安全工学
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46 巻, 5 号
安全工学_2007_5
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 石原 嘉一
    2007 年 46 巻 5 号 p. 274-279
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    最近の日本では,製品の安全性に関する事故および企業対応の問題が連続して発生していることをふまえて,安全性に関する要求が高まっている.このような社会情勢においては,製品の安全性についてひとたび問題が発生すると,それは企業の存続を左右する非常に大きな社会問題に発展する可能性があるため,製品メーカの安全に対する重要性は増大しているといえる.このように,安全性確保が企業における社会的責任の一つである現代においては,製品の安全性のみならず,それを生産する製造現場における安全性確保に対する取組みが,いままで以上に強く求められるようになっていくと考えられる. 製品・機械の安全性を,確実に効率的に確保して企業の利益に繋げていくためには,安全を経営マネジメントの問題として考えていくことが求められる.そこで本稿では,安全性確保に対するアプローチのあり方について,確実に効果的に効率よく対応していくための手段としてsystem safety program を示し,その考え方および導入方法について考察する.

論文
  • 茂木俊夫・岡田 賢・和田有司・堀口貞茲, 吉田 正典, 池田賢治・難波三男
    2007 年 46 巻 5 号 p. 280-287
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    ジメチルエーテル(DME)の大規模な輸送および貯蔵における火災時のDME の燃焼特性を把握するために,大規模なプール燃焼実験を行った.実験では,火炎の大きさ,燃焼速度,放射熱等を測定し,DME のプール火炎の燃焼特性データを取得した.さらに,燃料特性が類似している液化石油ガスについても,比較のため同様の実験を行ってデータを取得し,DME の燃焼特性について考察した.また,散水および泡消火剤による火炎抑制についての実験も行い,DME プール火災の消火についての知見を得た.

資料
  • 八島 正明
    2007 年 46 巻 5 号 p. 288-294
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    研究所では,爆発圧力放散設備技術指針(改訂版)を2005 年6 月に刊行した.粉じんの野外爆発実験は,技術指針の改訂内容に沿って爆発放散口を設けるべき装置・容器などについて,粉じん爆発の爆発指数に対する爆発抑制の効果を調べるとともに,火炎の噴出状況など周囲への影響を調べ,周辺への防護対策を講じる際の有益な知見を得ることを目的として行われた.実験では,木粉を試料とし,0.2,1,6, 20 m3 の容器を使用し,容器内圧,容器内の火炎の伝ぱ速度,噴出した粉じんの速度,火炎の到達距離,音などを調べた.実験は2006 年3 月に行われた.

  • 亀野 弘昭
    2007 年 46 巻 5 号 p. 295-302
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    東京消防庁では,地震時に発生した火災が燃え広がる危険性を地域ごとに評価する「東京都の地震時における地域別延焼危険度測定」をおおむね5 年ごとに実施している. 今回は従来の延焼危険度の測定に加えて,シミュレーションによる延焼時間を延長した測定を実施した.これにより,東京都において,震災時に火災が長時間燃え広がる危険性の高い地域が明らかになった. また,地震による建物倒壊や道路交通の状況から,消防水利の使用不能および消防隊等の到達遅延を予測して地域ごとの消火活動の困難性を評価する「震災時の消火活動困難度」について,第2 回目の測定を実施した.

  • 中野 義之・西尾 芳男
    2007 年 46 巻 5 号 p. 303-310
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    石油産業活性化センターでは,石油産業における事故防止に向けた対策を図るべく,平成17 年度から新たに「石油産業安全基盤整備事業」を3 年計画で立ち上げた.当事業は「ヒヤリハット・事故事例の知識化と体系化」「保安技能の伝承のための教育支援」「設備管理および工事管理レベルの向上」を目的に種々のデータベースを作成し,石油業界でこれらを共有化し,有効に活用するためのWeb サイト「安全支援システム(PEC─SAFER:Petroleum Energy Center─Safety Assist For Engineer in Refinery)」を構築するというものである.本稿ではこのうち「ヒヤリハット・事故事例の知識化と体系化」のために作成した「ヒヤリハット事例データベース」の概要について紹介する.本データベースは石油産業と安全工学会の協力のもと,ヒヤリハット事例の体系化,コード化を実施し,石油各社から収集したヒヤリハット事例から構成されている.

  • 三宅 敏之
    2007 年 46 巻 5 号 p. 311-317
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    国連工業開発機関(UNIDO:United Nations Industrial Development Organization)は,開発途上国や市場経済移行国の経済力の強化と,持続的な繁栄のための工業基盤の整備を支援する国連の専門機関である(本部をオーストリアのウィーンに置く).現在,日本をはじめ172 か国の加盟国を有する.UNIDO はモントリオール議定書,ストックホルム条約あるいは京都議定書などの安全工学に関連した分野でも多くの活動を行っている.本文においては,UNIDO の概要を紹介し,特に環境分野でのUNIDO の活動について詳述した.

  • 古積 博
    2007 年 46 巻 5 号 p. 318-321
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    1984 年,インド・ボパール(Bhopal)で起きた大規模な毒性ガスの漏洩事故について,最近出版された書籍(Bhopal, The Inside Story)の翻訳を通して検証した.本書は,当時の従業員が中心となって書いている.安全に対する企業の取組みや企業の体質には内部からも不満があった.発展途上国での安全防災の基準は先進国と異なる場合があるが,軽んじることは許されない.

  • ─その4:可燃性気体
    土橋 律
    2007 年 46 巻 5 号 p. 322-328
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    可燃性気体の危険特性の概要,危険性評価法,安全な取扱いと災害の防御,関係法規,事故事例などについて紹介する.可燃性気体は,着火し燃焼すると,ガス爆発災害や火災を引き起こす危険性がある.これらの危険特性を理解するためには,可燃性気体の着火現象,燃焼現象(火炎伝ぱ現象)について把握する必要があり,これらについて解説した.可燃性気体の危険性を把握するためには,爆発限界(燃焼限界),最小発火エネルギー,燃焼速度などのデータが参考になる.災害の未然防止には可燃性混合気形成阻止や着火源の排除が対策となり,ガス爆発発生後の被害抑制のためには火炎伝ぱ阻止や圧力上昇阻止が対策と なる.さらに,関係する法規等について概説し,事故事例について示した.

災害事例分析
  • 森 新一
    2007 年 46 巻 5 号 p. 329-338
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    重質油は一般に危険性が低いと考えられている.しかし引火性液体である以上,当然ではあるが,可燃性ガスの生成条件,支燃ガス(空気)の存在,そして着火源,この三つの条件さえ揃えば火災発生に至る.事故後の調査により,発災した減圧残渣油タンクの受入配管と重油タンクの受入配管をバイパスで結ぶ配管上のバルブが,本来閉止しておくべき時点において開放状態であったことが判明した.このため重質油移送中に重油調整用の希釈油が,発災タンクに流入することとなった. 当該事故は当初爆発火災と判断されたが,タンクの損傷および付近の被害状況から推定して,屋根を破壊する程度の爆鳴気は形成されたものの,規模はそれほど大きなものではなく,極々緩慢な爆発,急激な燃焼による火災事故と判断される.

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