安全工学
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38 巻, 3 号
安全工学_1999_3
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
安全への提言
総説
  • 加藤 順子
    1999 年 38 巻 3 号 p. 152-160
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    リスクの受容性に関する専門家と一般の人の判断の違いは,しばしばリスク対応に関する意見の対立を生じる.この問題の解決のために,双方向性のリスクコミュニケーションの重要性が指摘されており,米国ではそのための基本ルールや提言などがまとめられている.しかしgよいリスクコミュニケーションが,つねに意見の一致につながるわけではない.最近はむしろ,一般の人の参加により,問題解決を図ることが検討されている.わが国においては,リスクの概念自体,まだ一般の人に浸透しているとは言いにくく,リスクの存在を認めたがらない傾向さえみられる。しかし,今後リスクに正面から対処していくためには,リスクの社会的受容の問題を避けて通ることはできない.わが国においても今後,リスクコミュニケーションをはじめとするさまざまな道が探られなくてはならないであろう.

  • 首藤 由紀
    1999 年 38 巻 3 号 p. 161-167
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    原子力発電所等の技術システムが社会的に位置づけられるためには,そのリスクが適切に認識され受容される必要がある.しかし,実際のリスクと人々のリスク感覚には大きな差があり,そのために「安心工学.iの必要性が指摘されてきた.本論では,岩手県田老町における津波リスクヘの住民の対応や,医薬品リスクに対する患者の権利確立の動きを例に,人々のリスク受容にっいて検討した.その結果,リスク受容の第一歩は6‘安心”ではなく,むしろ危険性の認識であると考えられる.

  • 浅田 浄江
    1999 年 38 巻 3 号 p. 168-174
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    規制緩和が進められる昨今,環境・健康,社会リスクなどさまざまなリスクに対する感受性の高まりがみられる.本稿では,主として原子力エネルギーに対する消費者意識を,残留農薬および照射食品に対するそれと比較しながらリスクの社会受容の観点から考察する。、上記三つの問題をめぐる消費者意識 にはいくつかの共通点がみられ,①性別による差,②マスコミの影響,③心と頭の乖離,④科学的なものの見方の醸成が不可欠,⑤わかりやすい情報提供が必要,などである.

  • 後藤 多美子
    1999 年 38 巻 3 号 p. 175-181
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    構造物が壊れることが再認識され,自己責任の強化や基準類の性能規定化等の動きと相まって,安全性に関する議論が盛んになっている. 建設主体がリスクの受容レベルの判断にかかわるようになってきているが,構造物は所有者以外にも影響を及ぼす恐れがあり,受容するリスクの最低限のレベルについて社会的合意形成が欠かせない。また,国の財政再建の一環として公共事業費が削減されるなか,公共構造物の安全水準についても国民の意思決定が必要になっている. 専門家はリスクに関する情報を的確に提供し,社会もそれを材料に冷静に判断する,という成熟した社会を構築しなければならない. 構造物の安全性に関して,今後さらに社会全体で十分な議論が展開されることを期待する.

技術ノート
  • 長谷川 隆之・香川 豊・本橋 覚・吉田 忠雄
    1999 年 38 巻 3 号 p. 182-184
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    自己反応性物質の例として過酸化ベンゾイル(BPO),アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)およびジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)について電気火花による50%発火エネルギー(E5・) の温度依存性を調べた.実験はブルーストンのアップ・アンド・ダウン法を用いて行った.いずれの物質も温度が高くなるとE5。は減少した.先に行ったニトロセルロースについての結果を加えてプロットすると,DSC分解開始温度(7もsc)とE5・が0となる外挿温度との間に相関があることが示された.

資料
災害事例分析
  • 若倉 正英, 岡 泰資
    1999 年 38 巻 3 号 p. 200-205
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    廃棄物は多様な物質が収集運搬,破砕,焼却,化学処理,保管,埋立などさまざまな工程で取り扱われる、そのため,安全化技術の標準化が容易ではなく,一般の製造業に比べて事故の発生頻度がかなり高い.人身災害の大部分ははさまれや巻き込まれといった傷害事故であったが,最近では排出される化学品由来の事故も増加している.化学物質による事故は可燃性廃棄物による火災,爆発が最も多い.特に特定フロンの使用禁止以降,種々のスプレー缶で蓄圧剤として可燃性ガスを使用するため,ゴミ収集車内や廃棄物破砕施設で火災や爆発が頻発している.また,リサイクルや無害化処理に伴う工程では,複数の物質の混合による有害物の発生,発火事故などが少なくない. 取り扱う廃棄物の安全性に関する性状や,対応方法を把握することが重要である.

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