安全工学
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42 巻, 1 号
安全工学_2003_1
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
協会から会員へのメッセージ
リスク評価とリスク対策特集2
  • 高野 研一
    2003 年 42 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2003/02/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    チェルノブイリ事故を契機にIAEAを中心として組織が安全を重視する態度を総称した「安全文化」の重要性が指摘されてきた.わが国においても雪印中毒事故やJCO事故,相次ぐ医療事故が発生するに及び,安全性の確保には組織としての安全姿勢や安全管理の実効性が問われることになった.そこで,組織や管理要因にかかわるリスク評価を行い,事業所ごとに実効ある安全性向上方策を築くための「安全診断システム」を開発することとなった.本診断システムは,組織風土,安全管理,および安全意識までの広い分野を評価対象とする新たなシステムである.ここでは,この安全診断システムを開発するための基礎データを収集し,可能となる診断技術や診断指標を導くための検討を行うとともに,それらの有効性を確認した.このシステムは,以下の機能をもつ、①表面的な安全施策だけではなく,組織風土,安全管理,安全意識をトータルで評価できる,②全体としての総合的な安全度を数値的に把握できる,③労働災害・設備災害双方の防止に有効な方向性を示すことができる,④安全上,重要な要因にっいてのそれぞれの指標により傾向が把握できる,⑤評価結果が直接的・聞接的に安全性向 上方策と結びつけられる.

  • 野口 和彦
    2003 年 42 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 2003/02/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    危機管理においては,被害が顕在化または拡大する以前に,その被害の可能性を予測して対処すること,すなわちリスク見積もりが重要となる,危機管理のリスク見積もりには,通常時において危機に備えるための方法と危機の一部が顕在化してしまった場合の方法がある.合理的な危機管理を実施するためには,それぞれの目的や必要な精度と許容された時間を理解して,対処することが重要ぞある.

  • 山田 友紀子
    2003 年 42 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2003/02/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    大規模な食中毒の発生やBES罹患牛の発見により,欧米先進国や臼本では食品の安全性に対する関心がきわめて高くなっている.本稿は,食品が安全であるという概念の変遷を紹介するととも1こ,最近の欧米先進国の食品安全行政に関する考え方および,Codex委員会における食品の安全性にかかわる リスクアナリシスについて解説する.

  • 山本 茂貴
    2003 年 42 巻 1 号 p. 24-26
    発行日: 2003/02/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    食品の衛生管理にさまざまな衛生管理手法が取り入れられている.1995年にそれらの手法が科学的根拠をもって行われていることを証明するために,リスクアナリシスの手法を用いることがWTO(国 際貿易機関)およびCodex(FAO/WHO合同食品規格委員会)で提唱された.2000年以降FAO/ WHO合同で確率論的手法を用いた定量的リスクァセスメントが,鶏肉または鶏卵とサルモネラ菌,調理済み食品とリステリア菌,魚介類とビブリオ属菌および鶏肉とカンピロバクター菌の組合せで行われ ている.

  • 中杉 修身
    2003 年 42 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2003/02/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    化学物質環境リスク管理は深刻な健康被害の発生を受けて規制から始まった.新たな汚染がみつかるたびに規制が強化されていったが,規制はどうしても後追いの対応になるため,より広範な化学物質を対象として自主管理が進められることになった,また,土壌や地下水など蓄積性の汚染に対する制度も設けられた.さらに,生態リスク管理・個別物質のリスク評価,POPs対策など・新たなリスク管理が 検討されている.

  • 関澤 純
    2003 年 42 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 2003/02/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    化学物質の安全をめぐリリスクコミュニケーションが注目されつつあるが,人により理解がさまざまな実状にある.「リスク」と「コミュニケーション」について,基本的な考え方とその歴史的な背景を欧米や国際機関における経験の蓄積から説きおこし,わが国のこれまでの実態と比較しっつ解説した,リスクコミゴニケーションをマニュアルに沿ったテクニックとしてではなく,現実の問題解決のために,問題点の抽出,科学的なリスクアセスメント,アセスメント結果をべ一スにしたリスクマネジメントの意志決定と実施,実施結果の再評価というサイクリックなプロセスとしてとらえ,そのすべてのプロセスに利害関係者が直接関与していくことの意味と重要性を強調した.また筆者らの調査結果を基に,「表示」を通して消費者と商品提供者が対話する可能性を検討した結果を紹介した.

  • 大歳 幸男
    2003 年 42 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2003/02/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    化学物質による環境汚染を未然に防止する手段として,化学物質管理促進法が導入された.特建の化学物質を取り扱っている事業者は,環境への排出量を算定し届け出なければならない.また有害化学物質を排出していることに対し,今後の自主的な削減計画も含めて地域住民への説明が求められる.この説明をリスクコミュニケーションという.リスクコミュニケーションの実施により,化学物質による人の健康影響に対するリスクを正しく理解し,またリスクを受ける人達の気持ちを理解し合い,環境保全のための化学物質の自主管理の実施が求められている.

  • 一地層処分をテーマとした事例を通じて一
    滝沢 真之, 菖蒲 信博, 小楠 元久
    2003 年 42 巻 1 号 p. 51-59
    発行日: 2003/02/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    高レベル放射性廃棄物の地層処分をテーマとしたさまざまな立場を有する人による意見交換を可能とする場をインターネット上で提供し,第三者が中立性を確保した運営を展開する「インターネットフォーラム」の事例を紹介した・インターネットフォーラムの運営を通じて,地層処分のように一般に馴染みの低いテーマヘの理解促進を目指し,活発な意見交換がなされるための要件等を整理した,また,リスクを享受する側との相互理解および信頼関係の構築を目標とするリスクコミュニケーションの手段として,インターネットフォーラムの適用性を考察した.

論文
  • 崔 光石, 山隈 瑞樹, 竹内 学
    2003 年 42 巻 1 号 p. 60-67
    発行日: 2003/02/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    粉じんの放電最小着火エネルギー(MIE)を簡便かつ経済的に測定することを目的として,超音波振動による粉じん形成機能を有する装置を開発し,特性の測定および改良を行った.超音波発生器によってメッシュを高速振動させることにより,ホッパ内の粉体を定量的かっ連続的に落下させ,着火試験用粉じんを形成する.爆発容器の上部および底部に消炎金網を配置して火炎を速やかに消火することにより,燃焼する粉じん量を削減するとともに,圧力の上昇および燃焼熱による容器の損傷を防止し,かっ連続的に着火試験を行うことが可能となった。さらに,未燃焼粉じんの回収機構を設けることにより試験粉体の再使用が容易となった.種々の粉体についてそのMIEを測定したところ,従来型測定装置 で得られた値と整合性があることを確認した.

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