石油タンク底部を連続かつ面的に超音波板厚測定する装置で得られた板厚データを利用し,裏面腐食の確率統計的性質を解析した結果について報告した.石油タンク底部の腐食量と上側累積確率を両対数上にプロットしたリスク曲線から求まる腐食リスクパラメータは,実タンクに発生する最大腐食量を推定可能で,有効な設備管理パラメータとなることを明らかにした.
環境にはさまざまな自然の放射性核種が存在する.これらの核種を含む物質は,自然起源の放射性物質(NORM(ノルム):Naturally Occurring Radioactive Materials)と呼ばれる.また,このうち何らかの人為的な過程を経て,結果的に放射線量が高くなったNORM をTENORM(テノルム:Technologically─Enhanced NORM)と呼ぶ.このような自然起源の放射性物質の存在とその特徴を概説するとともに,放射線防護学的な安全の考え方について整理した.放射線量の定義,放射線被ばくの分類の基本的な考え方(「現存する被ばくの状況」と「計画的な被ばくの状況」など)を理解し,現実の状況に適合した自然起源の放射性物質の管理方針を策定することが重要となる.現在も,世界的な議論として,その検討活動が活発に展開されている.有効かつ合理的な安全を追求するための議論には,現状実態の把握とその分析が最も急がれるところである.系統的な実地調査が十分ではない分野と,放射線安全/放射線防護分野との分野の壁を超えた強い連携,相互の活発な意見交換を強く期待したい.
防蟻剤,防腐剤,殺虫剤等の家庭内で使用されている農薬の種類やその環境中での汚染状況,これら農薬の室内環境汚染の課題や問題点を整理した. 家庭で使われている農薬は,農耕地で使用されている農薬と同じもので,それぞれ使用目的によって,多くの農薬が存在する.特に,シロアリを駆除または進入を防ぐ目的で防蟻剤が土壌や木部に使用されて いる.そのため,防蟻剤による室内環境汚染調査が多く見られている. 家庭で使用されている農薬による室内環境汚染の課題をまとめると,適切なサンプリング方法や簡易な測定法の開発,製造企業側からの農薬に関するあらゆる情報の開示の必要性,新たな農薬類の指針値および基準値の設定,個人曝露評価方法の確立および安全性の評価等が挙げられる.
医療事故により,患者の安全確保という医療の基本責任が問題視されている.患者は適正な診断,治療,看護を受けることが医療の当たり前の業務品質と考える.医療の当たり前の業務品質を保証するために,ヒューマンエラーを低減させる未然防止分析手法を考える必要がある. 提案する業務フロー基幹軸とq─FMEA 支援軸との二軸統合プロセス分析手法は,ヒューマンエラーを抽出し,業務フロー上での問題点の見える化を行うことで医療事故の未然防止を図ることを目的とする. q─FMEA は,現状の業務フローを用いたFMEA をもとに対象とする業務部位についてQFD 手法によるシーン展開を可能とさせる.q─FMEA の実施により,ヒューマンエラーによる潜在危険が同定される.さらに,管理項目と潜在危険に結びつく重要なエラーを業務フロー図に記載して重点管理する.こうして,適正な医療行為ができるように重点的な「見える化管理」を行うものである. 提案する分析手法を医療現場のヒヤリハット事項を含むヒューマンエラーへ適用した.その結果,作業工程からのエラーモードが抽出され,想定シーンから考えられるエラーモードの深堀による背後要因特定を含む分析を行うことができた.以上により,本分析手法による作業フロー上の不具合該当部位の見える化による未然防止が可能となり,医療安全対策の有効な支援ツールになることの有効性が示された.
労働安全衛生に関するリスクアセスメントまたはマネジメントシステム(OSHMS)を実施している事業場に対するアンケートおよびヒアリング調査を行った結果,① これらの実施によって,労働災害発生が少なくなったほか,職場のリスク情報を共有できた,組織的な実行が可能になる等の効果が得られた. ② 実施要領の作成等について,導入段階においては困難と考えていたが,実施してみたら,導入段階で考えていたほどには困難ではなかった,ことなどが明らかとなった. また,導入・実施上の困難を解決するために各社で行われているさまざまな工夫を収集したが,これらは今後各事業場において取り組む際に,導入しやすい,レベルが上がりやすい方法として参考となる.
海岸の漂着ゴミは,海岸機能の低下や環境・景観の悪化などさまざまな問題を引き起こしている.また,漂着ゴミのなかには,使用済みの注射器やガスボンベ,信号弾等の危険物も確認されており,海岸利用者等が被害にあう危険性がある. 一方,これらの危険物は,それぞれ対処方法が異なり,対処には慎重を要するが,海岸管理者は,個々の危険物の専門知識までは有しておらず,速やかな対応を行うため,危険物対応の手順をあらかじめ整理することが必要である. 海岸漂着危険物対応ガイドラインは,危険物対応にあたって混乱が生じやすい危険物漂着時において海岸管理者が行うと想定される初動対応についてとりまとめた. また,海岸漂着危険物ハンドブックは,海岸漂着危険物の危険性を子どもにもわかりやすいように紹介している.