安全工学
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45 巻, 3 号
安全工学_2006_3
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • ―学術的知見と実務的事例の整理・分析
    豊田 聖史
    2006 年 45 巻 3 号 p. 140-145
    発行日: 2006/06/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    現在,多くの科学技術分野において,行政・事業者・専門家等と社会・国民とのコミュニケーション上の課題が挙げられている.科学技術が社会に受容される際に萌芽・事業化・社会導入・課題改善・成熟というプロセスを辿る点は各分野で共通である.そのため,科学技術の各分野の成熟度合いを尺度として,各分野のプロセス上の位置付けが整理できる.このような整理を行うことで,課題の解決策を探索しやすくなると思われる. 一方で現実には,科学技術の各分野固有のコミュニケーション実務に学術的知見が生かされているとは言いがたい.そのため,本稿ではまず,リスクコミュニケーションにおける学術的知見の整理・分析を通じ,具体的な実務事例としておもに原子力のリスクコミュニケーションを取り上げ,そのあり方を考察する.

論文
  • ―帯電および着火特性に関する実験的考察
    山隈 瑞樹, 芝本 秀文・東原 千春・千田 国夫・福田 佳香・萩原 利雄・細谷 文夫, 竹内 学
    2006 年 45 巻 3 号 p. 146-153
    発行日: 2006/06/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    ジルコニウム粉を含む火工品原料の取り扱い中に発生した爆発事故の原因究明の一環として,帯電特性および帯電したジルコニウム粉からの放電による着火特性を多様な条件で調べた.ジルコニウム粉はポリ袋との摩擦で強く帯電し,着火に必要な静電エネルギーが容易に蓄積された.帯電したジルコニウム粉は,接地体との間で生じる微少な放電パルスで着火した.帯電粉体の静電容量は着火確率に影響を与えた.ジルコニウム粉30 g 以上をポリ袋に入れて揺すると着火することが確認された.

資料
  • 黒瀬 俊明, 辻本 典雄, 長谷川 和俊
    2006 年 45 巻 3 号 p. 154-162
    発行日: 2006/06/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    近年,わが国を代表する企業において火災などの産業災害が続発し,多大な人的・物的被害が発生するという憂慮すべき事態となったことに鑑み,消防審議会答申(平成15 年12 月)において,各事業所の実態に応じた安全確保を図るためには,危険要因を把握して,これに応じた対策を講じることが必要であり,各種リスク評価手法等を技術的に確立するとともに,その活用を図っていくことが必要であるとされた.今般,その一環として,各種事業所の火災・爆発等の危険要因を把握するための「危険性評価方法(チェックリスト方式)」を開発した.本稿では,その概要について解説する.

  • 山瀬 敏郎
    2006 年 45 巻 3 号 p. 163-171
    発行日: 2006/06/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    北海道では,ナフサタンクで全面火災が発生した十勝沖地震の翌年の平成16 年に,消防庁指針に基づいた石油コンビナートの防災アセスメント調査を実施した.この調査では,イベントツリー解析をベースとしたリスク評価手法を適用しており,道内5 か所のコンビナート地区それぞれについて相対的にリスクが大きい災害を想定災害として抽出し,防災対策を行ううえでの基本的事項をまとめている.本稿では,調査全体のなかの地震時の評価の部分をとりあげて紹介する.

  • 吉田 聖一
    2006 年 45 巻 3 号 p. 172-176
    発行日: 2006/06/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    石油タンクの液面上に,油の蒸発防止のために鋼製屋根を浮かせる浮き屋根式タンクは,原油やナフサ等の比較的蒸気圧の高い石油類の貯槽として,多くの大型タンクに採用されている.平成15 年十勝沖地震では,苫小牧の3 万kl ナフサタンクで,スロッシングによって浮き屋根が破損して沈没し,表面に現れた油が燃えて火災が起きた.また,火災には至らなかったものの,6 基の浮き屋根が油中に没した.本稿では浮き屋根の構造と設計方法を述べ,地震時のスロッシングに対する強度について考察する.

  • ―その3:混触反応およびKnow―how よりKnow―why について
    小林 光夫
    2006 年 45 巻 3 号 p. 177-184
    発行日: 2006/06/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    連載の2回目に,つぎは混触反応と格言的なものとして変更管理について考えたいと書いた.ところが,両方とも非常に大きなテーマで両方を同時に取り上げるとページ数がまったく不足する.変更管理は次回の主テーマとして取り上げることとし,後半部にはKnow―how よりKnow―why を取り上げる. 混触反応は実際に多くの事故の直接原因になっており,多くの人がその危険を感じているが,真っ正面から取り上げて論じているものが少ないように思える.筆者が不勉強で数多くの雑誌や文献を見ていないから,このように感じるせいであろうが.事故例から混触反応をパターンに分類して,事故防止につなげたい.混触の原因のある部分はHow―to だけを記した運転マニュアルにあるのではないかと推測できる.多くの事故が作業のミスで起こっている.禁止される理由がわかっていれば,納得していれば,事故は起こっていない,実際に半減していたのかとも考えられる.理由を知る重要さについて記す.

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