示した.
国民生活センターにより収集された危害情報3725!件(1978~!989年)のうち,階段での事故3513 件(9,4%)に基づき事故分析し,筆者がすでに報じた階段死亡事故の分析結果ならびに,労災の分析結果と比較して論じた.性別および年齢層別の事故の構成割合と人口構成割合とを対比すると,有意差がそれぞれ認められる。就業中の階段事故の分析結果によると20代の事故の多くはヒールの高い履物が原因とされたが,本結果でも20代の女子の階段事故の発生割合が高くなる傾向が見られた,死亡事故に占める高年齢者の割合が多いのに対して,負傷事故では10歳未満が男子の階段事故全体の42.9%を,女子全体の24,8%を占めている.特に,0~3歳までの乳幼児ほど打撲傷が多く,そのほとんどが頭部(顔面を含む)に負傷している,また,高年齢者ほど骨折が多くなっている.
モノシランガスの漏洩を確実に検知するために,種々の条件においてモノシランガスを空気中に放出し,警報検知器の有効1生を確かめる実験を行った.モノシラン分子を窒素希釈後空気中に放出した場合には非常に長寿命となり,検出は容易に行われたが,100%モノシランガスを空気中に放出した場合には,検出が困難な場合が生じた,これらの実験を通して,モノシランガスの空気中での反応振る舞いについて考察をすると同時に,警報検知器の有効な設置法について検討した.
半導体製造に用いられる特殊材料ガスは自然発火性であり,毒性・爆発性が強い物質が多い.化学的性質である爆発性などに関しての危険性は十分に認識されている,しかし一方で,その強毒性が強調されているにもかかわらず,量一影響関係に関する知見はきわめて少ない,また,毒性情報が不十分であることから,特殊材料ガスの管理参照値などの指標が明確にされていない。 今回,われわれの研究グループが1990年より実施してきた実験結果とともに,特殊材料ガスの毒性について報告する.
輸入農産物の増加に伴い,農産物輸出国で使用されたポストハーベスト農薬の残留が問題になってきている.そこでアメリカおよびオーストラリアの現地調査をふまえ,輸入農産物の残留農薬の検出テストを実施し,その検査結果を考察した。 ポストハーベスト農薬の影響としては,微量な化学物質摂取により引き起こされるアレルギー様の症状である化学物質過敏症との関連が問題視されはじめている。このような状況の中で厚生省は,これまで無防備だったポストハーベスト農薬への対応として,規制体制を整えつつあるが,基準値が緩すぎ問題を残しているのが実情である.
“地球サミット”(国連環境開発会議UNCED)は,1992年6月,ブラジルのリオデジャネイワで開催され,Agenda2!やリオ宣言などの環境と開発に関する協定を採択し,145か国・機関の首脳による首脳会議と調印式が行われた,Agenda21は地球環境保全のための21世紀に向けての行動計画であり, 国際的にも国内的にも重要な意味を持つものである。 地球サミットの概況,Agenda21のうち産業界に関係深い部分の概要,およびリオ宣言について紹介 する.
非常に低い濃度の化学物質が濃縮されて生ずる潜在危険について概説した.最初に,多数の事故事例を示した.これらの事故防止策の一般的な方法論を提出して,さらに生産プロセスごとに微量化学種の確認方法,微量物質に原因した潜在危険の起こりがちなプロセスなどについて具体的な防止策を例示して述べた.つぎに,潜在危険を見いだす方法として微量物質の物質収支をとることを提案し,微量物質の蓄積が起こるプロセス,条件および反応について例示して述べた.おわりに,このような解析を行うことのできる能力に言及した.