文部科学大臣の私的懇談会である失敗知識活用研究会(会長:佐藤文夫(株)東芝相談役)は,実際の失敗事例の報告に基づき,失敗経験を積極的に活用することの意義,問題点および活用方策等についての検討を実施,報告書を取りまとめた(平成13年8月).当該報告書の提言は,科学技術振興事業団が実施している「失敗知識データベース」の構築に反映されている.これまでに機械,材料,化学物質・プラント,建設の4分野それぞれにおいて,数百の事例の収集,分析,知識化等を実施しており,本年 度中に公開の予定である.
化学物質の便益を享受しながら,安全にかっ安心して使用していくため,化学物質のリスク管理がますます重要になっている.リスクはハザードと曝露の積で表現される.ハザード評価とハザード表示の国際的な整合性をとるべく,国連等の国際機関で検討が進められており,これをGHSという,この国際的基準が近々制定される見込みである.ここでは,GHSの概要と日本国内での必要な対応について 簡単に紹介する.
建設業における労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)においては,簡潔かつ実務的な手法 が必要とされてきている。そこでわれわれは,労働安全衛生マネジメントシステムー仕様OHSAS18001:1999に基づくOHSMSの審査を2000~2002年にかけて5社実施しながら,建設業界 に適用可能なモデル手法とは,どのようなものになるべきかを検討してきた.手順自体の整合性と規格への適含性を要求する審査登録機関としておおむね確立したのでここに紹介する.実際,この手法は英 国規格であるBS8800のリスクアセスメント手法に則り,かつOHSAS18001規格にも適合するようにしている.ただし,あくまでもモデルであり,OHSMSの審査過程でこれを強制するものではない.
化石燃料の消費が進み大気中の二酸化炭素濃度が上昇し地球温暖化傾向が進行している.一方で,二酸化炭素の吸収源の森林は,伐採や森林火災により,面積の減少が続いている。本稿では,地球規模のバイオマス火災として,アフリカ中央部のサバンナなどのサバンナ火災・大規模で多発する北方林の森林火災,インドネシアの泥炭火災を取り上げ,現状と特徴にっき述べ考察を加えた.今後の森林の維持管理やバイオマス火災の制御は,人類と地球の存亡(安全)に関する重要な課題の一つであると言え る.
タンパープルーフの言葉の意味,すなわち,タンパー(「いじくる」,「改ざんする」)することができないということを説明した.また,日常生活や,産業現場におけるタンパープルーフの事例およびタンパー行為による産業災害の事例を紹介し,これらの事例に見られるタンパープルーフの手法を類型化し た. ここで,いじくる対象をシステムと考えると,タンパー行為は意図的な不。正行為と考えることができ,不安全行動はエラーかタンパーと見なせる.この観点から,建設現場のタンパープルーフの事例を 検討した.
本報では,産業安全分野に適用可能なフェールセーフ技術を概説する.この分野では,産業安全研究所による安全確認形作業システムの提案を契機として,フェールセーフICや回転ゼロ確認センサーを始めとする各種の斬新な装置が開発された。この成果は,厚生労働省のフェールセーフガイドラインに 集約されている. 一方,機械安全に関する基本規格であるISO12100の普及に伴い,フェールセーフ技術もこの規格に沿った安全方策の一環として再構築されつつある.このため,厚生労働省ではISO12100と実質同一とされる機械の包括的安全基準を公表し,この基準とフェールセーフ技術の一体的運用を推奨している,また,最近の機械制御技術の急速な進歩と電子化された防護装置や部品類の普及に伴い,産業安全研究所でも新しいフェールセーフ技術のあり方について研究を進めている.
安全工学,信頼性工学それぞれ工学的専門分野を形成しているが,学術体系として近接した関係にあり,オーバーラップしている部分もあるのではないかと推測できる.筆者は,システム安全や確率論的安全評価・管理の専門分野で教育・研究を実施してきた,この過程で,両分野の相違点,また異なるがゆえの接点にっいて,多少の具体的な知見を得たと考えている.そこで,本講座では,当該技術・学術分野の総合あるいは境界領域の理解と発展に資することを目的として,連載の形式で,両工学の接点について概説する.
有機過酸化物に関し,昭和39年から平成12年の37年間に発生した39件の火災事故例を調査しその 状況,原因等を考察した。 火災件数の推移は毎年1~2件発生しているが最近10年問では2件/年で一定の傾向にある,出火施設は製造所よりユーザーの一般取扱所が多く,その原因として管理不十分と不作為で64%と人的要因によるものが多い.火災事故に至る有機過酸化物のおもな種類は,過酸化ベンゾイルとメチルエチルケトンパーオキサイドで,合わせると67%を占め汎用品の取扱いに問題がある. 有機過酸化物の火災事故が管理不十分によるものが多いということは,逆に特性を把握し,十分な製造管理,取扱い管理,貯蔵管理をし,取扱者への啓蒙を促せば事故を減少撲滅することが可能になる。