商用電力周波数の50Hzないし60Hzの送配電線の周りに生ずる電磁界の健康影響に関する懸念が 世界的に高まり,その健康リスク評価が求められている。電磁界・電磁波の健康影響についてはまだ一定の結論が得られているとはいいにくく,電磁界への曝露による健康リスク評価の枠組みは疫学研究による知見をどう評価するかによって大幅に変わったものになる.
き裂先端につねに水または溶液を供給し続けた状態で岩石の三点曲げ試験を行い,ISRM規格およびAE法の両方を用い,砂岩と花嵩岩を対象に破壊靭性の変化を検討した.本実験では水または溶液の供給は実験時のみとし,実験前の試験片の水または溶液への浸漬は特に行わなかった. その結果,(1)湿潤条件では気中に比較して,破壊靭性値が砂岩で37%,従来大きな低下がないと報告されている花歯岩も25%低下すること,(2)花南岩に酸性溶液を供給すると,アルカリ性溶液に比べて破壊靭性の低下が小さいこと,が明らかになった. また,(3)AE解析から湿潤条件では一枚のき裂が卓越する破壊挙動でなく,き裂の枝分かれの大きい破壊挙動への変化,(4)岩盤内き裂と水または他の溶液とのきわめて短期間の接触でき裂が急成長す る可能性,が示唆された.
石炭液化開発研究においては,現在150t/d規模のプラントが稼働中である.中小規模の実験装置で得たこれまでの成果を反映したものである.液化反応では石炭・溶剤・粉末触媒を混合した石炭スラリーが使用され,ポンプによる供給から反応後のレットダウンバルブによる排出までの間に,閉塞やエロージョン等の障害をもたらす.実験室規模の液化装置で生じたこれらの問題点に対し,技術的に改善を図った経過と結果をまとめた.
EUにおける化学プラントの安全に関する理事会指令(一般に,セベソ指令と呼ばれている)が改正され,新指令(セベソ指令II)が発効した.今回の改正の要点を述べ,これを機に大幅に改定されたMARS(重大事故報告システム)の記載事項とその運用についてまとめた.関連して,今圓同指令で 明確になった重大事故の定義をまとめた.また,欧州各国の新指令への対応状況を示した.
英国での安全衛生政策の立案と執行を司る行政機関である環境省安全衛生庁(HSE)における最近の政策動向について,1)ローベンス報告で提言された安全衛生政策執行のあり方に関する考え方,2)同報告に基づいて策定,実施されている安全衛生施策の概要,3)安全衛生に関する英国とEUのかかわり,4)最近の災害報告制度および災害の現状とその特徴,などについて調査した結果を報告する.
日本アイ・ビー・エム(株)において,環境・安全両分野の法規ならびに社内規に対する満足度を主観的に自己診断し,さらにその達成状況を客観的に監査するマネジメントシステムについて紹介し,その意義について述べる.ISO14001シリーズに準拠した環境マネジメントシステム監査を中心とした環境・安全両分野の総合監査(広義の環境監査)の実践を通じて培われたもの,ならびに教訓として学んだ事柄についても触れる.最後に弊社の環境プログレス・レポートに掲載する安全衛生実績と環境ポリ シーを紹介する.
今,地球環境問題は,われわれ人類の生き方や社会経済の発展のあり方にかかわる基本的な問題として,世界的に対応が急がれている.その中でも特に大きな政策課題と認識されているのが,地球温暖化問題である.地球温暖化問題について,国立環境研究所と京都大学で共同で開発しているAIM(アジア太平洋地域統合評価モデル)を用いて分析した結果にっいて紹介する.特に,二酸化炭素濃度,硫黄酸化物濃度の排出量予測,気候変動の自然環境への影響,気候変動への取組み等の主要な問題について 述べる.
プロセスプラントの事故は単一の原因によって発生することはまれで,設計,施工,操作,設備管理などの複数の不備が複雑に絡み合って発生することが多い.このため,一つの側面のみからの対策では片手落ちになり,総合的な対策,管理が必要となる,ここではそのうちのプラントの安全設計という視点に絞り何回かのシリーズで概説することにする.