近年,環境管理・監査システムを巡る動きが活発となっている.EUでは「環境管理・監査要網」とよばれる制度が1995年4月より開始され,ISO(国際標準化機構)では国際規格化検討の結果,1996年前半にはISO規格が発行される見通しとなっており,わが国でも,ISO規格に準拠したJIS規格制定が準備されている.環境を単なるコストアップととらえるのではなく,ユーザーの理解を得る大きなビジネスチャンスととらえ,企業防衛の姿勢を超えて,いかに戦略的に取り組んでいくかが日本企業の課題で ある.
数多くの環境中化学物質によるリスクを科学的に評価するためのリスクアセスメントと,そのために必要な情報を与える化学物質の運命予測手法に関し,従来の一般的知見および環境汚染物質である農薬などへの適用例を述べた.近年,化学物質汚染が大気,水,土壌,底質など複数の環境媒体にわたって進行する傾向が強いことを考慮した総合的な予測手法の必要性を強調した.リスクアセスメント各段階の基本的な考え方と若干の具体例を紹介し,さらにリスクアセスメントに関する今後の課題を述べた.
地形改変を伴う開発が,周辺地域の風向変化に及ぼす影響を予測する方法にっいて検討した.気象データによる最多風向と気象観測所周辺の地形との関係を調べた結果,最多風向頻度は,周辺の地形の傾斜の偏差から推定できることが明らかとなり,地形の傾斜の偏差Kと最多風向頻度.Fとの関係を表す 式として,次式が導かれた. F1=一190.8K1+24.43 (半径1km以内) F2=一186.7K2+23.61 (半径2km以内) 上式を用いて,大幅な地形改変を伴う露天採掘による周辺地域の風向変化を予測した結果,原石山周辺では地形改変に伴い,卓越風向や風向頻度がかなり変化することが明らかとなった.
本研究では,溶融LiC1-水系および溶融Sn一水系の水中滴下法による小規模蒸気爆発実験を行い,その発生圧力に影響を及ぼす因子について検討した.その結果とほかの実験者の結果から,試料の表面張力,試料が水に対して有する熱エクセルギー,試料の体積,試料の熱拡散率,試料の温度,試料と水の初期温度差,水の粘性率および水の熱拡散率を用いることにより発生圧力を推測できた.
スイスの化学企業ROCHE社では系列会社を含めた全社の反応プロセス,取扱物質の危険性評価を安 全実験室(Safety Laboratory)で行っている.本報告は同実験室の危険「生評価プログラムに関するマニ ュアルの抄訳である。このマニュアルはROCHE社の安全に関する姿勢,安全実験室の役割を含めた概要,個々の危険性評価試験法,試験結果の標準化と評価プログラム,安全情報に関する管理から構成さ れる、なお,原文は東京大学工学部の田村教授が,スイスBase1のROCHE本社を訪問された際入手 されたもので,安全工学誌上への抄訳の発表に関しては同社から承諾を得ている.
近時,化学企業の有害化学薬品の漏えい事故は周辺住民の生命を脅かしている.この大きな社会的リスクに対処する方法を探るため,アメリカの損保会社のガイドブックから「PEPlan」,OSHAから指針「高危険化学品のPSM」,EPAから「知る権利法」の3件を検証し,企業のリスク認識と情報公開,地域社会の理解と協力そして行政の責任とリーダーシップの下,実効あるエマージェンシープランを策定し,それを企業・地域社会・行政の三者が共有する必要があることを知る.鍵は三者の相互信頼にある.
米国の廃棄物処理とかかわり深い諸機関・施設を訪問し,廃棄物の法規制,処理技術の動向およびマニフェストシステムの状況などについて調査した.米国では,特に有害廃棄物に関して処理,輸送,貯蔵および処分に至るまで,総合的な法規制を行っている.また,廃棄物の減量化,資源化技術などについても,先駆的な技術開発を行っているなど,参考となる点が多い. 本稿では,今回訪問した諸機関などが取り組んでいる廃棄物処理の現状について報告する.
企業が海外に進出し現地で操業を開始するためには,設備や施設の安全性について,その設計段階から注意を払っておく必要がある.その際検討すべき基本となるリスクにr火災・爆発・労働災害』の三 つが挙げられる. シリーズ第8回目は,「オーストラリア」を取り上げ,上記三っのリスクに関する安全防災法令・規則の種類と概要,その運用実態について紹介する.