パソコン通信で運用してきた「化学物質安全情報提供システム」(kis-net)が10年目となり,3月末で終了する.データベースは,インターネット版を開発し,1999年9月から試行版として提供して いる.kis-netのデータベース構築について述べるとともに,パソコン通僑版とインターネット版の利用傾向を比較し,問題点を検討する.また,CAS番号リンクを使ったインターネット時代の分散型デ ータベースについて提言する.
機械や装置の安全を構築するにあたり,日本では事業者やメーカに拒否反応がある、そこには人に対する安全よりも生産性を重視することがあげられる.災害を過小評価し,行政の安全の法制化の遅れや災害が自分の身に降りかからない設計者,そしてそれを購入する事業者に起因している,機械を最もよく知っている設計者が考え方を少し変え,完全な安全を構築したうえで生産性を上げる方法を考慮すべきである.事業者も生産性が上がるのであれば受け入れるはずである.そこで安全を構築した高生産性 のシステムの考察をする.
有機塩素系溶剤や重金属,ダイオキシン類などによる土壌汚染が問題となっている.国内で把握されている土壌汚染サイト数は,諸外国での値や推算値と比べると非常に少なく,大部分が未対策のまま放置され,汚染が進行し続けている。本稿では,これまでの国や自治体での取り組みや浄化技術の概要を解説するとともに,適切な浄化目標値の設定やリスクコミュニケーション,効率的な調査・浄化技術の 必要性などを述べた.
1996年以降,わが国でも2,3,7,8-TCDDに代表される高毒性のダイオキシン類による環境汚染がマスコミ,一般社会および科学者を巻き込んだ関心事になってきた.政府は1999年3月,ダイオキシン対策関係閣僚会議において「ダイオキシン対策推進基本指針」を閣議決定し,同年7月に「ダイオキシン類対策特別処置法」を成立させ,2000年1月から施行した.ここでは,工業用クロロフェノール製剤の不純物であるプレダイオキシンの特徴,分析法,環境汚染レベル,発生のメカニズムおよびヒトや地球生物への安全性について述べる。
移動式クレーンの転倒災害に占める支持地盤の不安定要因を調査すると,機体を支えるアウトリガー(基礎)のめり込み破壊に起因した事例が多く見られる.本研究ではアウトリガーの沈下挙動の違いがクレーンの安定性に与える影響を実験的に検証することを目的に,関東ロームによる一様地盤と表層固結した2層地盤において,模型クレーンによる転倒シミュレーションを遠心模型実験装置を使用して行った.その結果,表層固結した2層地盤では,一様地盤に比べてアウトリガーの沈下が急激に発生するためにクレーンは著しく不安定化し,静的な釣合いによる安定限界に比べて少ない沈下量でも転倒状態に至ることが実験的に確かめられた.また,転倒挙動を逆解析して運動学的な安定限界を調査した結果,ジブ長やジブ起伏角が異なることによって安定限界は異なるが,静的安定限界に対する相対的な不安定性は同一地盤条件においてほぼ等値となり,アウトリガーの沈下挙動はクレーンの不安定性の重要 な要因となることカ§明ら力輔こなった.
日本の労働災害は近年減少傾向が続いているが,1998年における休業4日以上の死傷者数は,年間約15万人となっている。このうち機械設備にかかわるものが全産業べ一スでは全体の25%,製造業に限ると約40%を占めている.このことから,機械設備のいっそうの安全化を推進することが重要とな っている. そこで,つぎの点にっいて調査研究を行った.
①日本の労働災害の現状分析および機械安全に関する法令など
②機械安全に関する欧州および国際規格の動向
③機械設備の安全対策に関する基本的考え方
④日本の機械設備のメーカー,ユーザーの今後の課題
EUでは,域内各国の労働安全衛生の向上を目指して規制の共通化が図られており,各国の法令・規則は,1990年代に入ってから大きく動いている. そこで,主としてEU加盟各国への進出を計画する企業に対する情報提供サービスとして,EUの労 働安全衛生規制の実態について,(株)日本総合研究所と共同で調査した. EUの労働安全衛生関連規制は,いわゆる「枠組み指令」を基本に成り立っているが,調査にあたっては,労働安全衛生の概念を広めにとらえ,機械指令などのニューアプローチ指令やセベソ指令も対象 とした. これらの指令の考え方は,すでに日本においても取り入れられている部分もあり,今後とも学ぶべき点が多々あるものと思われる.