安全工学
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54 巻, 1 号
安全工学_2015_1
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
会告
安全への提言
総説
  •  ―現場保安力の強化に向けて
    田村 昌三
    2015 年 54 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    化学産業界は安全の確保,向上のため,懸命の努力をしてきたが,依然として産業安全問題は発生して いる. ここでは,最近の化学関連産業における爆発・火災事故の要因と産業安全問題の背景について考察し,これからの産業安全の方向性を示めすとともに,安全環境の醸成に向けて安全文化を考慮した産業安全と現場保安力の強化について述べる.
  • 田中 龍郎
    2015 年 54 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    航空会社にとって「安全」はある意味当たり前のことであり,事業を営む上での大前提である.ANA グループ安全理念でも「安全は経営の基盤であり,社会への責務である」と謳っている.この当たり前のことを維持してゆくためには積極的な事故の未然防止活動を絶え間なく実施する必要がある.加えて近年では「安全」=「事故がない」だけでは社会の信頼を得るには足りず,安全の維持向上および事故の未然防止の活動そのものを顧客・社会に理解していただくこと,いわば,「安全」のその先にある「安心」を持っていただくことが航空会社経営の重要なファクターとなってきている. ここでは事故の未然防止のための具体的な活動に加え,お客様に安心し,信頼していただくための方策等について述べる.
  • 白崎 彰久
    2015 年 54 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    OSHMS の認証が登場して十数年が立ち,ようやく,JISHA 方式OSHMS の認証効果を示せるようになった.ところで,欧米で生まれたOSHMS は,そのままでは,日本では役立つものではなかった.安全衛生方針の表明や安全衛生管理体制の整備など,トップダウンで行える事項は日本でも同様に役立つ.大きく異なるのは,危険予知活動や5S 活動など,日本においてこれまで災害防止に実績を上げている日常的な安全衛生活動,いわゆるボトムアップの取組みが欧米発のOSHMS にはないことである.JISHA 方式OSHMS には,職場小集団による安全衛生活動など,作業者の意見を聞き,活動に実際に参加してもらうことが要求事項に追加されている.品質や環境ISO のマネジメントシステムではほとんど見られない認証の効果も統計的に示している.
  • 岡本 正
    2015 年 54 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    東日本大震災後に弁護士らが実施した無料法律相談のうち約4 万件の分析結果が,日本弁護士連合会により公表されている.これらの分析結果は,災害後の制度改正や新規立法の根拠事実として活用され,公共政策上の一定の価値を示した.被災地のリーガル・ニーズを集約し,分析することで政策実現を目指す手法を,公共政策上のノウハウとして承継するため,2012 年度以降,中央大学大学院公共政策研究科や慶應義塾大学法科大学院等において,「災害復興法学」の講義が創設された.災害復興法学では,行政,政策,法律,防災及び危機管理等の分野を融合させた新たな公共政策教育を実践している.無料法律相談情報のデータ・ベースを活用することで,首都直下地震や南海トラフ地震など,来るべき巨大災害に備えて講じるべき法制度や公共政策上の課題を発見できる可能性がある.当該分野の研究を深めることは,防災と危機管理の分野において新しいデザインを提唱することになると考えられる.
論文
  • 藤原 茂樹, 高野 研一
    2015 年 54 巻 1 号 p. 32-41
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    事故を未然防止するためには,収集した事故情報に基づき根本原因分析を行い,直接・間接の原因を取り除くとともに,潜在化していた組織の安全文化上の問題点を把握し,これらを改善することが必要である.根本原因分析は事故発生の起因となりうる原因を「なぜ,なぜ」を繰り返すことにより,特定していく方法である.抽出された根本原因が組織・風土要因の劣化に関連するものである場合,これが連鎖していわゆる組織事故の発生につながる恐れがある. 本研究は過去の医療事故の事例群を公開情報に基づき,根本原因分析し,特定された根本原因を安全文化の8 軸モデルを用いて分類した.この分類結果に,多変量解析を適用し,発生した事故を安全文化の側面からパターン分類することにより,医療機関における安全に関わる組織要因の分析の方法を考察した.
  • ―航空自衛隊を例として
    仲村 彰
    2015 年 54 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    口述聴取は,航空自衛隊における航空事故調査の際,情報収集のために必ず行われる重要な手段である.しかしながら,現在口述聴取法に関して体系立てて述べられた資料は存在しない.一方,目撃証言の分野では認知面接を活用した取調べ法の資料が存在する.認知面接は,口述聴取にも応用可能であることから,認知面接を基に,航空事故調査の口述聴取に文脈を適合させた教材を作成することとした.そして,航空事故調査の初学者が効果的に口述聴取の全般的知識を保有できるようにするため,インストラクショナル・デザインを応用し,教材を作成した.その教育効果を見るために,事前・事後テストを実施し,比較したところ,有意な教育効果が見られた.また,アンケートにより教材を評価したところ,内容が分かりやすい等概ね肯定的な結果が得られた.
  • 清水 洋孝
    2015 年 54 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    モノづくりの現場は,先端技術の高度化,複雑化でプロセスが複雑化・多様化となり,関与する人々の範囲も拡がっている.時として,品質作り込みの力量がそれらの変化に追従せず,仕様の不整合に繋がることがある.現状何が問題かを早く捉えて気付き,問題を解決することにある. 本稿で紹介するg-VTA は,プロセスに業務フローというフィールドを用い,漏れなく潜在化問題を収集し,顕在化して「問題の見える化」による情報の共有化を図る. g-VTA は,現場でその適用性を確認し,業務品質の確保とモノづくりの深層競争力とを捉えるための自工程完結に向けた有効な支援ツールになることが既に実証されている.
資料
  • 佐々木 邦昭
    2015 年 54 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    内陸部・河川では,毎年1 千件以上の油流出事故が発生している.これらの事故では,水路に油が流入し長期間薄い油膜を作る事が多い. この様な場合,水路で集油して油層を確保してから,物理的に回収することになる. 従来実施されている集油方法は,土嚢を設置,オイルフェンスを展張,コンパネ板で堰を作る,これらを併用する方法が一般的にとられていた.これらの方法で油が集積すると,油吸着材,油回収装置による回収ができる.しかし,現実は即応性,効果性,重労働等の課題が伴い,必ずしも成功例が多いとは言えず,教訓が残されていた. これらの教訓を基に,木製のV 型堰を作り川に浮かべてみた.木製の平板は,1 枚では寝て浮くが,2 枚をテープで連結し両端をロープで支えると,V 字形に浮いて堰になる.この実験と観察された現象について紹介する.
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