安全に関して社長の考え方と姿勢がきわめて重要であるが,具体的にどのような考え方と姿勢が望ましいか,またそれに応じた行動はどうあるべきなのか.このようなガイドラインがあれば有効と考え,安全工学会では,ワーキンググループを設置し,「安全に対するマネージメントの役割と社長の役割」を提案した.そしてこれを題材として,経営者による安全懇談会を開催している.本稿ではその経緯と提案の概要,ならびに議論のポイントを紹介する.
近年の熱分析,熱流測定技術の発展によって,安全工学の分野でも熱分析,熱流測定装置が広く使われてきている.本稿では,主な熱分析・熱流測定機器を紹介し,化学物質等による実際の事故の原因究明,危険性評価への応用を紹介する.
食品安全のリスク研究は,企業の社会的責任から語られる事が多い.しかし,ほとんどの企業トップは,従業員が犯す可能性のあるリスクについてリアリティーがなく,リスクが顕在化した場面で混乱や狼狽をきたす例が多い.そこには,単なる責任論的な分析では,解決できない複雑な上下関係や組織風土の問題が関与していると思われる.そこで,本論では,リスクの把握から故意あるいは過失を問わず顕在化に加担した従業員やその管理者に対する現場意識や行動を調査分析した.食品企業のリスクを引き起こしたトリガーは何か,また組織内の情報伝達・共有さらに構成員間の身分や処遇を原因とするコミュ二ケーション不足などに焦点を当て,従業員がいだく公平という観点から,閉鎖性を排除し食品安全活動をどのように展開すべきかについて述べる.
機械の制御による安全の基本規格であるISO 13849-1 が2006 年に改定された.この新規格は従来扱ってこなかった信頼性を指標として取り込んでいる.そのため,どのように適用するか明確でない点があった.そこで,日本印刷産業機械工業会では新指標の適用のガイドを作成すべく研究委員会を立ち上げ活動した.その結果,計算も大切であるが,使用するコンポーネントの信頼性データを入手する,設計意図を認証者に正しく伝えることも重要である,などの知見を得た.これらの結果は,多くの産業機械で有用と思われる.
2003 年8 月14 日,多度町(現・桑名市)にあるごみ固形化燃料(RDF)貯蔵サイロ内で小爆発が発生し,その後サイロ内でくすぶり続けていた.19 日,サイロが爆発し,サイロの屋根で消火活動を行っていた消防職員2 名が死亡,サイロのそばにいた作業員1 名が負傷する災害が発生した.RDF(Refuse Derived Fuel)は新燃料の一つとして脚光を浴びたが,この事故災害を契機に,爆発・火災の危険性があることが社会に知れ渡ることになった.本件では3 回に分けて報告するが,その1 では災害の概要と被害状況を述べる.