石油タンクのスロッシングによる被害の防止・軽減を図るため,まず基本となるスロッシング発生メカニズムについて,大型タンクにおける地震動とスロッシング観測結果から,地震動と内溶液との共振現象で説明できることを示した.スロッシングの励起に決定的な影響を及ぼす周期2,3秒から10数秒のやや長周期地震動については,まだ十分な検討がなされていない.特に石油タンクが限られた地域にあることから,それらの地域での地震動特性を明らかにすることが防災上必要となる.観測期間が40年以上と長くやや長周期地震動を精度良く記録できる気象庁強震計記録を用いた地域特性把握,さらにはスロッシングの潜在的危険度評価のためのフレームワークを示し,それを東京,新潟,大阪の場合に対 して適用した.
現代都市の地震被害は,従来とは異なる,目新しいさまざまな様相を現している。また,都市構造がかなり複雑になり,都市の機能・住民・社会への影響が急速に変化して,都市被害への従来の評価方法は適応できなくなりつつある.都市の防災計画,緊急援助や震後復旧対策などの立案のため,本論文ではファジィ理論により被害総合評価手法を構築した.つづいてその検証例として,過去に発生した九つの地震の被害評価を行い,本手法の結果と既往調査とを比較してみたところ,ほぼ同じ被害レベルとなった,したがって本手法により,被害の程度を同一の基準により定量的に評価できることが明らかになった・そして最後に,その手法を用いて神奈川県西部想定地震におけるライフラインおよび重要施設被 害の総合評価を行った.
1995年1月17日早朝,淡路島北部から阪神地域にかけて大地震が発生し,これらの地域においてきわめて甚大な被害が発生した.地震観測史上初めて,震度7(激震)の地域のあることが,地震後の調査で判明した,被害統計については同年5月現在なお調査中であるが,死者数約5500人,全半壊家屋数約17万棟,全壊建物約!000棟,焼失家屋数約7000棟にのぼっている.このほか各種の交通施設や水道・ガス・電気といったライフライン施設も大きな被害を受け,長期にわたる機能停止の事態となった。被害の総額は約10兆円といわれている. 本文は,地震力や地震動およびおもに道路施設の被害の概要について述べたものである.
1995年1月17日早朝発生した兵庫県南部地震は,甚大な物的被害をもたらしたが,被災者の避難においても数多くの課題を残した.そこで本稿では,時系列的な側面から兵庫県南部地震時の避難の実態と今後の教訓について述べている.今後の教訓としては,住民の防災教育の再考,緊急避難における避難先指示の必要性,避難所の安全性確保と開設・運営にあたっての課題,疎開先の把握,応急仮設住宅の建設地選定などがあげられる.
1995年1月17日午前5時46分に淡路島および阪神問を襲った震度6~7の直下型地震はそこに住む300万人の住民に多大な被害を与えた.被害の内容は死者5000人以上,破壊家屋10万軒以上,避難生活者33万人(ピーク時)文字どおり関東大震災以来の震災となった.地震発生の翌日から活動を開始した筆者が見聞きしたものは,鉄道,道路などの公共施設の破損および電気,ガス,水道,電話などのライフラインの停止によって危機的状況に陥った阪神間の状態であった. 筆者は災害対策本部から発表された地域別の死亡者数などのデータを検討した結果,例えば危機管理マニュアルがまったく作動しなかったことによる死亡者増や住居破壊増があったと思われる.またこれらの地域別データから地域の都市環境の問題(古い木造家屋が多い)も抽出することができたと思われ る.
プロセスプラントでは,さまざまな流体関連振動が生じ,ときとして,プロセスプラントの運転そのものに障害を及ぽすようなことがある。本稿は,代表的な流体関連振動の例として,管内圧力脈動,気液二相流,キャビテーションおよびカルマン渦による振動を取り上げ,そのメカニズムと防止対策について解説する。また,振動に関する基礎的な知識,配管振動評価の基準についてもあわせて解説する.
1982年のEC理事会指令(セベソ指令)に続き,米国OSHAも1992年に安全解析の実施義務を盛 り込んだ最新の安全基準を発行した.このことに関連して現在安全解析への関心は国際的に高まりつつある.プラント内での労働者の安全がプロセスの安全性に依存する以上,プラント設備やその部分を構成する電気計測/制御装置の信頼性・安全性も解析結果に関係してくる.しかしわが国では安全工学におけるこの分野はあまり検討されたことはなかった。 筆者は昨年1994年10月にイタリァのミラノ市で開かれたIEC(国際電気標準会議)の専門分科会TC 65(工業プロセス計測制御)の安全規格作業部会WG10に出席してきた.本文においてこの分野の最 新の動向を伝えたい.
企業が海外に進出し現地で操業を開始するためには,設備や施設の安全性について,初期の設計段階から注意を払っておく必要がある。その際検討すべき基本となるリスクに『火災・爆発・労働災害』の 三っが挙げられる. シリーズ第7回目は,「フランス」を取り上げ,上記三つのリスクに関する安全防災法令・規則の種類と概要,その運用状況にっいて紹介する.
阪神大震災のように都市の中心部が壊滅的な被害を受け,地上からの情報収集が困難な状況においては,早期かつ短時間に災害の全体規模を把握する手段として空中写真判読が非常に有効である.今回,被災の種類,被災の程度をより鮮明にするため,空中写真の実体視判読によって被災状況図を作成した. 図面は1万分の1地形図を基図として西宮市~神戸市須磨区の範囲を全体で3面に収めており,被災直 後の全体の状況を同時性をもって捉えた基礎資料として用いることができる.