水道原水を塩素処理する際,塩素と有機物などとの反応によってトリハロメタン(THM)が生成する.このとき臭化物イオンが共存すると,THMの生成が促進されることが知られている、また原水のオゾン処理の際にも,臭化物イオンが存在すると臭素酸イオンを生成する,THMや臭素酸イオンは,人体の健康に悪影響を及ぼす可能性のある物質である.本報告は水道原水などにも利用される湖沼水や河川水に重点をおいて,天然水一般の臭化物イオン含量をレビューしたものである.
釜山市を中心に1995年2月から9月まで降雨中の溶存イオン成分の濃度を測定し,その特性を調べ た. 本調査期間中の降雨の試料数は289個であり,平均pHは5.99,平均電気伝導度は70.3μs/cmであった。降雨中の主要陰イオン成分であるSO42- 濃度が221μeq/1,CI-が157μeq/1,NO3-が50.9μeq/1 の順であった.また,おもな陽イオンはCa2+,NH4+,Na+,Mg2+,K+の順で,平均モル当量濃度は おのおの159.8,99.9,96.2,56.5,24.6μeq/1であった.降雨の化学組成に影響を与える非海塩の寄与 率は71.3%を示した,降雨中の酸性物質はNH4およびCa化合物により81.3%が中和された.陰イオンと陽イオンの相関は0.98であり,SO42-とNO3-がCa2+とかなりよい相関関係をもつため降雨の中和にCa2+の役割が大きいと考えられた。降雨の持続により電気伝導度およびイオン成分は減少した.SO42-とCa2+はおもに初期降雨に洗浄されるため,中和作用のあるCa2+が降雨の後半部に減少するのにつれて,pHも低くなる傾向を示した.酸性雨による大気汚染の評価においてはpHだけではなく,イオン成分濃度を考慮し,総合的な評価が必要であると考えられる.
フォールトツリーの情報に基づく,異常診断マルチニューラル・ネットワークの構築法を提案する。 ここでは,高温硝酸冷却プロセスヘの適用を例に構築法を説明し,その有用性を明らかにする.診断の第1段階では,フォールトツリーのトップ事象近傍の情報を回路レベルのネットワークに学習させる.このネットワークを用いて,制御装置(フィードバック,フィードフォワード制御回路,遮断回路)の故障や制御不可能な外乱など回路レベルでの異常要因を推定する.診断の第2段階では,圓路レベルの異常要因を表現した部分フォールトツリーを用いて,要素の故障に関する情報を要素レベルのネットワークに学習させる.このネットワークを用いて,プロセス異常発生の原因となっている要素故障を推定する,
プロセスプラントとは,有毒1生,爆発性,可燃性のある物質を取り扱う高価で複合的な施設である.都市部での大規模な地震は,こうしたプロセスプラントに大きなダメージを与える可能性があり,その結果,財産的損失,人命の損失,さらには有毒な物質が外に流れ出ることによって,多くの人々に危険をもたらす可能性も出てくる.プロセスプラントにおける地震のリスクマネジメントは,1)地震の専門家,プロセス安全の専門家,および運転員によるプラントの性能と運転に伴う災害の完全な理解,2)プラントの構造,システムとその構成部分の危険度の評価,3)リスク対策として設備補強などの対策をとりまとめたプログラム作り,という3点に重点がおかれる.カリフォルニア州政府はRiskManagement and Prevention Program(RMPP〉とよばれるプログラムを開発することにより,州内のリスクを効果的に軽減させることに成功した.本稿はこのプログラムにおけるケーススタディを紹介したものであ る.
筆者は咋年の末に,米国における自然災害リスクの鑑定・分析技術やテロなどへの対策の実施状況,および災害発生後の緊急対応など,企業の防災・危機管理の技術について訪間調査する機会を得た.本稿ではその中から,テロ対策および地震災害対策について紹介する. テロについてはニューヨークにおける,危機管理コンサルティングの状況と実際の対策状況を紹介する.地震災害にっいては,西海岸を対象とし,地震リスク対策のコンサルティングの状況と,地震情報ネットワークの活用状況について紹介する.
従来,機械設備の監視・診断では,異常の検知とその原因解明に重点があったが,本資料で抄訳・紹介する文献においてその著者は,運転の支援,つまり停止の判断あるいはメンテナンスに関する判断の支援こそが重要であり,そのためには,個々の現象や因果関係をみるのではなく,総括的にみることが大切である,と強調している.表題規格作成において・この見方を取り入れるという著者の考えを述べた上で,ISO/TC108/SC5の活動について紹介している.この中で,オペレーション支援という観点からみた監視・診断という新しい見方を示している.
1991年6月,新規界面活性剤『αSF』の製造工程の一つであるメタノール精留塔において爆発事故が発生した。爆発形態は『爆轟』であったと判断され,精留塔は大破し,塔壁破片は周囲おおむね900mの範囲に飛散し,死亡者2名,負傷者13名の被害に及んだ. 原因物質は界面活性剤の漂白に使用したメタノールと過酸化水素とによって,微量生成した有機過酸化物(Metyl Hydroperoxide)で,精留塔の運転停止過程で,供給液の0.1%から数十%の濃度にまで局部的に濃縮され・熱爆発を起こしたものと推定される.