環境管理システムおよび環境監査システムを構築するに当たって,国際規格を参照してもすぐに理解することはなかなかに困難であると思われる. 本稿では少し目線を下げて,国際規格に基づく環境管理システムを導入・構築しようとする企業は,まず環境管理活動を開始することを提言している. 国際規格が要求している内容を踏まえつつ,具体的な事例をあげてできるだけ平易な解説を試みた.
パソコンを例としてLCAのケーススタディを実行し,LCAの具体的な紹介をしている.本報告でのLCA解析結果では,パソコンの原材料調達から最終的廃棄処理に至るまでに,CO2換算で約150kgの 環境負荷を排出し,使用段階での負荷が最大であるという推定結果を得た. この結果を得る課程では,多くの仮定を設定したり,データの作成をしており,本稿ではこれらをLCA を実行する上での問題点を整理した.また,今後のLCAが普及していくために重要と考えられる課題 についてまとめ,提言した.
医薬品合成反応におけるスケールアップ時の危険性は反応溶媒の種類や濃度により大きく変化する.この溶媒による危険1生の差異を検討するためには,熱分析およびデュワー瓶による発熱特性を測定する ことが有益である.これらの評価で安全にスケールアップした例として,酸化性試剤であるメタクロル過安息香酸,および塩基性試剤であるカリウムtertブトキシドの検討結果について述べた.
大規模システムの安全性解析の一手法として,フォールトツリー解析法がよく知られている.本論文では,フォールトツリー解析に基づき,確信度を用いたプロセスの異常診断システムの構築法を提案する.対象プロセスのフォールトツリーのミニマルカットセットおよびファジィ故障測度の情報を,確信度付きのルール型知識べ一スに格納する.プロセス運転データと知識べ一ス内のルールとのパターンマッチングを行うことにより,プロセス異常の原因を推定する.複数の異常原因の候補に対する確信度を基に,異常原因の診断順序を決定する. 本論文で提案した異常診断法を高温硝酸冷却プロセスに適用し,異常診断例を示すとともに,本異常診断システムの実用性を明らかにする.
世界の先進39か国の化学産業界が参加する,国際化学工業協会協議会(ICCA)は,環境・安全・健康に配慮する自主管理活動である「レスポンシブル・ケア」を推進している. ICCAとしての取組みの原則に基づき,各国はその実状に応じた活動で実施しているが,1995年,わが国は正式にレスポンシブル・ケアに取り組んだ. これらの経緯とわが国の取組みの現状,今後の課題などについて示す.
国際標準化機構は,地球環境を保全しようとする国際的な運動の高まりを背景に,1996年(平成8年)8月ごろより環境管理・監査システムの規格を一部発効させる計画を進めている.この規格は,任意規 格であるが,日本工業規格に採用される.規格の発効後において,製品・サービスは顧客の環境への配慮により差別を受けると予想されている. 神奈川県産業技術総合研究所は,県内に住所がある中ノ玉規模製造業の協同組合を対象に,システムの JIS化への動きに対する協同組合の認識・取組み状況にっいてのアンケート調査を1995年10月に実施 した.回答が得られた56組合のうち半数の組合は,JIS化への動きは知らない,環境問題を解決する際の障害は資金であると回答している.
化学反応に関係したエネルギー危険性は,反応の制御不能または暴走反応の引き金となる危険1生である.熱収支を用いて,ある反応がその通常コースから暴走へと変化することを示すことが可能である. 非常に強力な手段は暴走シナリオを作ることである.このシナリオは正しい質問をする助けとなり,危険度事前評価に必要な実際的データを測定することを助けるであろう.故障シナリオを提出し,データが測定される方法と暴走シナリオの設定に用いられる方法を示す.最後に化学プロセスの致命度の系統 的分類を示す.
企業が海外に進出し現地で操業を開始するためには,設備や施設の安全性について,その設計段階から注意を払っておく必要がある。その際検討すべき基本となるリスクに『火災・爆発・労働災害」の三 っが挙げられる. シリーズ第11回目は,「中華人民共和国」(以下,中国)を取り上げ,上記三つのリスクに関する安全防災法令・規則の種類と概要,その運用実態について紹介する.