安全工学
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47 巻, 5 号
安全工学_2008_5
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 高木 伸夫
    2008 年 47 巻 5 号 p. 262-268
    発行日: 2008/10/15
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー

    規制緩和の流れの中で,自主保安への移行がいわれて久しい.設備の老朽化,ベテランの大量引退,人員の削減,教育機会の減少などという問題を抱え,日本の化学産業の安全管理においては新しいコンセプト構築の必要性に迫られている.日本の化学産業の安全管理は,ヒヤリハット報告,危険予知訓練,事故事例の水平展開,改善の励行など,現場レベルでの小集団活動をベースとしたボトムアップ型といえる.一方,欧米の安全管理はフレームワーク構築にもとづき安全管理のプログラム要素が実行されるトップダウン型といえよう.ここでは,日本ならびに欧米の化学産業の安全管理の現状と問題点,安全へのアプローチの違いを概観し,安全管理にあたっての課題とこれからの方向性につき考察する.

  • 小林 剛
    2008 年 47 巻 5 号 p. 269-277
    発行日: 2008/10/15
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー

    2008 年8 月現在でCAS に登録される化学物質は3 700 万種類を超え,2007 年10 月の化審法の公示物質も25 900 物質となっている.このように増え続ける多数の化学物質の管理を促進するため,国内外の化学物質管理はこの十数年で大きく変わってきている.本稿では,日本の化学物質管理制度の中におけるPRTR 制度について整理するとともに,PRTR 制度による6 年分の届出排出量の推移等を見ながら,また国際的な化学物質管理の動向を見ながら,企業の化学物質の自主管理の進捗と今後の方向性についてとりまとめた.

  • 安田 憲二
    2008 年 47 巻 5 号 p. 278-282
    発行日: 2008/10/15
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー

    現在,わが国における一般廃棄物の総排出量は約5 200 万トン(2006 年度)であり,このうち市町村等による資源化と住民団体等による集団回収を合わせた資源化物のリサイクル率は約20 %と低く,EU 諸国でのリサイクル率(平均で約50 %)に遠くおよばない.そこで,一般廃棄物に焦点をあて,最も注目されている地球温暖化問題に対応した焼却処理のあり方,廃プラスチック類のリサイクルについて述べる.

  • 後藤 純雄・久松  伸・髙木 敬彦, 緒方 禎浩, 峯木 茂
    2008 年 47 巻 5 号 p. 283-289
    発行日: 2008/10/15
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー

    多種類の化学物質が大量生産・大量消費・大量廃棄され,土壌汚染に繋がってきた.本稿では,一律な汚染評価やリスク評価が難しい各種土壌汚染について,汚染物質の国内外の法規制の違い,汚染物質の種類やその分析法,変異原性測定による汚染質評価などについて事例などを示し,局在的な汚染が多い土壌汚染では,汚染物質の簡易測定,バイオアッセイ,土地利用暦調査,近隣の汚染要因(源)調査などを組み合わせた評価方法を整備していくことの必要性について概説した.

論文
  • 江藤 功, 秋吉美也子・岡田  賢・松永 猛裕
    2008 年 47 巻 5 号 p. 290-296
    発行日: 2008/10/15
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー

    熱分析(DSC),ならびに2 種類の断熱熱量計(ARC,RADEX)について,試料容器の材質が過酸化水素の分解反応に及ぼす影響を検討した.実験には種々の金属容器(チタン,ハステロイ,ステンレス鋼,純金,金メッキ),およびガラス容器を使用した.また,不活性物質によるコーティング容器(テフロン,ガラス)を試作し,実験に使用した.種々の測定で,発熱開始(検知)温度,誘導期等の観点から測定結果を比較し,容器材質の影響について考察した.すべての実験で,金属材質は過酸化水素の分解反応に影響を及ぼした.特に顕著なのはチタン,金メッキ容器であった.ガラス容器を用いた分析(DSC ガラスキャピラリーセル,RADEX)やテフロンコーティングを施した容器は,容器材質の影響に対して有効であることがわかった.

資料
  • 河合 潤, 船曳 淳
    2008 年 47 巻 5 号 p. 297-304
    発行日: 2008/10/15
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー

    昨年度の中越沖地震における原子力発電所の被災では,技術者が伝えようとする安全情報を一般市民に理解してもらうことの難しさが改めて浮き彫りになった.こうした情報伝達の難しさは,原子力のみならず,環境問題,バイオテクノロジーなど,先進科学が抱える共通の課題である.ここでは“科学技術情報のわかりやすい表現”を実務のうえで実現していくための「サイエンス・エディトリアル・ガイド」を紹介する.

  • 髙松 良晴
    2008 年 47 巻 5 号 p. 305-311
    発行日: 2008/10/15
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー

    脱線転覆した列車が隣接線の列車や堅い構造物と衝突すると大惨事となる.1960 年代,貨物列車の脱線転覆から三河島事故,鶴見事故と続いた.当時の国鉄は,列車制御技術の開発とともに,北海道狩勝に実験線を設け,12 年間にわたり,2 軸貨車の脱線メカニズムの解明を行った.その成果が旅客線までに及び,その後,同種事故の発生は久しくなかった.だが,2000 年代に入ると,また,日比谷線事故,福知山線事故と死傷者多数を出す脱線転覆事故が続くようになった.今度は旅客電車のボギー台車の脱線である.自動車にはテストコースがあるが,わが国の鉄道にはない.大都市内鉄道や新幹線が,ともに,高頻度高速で運行されている.一方,東海・東南海・南海地震発生の確率が論じられている.より安全な鉄道を目指し,いまこそ,再び脱線実験線を設け,脱線のみならず,部材疲労,火災,衝突などの各種実車実験を行うべきである.

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