自然環境保全のための広域の土地利用計画制度が各国で検討されている.イタリアは歴史文化環境保存の点から,いち速く都市・集落とその周辺の自然景観保存に取り組んだ国である.景観を文化財同様に国民共有財産として捉え,保存のための土地利用の法的規制を確立した。特に近年,ヨーロッパ共同体農業政策が環境保全型農業を打ち出したため,農林地の自然環境を保存復元する上で多様な農業形態を利用する手法が付け加えられた.都市と農山村,市街地と農林地両方に渡る土地利用計画が制度として確立し,地域環境管理の有効な手法になっている.この意味から環境管理に物的なイメージを付与する景観計画は地域・都市計画分野の新しい課題として注目されている.
本論文では,フォールトツリーを用いて,診断センサ誤報がある場合のプロセス異常を診断するエキスパートシステムを提案する.対象プロセスのフォールトツリーおよびミニマルカットセットの情報を基に,プロセス異常伝播のモデルを決定する.このモデルより,異常パターン表の形式で表現し,異常診断のための知識べ一スに格納する.推論エンジンでは,運転データと知識べ一ス内の異常値のパターンマッチングにより,異常診断を行い,診断センサ誤報とプロセス異常の原因を推定する.診断センサ誤報を含む複数の異常原因の候補にっいて,診断センサとミニマルカットセットの確率データを用いて,異常原因の評価確率を求め,検査順序を決定する. 本研究で開発した異常診断エキスパートシステムを発熱反応プロセスに適用し,診断例を示すとともに,本異常診断システムの有用性を明らかにする.
幼稚園から大学まで,各種学校まで含めれば,学校教育の場では毎年かなりの事故や不測の事態が発 生している. 事故を予防する安全活動はどうあるべきか,にっいてわが国での総合的なアプローチはこれからである,一大学工学部の安全活動の体験をもとに問題点を探った.
化学物質による事故・災害または環境への侵入を未然に防止することなどを目的として,化学物質の譲渡提供に際して安全性データシート(MSDS)を交付することが義務づけられた。MSDSの記載項目は,各種コード,有害性,管理上の注意,毒性,物理化学的性質および環境影響など安全性にかかわる広範囲な分野にわたっており,情報収集は容易なことでない.本稿は,MSDS作成の一助となることを目的に,化学物質の安全性にかかわる情報源(書籍,CD ROMおよびデータベース)とその特徴を紹介 する.
企業が海外に進出し現地で操業を開始するためには,設備や施設の安全性についてその設計段階から注意を払っておく必要がある.その際検討すべき基本となるリスクに『火災・爆発・労働災害』の三つが挙げられる. シリーズ第3回目は,「マレーシア」を取り上げ,上記三っのリスクに関する安全防災法令規則の種類と概要,その運用実態について紹介する.
1992年8月28日(金)22時ごろ,北海道石狩郡石狩町の(株)鈴木総合食品石狩工場において液化窒素 貯槽(CE)の破裂事故が発生した。当該工場が半壊するとともに,発災CE中心に半径約400m以内の工場などが損壊し,CEの破片が最大約350mに飛散するなどの被害をもたらした.事故の原因は,ばね式安全弁と破裂板の元弁が人為的に閉止され,CEが完全に密封状態になったことにある.密封状態で外部からの侵入熱によって液化室素の圧力が経時的に上昇し,50~80日程度で内槽の破裂圧力を超えるに至った.