日本では,家庭で使用されて使い残された農薬や塗料・溶剤などの化学製品が廃棄物になったものについて,市区町村による適正処理についての対応は十分でなく,市民の多くがどう排出すべきか困って退蔵,場合により不適正排出や不法投棄を起こしやすい状況にある.他方,米国や欧州の国々では,化学物質による地下水汚染等,住民の健康に対する危険有害性に配慮し,これら廃棄物を埋め立てから除外し,家庭系有害廃棄物Household Hazardous Waste, HHW として区分し,その管理政策を形成するに至っている.日本の廃棄物処理法に基づく廃棄物の区分,自治体の処理計画のあり方が,廃棄物の安全かつ適正な処理を阻害する,どのような問題状況を引き起こしているかを解き明かし,改善に向けた若干の提案を行う.
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